マガジンのカバー画像

ひとは生きることができるか ー「『生きられない』生」への考察

16
(完) モーニング娘。‘16風に言うと、「ヤダヤダと言ってれば世の中が変わるなら 一晩中叫ぶわ」。
運営しているクリエイター

記事一覧

1.序論

 本稿では、「『生きられない』生」を扱うことを試みている。けれども、額面通りに受け取るの…

SHINOMETAL'24
5年前

【小説『影をなくした男』】2 − 1.影をなくすということ【2.ひとと人間の境目か…

 バトラーについての議論からはしばらく離れるが、のちに彼女に立ち戻って考察することにしよ…

SHINOMETAL'24
5年前
2

【発達障害と生きづらさ】2−2.逆説のセオリー【2.ひとと人間の境目から】

 さて、何を隠そう、二〇一八年六月末日が〆切となっている本稿を記しているのは、あろうこと…

SHINOMETAL'24
5年前
1

【犯罪と社会】2−3.ある狂気の青年の正気のとき【2.ひとと人間の境目から】

 ところで、新幹線殺傷事件から三週間が経過した今日〔※執筆時〕に至っても、被疑者が反省や…

SHINOMETAL'24
5年前
3

【生きづらさ】2−4.地誌的な風景【2.ひとと人間の境目から】

 主に不登校という現象を取り上げつつ改めて社会を捉え直す『「コミュ障」の社会学』によれば…

SHINOMETAL'24
5年前

【神聖かまってちゃん】2 − 5.致死的な風景【2.ひとと人間の境目から】

 社会と関わるということ、社会のなかで生きるということ、そこから漏れ落ちてしまうというこ…

SHINOMETAL'24
5年前
3

【アナ雪Let It Go】2 − 6.希望の虚偽【2.ひとと人間の境目から】

 日本では「アナ雪」の愛称で知られ、世界的な大ヒット作となった映画『FROZEN』の挿入歌、「Let It Go」を取り上げたい。日本語版では「Let It Go 〜ありのままで〜」というタイトルで話題になった、名曲として知られるこの曲だが、どのような文脈で歌われたかを考えるとなかなか壮絶である。映画自体はハッピーエンドに終わるものの、この曲が歌われたシーンを確認したうえで、改めて曲の持つ意味を考えたい。ある王国に長女として生まれたエルサは触れたものを凍らせたり雪や氷をつくる

【神聖かまってちゃん】2−7.ある一人の青年【2.ひとと人間の境目から】

 これまで述べてきたような、無邪気なひとが跋扈する社会における葛藤や、その先に何があるの…

SHINOMETAL'24
5年前
3

【伝わらず届かない言葉】3−1.言い表すということ【3.さらなる深淵へ】

 黒子のバスケ脅迫事件を巡り反省も謝罪もしないことが明言されているわけであるが、その理由…

SHINOMETAL'24
5年前
5

【影ソング】3−2.想像する生【3.さらなる深淵へ】

 「ゲスの極み乙女。」というバンドはご存知の方も多いだろう。世間を巻き込んだわけがわから…

SHINOMETAL'24
5年前
1

【生きづらさ】4.終わるもの、終わらないもの

 今や世界的な潮流になりつつもどういうわけか日本ではいまひとつ盛り上がりに欠ける「#MeToo…

SHINOMETAL'24
5年前

【生きられなさ】4−1.創造する生【4.終わるもの、終わらないもの】

 さて。先ほどあのようなかたちで「#MeToo」運動に言及したのにはわけがある。性的暴行を受け…

SHINOMETAL'24
5年前

【生き残り】4−2.survive=sur-vive【4.終わるもの、終わらないもの】

 「生き残る」という表現、ただ「生きてきた」のでも、「死んでいない」というのでもなく、「…

SHINOMETAL'24
5年前
2

【他者の苦しみは否定できるのか】4−3.「認識の暴力」に抗して【4.終わるもの、終わらないもの】

 「人間は、認識したいと思っていることをそこに認識する[143]」。しかるに、ひとは、「真の」、「客観的」な世界を認識することはできない。こうした命題はいまや自明のものとして、認識にまつわるわれわれの諸問題の前に鎮座している。つまるところ、人間は諸器官を通してしか外部世界を感知することはできず、そうした情報はまた脳、そして言語を通して存在することになるのであって、このようにひとはさまざまなフィルターを通してしか世界を見ることはできず、そこには必ず何らかの色メガネ=フィルターが