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おといれ

実のところ僕は大便をする。つまりうんちだ。
いやまあ多くの方はされると思うが、されない方もいらっしゃると思うので、上記のような表現をしてしまった。実のところ、僕は大便をする。

これを自覚したのはたぶん夜逃げをして退職して、それからほぼ1年間プータローとして過ごしたからなのだろう。

生きてるって思える瞬間

つまり僕は社会人になって13ヶ月目に、なにはともあれ職場から逃げなければならないと思い立ち、逃走を図ったのである。
ここらへんの話は『アレ』Vol.3という評論誌に寄稿した「夜逃げのやり方、教えます。」に詳しい。

アレvol3表紙

(『アレ』Vol.3は電子書籍でも入手可能です!
https://www.amazon.co.jp/dp/B07GNQPRNT

以後、なにもしない日々を過ごしていた。ぼそぼそと小説を書いていたり、こっそりドライブなどしたものだが、そうしたことを除けばなにもせずに時が消えていった。

特に冬の初め頃はおぞましかった。
僕の著作、『イリエの情景』の執筆に息詰まって、なにも書けなくなってしまった頃だ。具体的にいえば『イリエ』2巻の「陸前高田市篇」をうだうだ考えてた時期に重なる。

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(『イリエ』シリーズはBOOTHでも入手可能ですっ!
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とにかく、次の行動に移るまで20時間とか40時間とか、かかるのだ。
いやむしろ40時間で違うことをやりはじめることができたなら、それは早いほうだといえる。
1日単位とか2日単位とか言わないのは、日にちという単位が役割を果たしていなかったからだ。
20時間ゲームをぶっ通しで続けて、10時間沈むように眠り、そしてまた20時間ゲームをする……といった具合で。

ベッドの上から1週間2週間動かなかったこともあったんじゃないかなと思う。とにかく、時間が溶けるという表現がふさわしい。もちろんシャワーなんてめったに浴びなかった。
時期が時期なら、頭にキノコが生えてもおかしくなかった。さすがにキノコは冗談でも、たぶんカビくらいは生えてたんじゃないかと思う。


とはいえ、本当に動かなかったのかといえば、それは嘘になる。なぜなら動かなくったってうんちはするからだ。
布団のなかにぶちまけた記憶はないから、世間の時間感覚でいえば1日か2日に1度くらいのペースで、僕は便器に座っていたことになる。そしてこれがほぼ唯一といっていい運動であった。

たぶん、引きこもりに近い経験をした人なら、馴染みのある生活だろう。そしてこういう生活を続けていると、排泄中にこんなことがよぎることだろう。どんなにクズな生活をしてようが、クソは出るし腹は減るのだ、と。
そしてその事実が、あまりに虚しいというか、この身は生きようとしているのに、自分という奴はなにしてんだろう、なんて思うわけだ。

現在、僕はパートタイマ―ながら仕事をしているし、小説を書いて全国各地の同人イベントに顔を出していたりするので、さすがにプータローとは呼べない。
とはいえ、時折思うことがあるのだ。便器に座って、用を足すとき、なーにしてんだかなー、と。

ズボンを脱いで息むときくらい、恥のない自分でいたい……そう締めくくろうかとも思ったけれども、そんな自分は自分ではないような気がするので、きっと僕はこれからも下半身を丸出しにしながら、自身の半生を振り返って、脱力するのだろう。
そのくらいが、ちょうどいい。

生きてるから

というわけで、来る10月12日(土)に、
東京の浅草で開催される同人イベントText-Revolutions(テキレボ)に参加しますっ。
公式サイト⇒https://text-revolutions.com/event/
ブースNoは【E-04】
「ドジョウ街道宿場町」です。
WEBカタログ⇒https://plag.me/c/textrevo09/6F/E/4

新刊は、前々から作りたかったミニ巻物です。
その名も『遺書 第一巻』。

遺書第一巻

「遺書なのに第一巻ってなんだよ」的なテイストのネーミングです。
内容は遺書です。同人イベント遠征中に催したので書いた次第です。

というか、あのときはこれを作品にするなんて毛頭思ってませんでした。それは一度目を通していただければすぐ分かるかと思います。これを書き終えたとき、僕の生命は間違いなく絶たれていました。
それなのにどうして今このnoteを書いているのか。正直、自分でもよくわかりません。

僕はこの世に存在していて、なにはともあれ「遺書」を世に出した、これだけが事実であり、そこに意味を見出そうとするのは、少なくとも僕自身が見出す必要はないのかもしれません。
『遺書 第一巻』を手に取り、広げ、その文字列を追った読者の皆さんが、「自分勝手に」見出してくだされば、それでいいんだと思います。

このミニ巻物、高さは約5.5cm。広げると長さは約1.6m、字数にして2600字くらいです。
初めての手製本(?)です。手作りってすっごいパワーが必要なんだなって思いました。和綴じ本とかミニ本とか横長本とか手掛ける方、めっちゃすっごい……と思うのでした。

なるたけたくさん制作する予定ですが、ひと巻き作るのに結構な時間がかかることが判明したので、どうなることやら……。
ずんば留守中に、母が試作品を読んだみたいで、その感想は「面白かった」とのことでした!
なのでおそらく面白いんだと思います!
ぜひ!!!

「テキレボ参加しないけど欲しい……」
という方!
ずんばは10月14日(月祝)開催の名古屋コミティアに参加しますので、
余ってたらそちらでもお求め可能です!!!!!!
ブースNoは【D-04】
名古屋コミティアWEBサイト⇒https://n-comitia.com/

ぜひイベント会場でお会いしましょう!!!

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