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長野市災害ボランティアの"今"

2019年10月27日(日)に長野県長野市赤沼へ災害ボランティアに行ってきました。恥ずかしながら自分の意思でボランティアへ行くのはこれが初めてでした。

はじめに。

この記事の目的は「東京都民が長野県の災害ボランティアに参加するにあたり、不安だったこと、現地で感じたこと」を自分のために整理すること、そして、より多くの方に災害ボランティアの"今"を知ってもらうことです。

物事を判断するには、

情報が正しいこと
鮮度が高いこと
肌感覚があること

など多角的な視点が必要と考えています。その一助とならんことを。

「長野市2019台風被災者支援」LINEアカウントについて

これから災害ボランティアの詳細をつらつらと述べる訳ですが、僕がボランティアに行くにあたり知りたいことのすべてがこのLINEアカウントにつまっています。

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交通手段や服装、どこを見れば良いか。

自分で調べたり人から聞いたりすると、どうしても情報が錯綜してしまいがちですが、長野市公式情報なので信頼できます。

長野市HP「令和元年台風第19号災害に関連する支援情報など」から友達追加してみてください。

よりリアルタイムな情報がほしい場合は、長野市災害ボランティアセンターのFacebookページを見ると良いです。

長野市赤沼について

赤沼は「信州りんご発祥の地」と呼ばれるほど、りんごで有名な土地だそうで、実際に現地に向かうときもたくさんのりんごの樹を見ました。路上や排水口に転がっているものも。

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被災状況は詳しくはわかりませんが、台風襲来から2週間が経っているので当初よりは落ち着いている印象です。が、廃棄しなければならないご家庭の物品が公園にうず高く積み上げられていたりと、心の痛む風景も散見されました。

信毎web 災害ごみ搬出始まる 長野市・ボランティア・自衛隊連携

災害ボランティアのスケジュール

8:30 長野駅東口 ユメリアバスパーク集合
8:45 赤沼に向けてバスで出発
9:20 赤沼着、ボタンティア・サテライトへ徒歩で
9:30 ボタンティア・サテライト着、マッチング開始
10:30 作業場所へ
12:00 昼休憩
12:45 午後の部
14:00 作業終了
14:30 赤沼バス発
15:00 長野駅着

個人で災害ボランティアに参加したい人はどうすれば良いのか?

2019年10月27日現在、長野駅東口のユメリアバスパークで朝の8:30から無料の送迎バスが出ています。

本来は事前登録をしておくことが望ましいそうですが、僕の行った日曜日は飛び入りでも乗車することができました。

僕の参加した日曜日は長野市北部、赤沼に向かうバスの4号車でした。その日どこへ向かうかは当日になるまでわかりません。

バス内の座席はビニールで覆われており、汚れた格好で乗車しやすいような配慮がなされています。

現地に向かうまでの間は作業中の諸注意がアナウンスされたり、連絡先の記入、班分け、リーダー選びを行います。

班分けはスタッフの方が座席の近い人同士で振り分けていました。リーダーはボランティア経験者の方にお願いしました。

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個人で参加する場合、災害ボランティアセンター印のシールを貼ります。これは、僕らが正規のボランティア員であること、火事場泥棒ではないことを伝える大切なものです。

現地に入って改めて感じましたが、災害に襲われて連日復興作業をする中、毎日見知らぬ人と会う環境は非日常な環境です。ボランティアに来たとはいえ、僕らは異物であり、信用もない。善意だけが生命線の関係なんだ、と感じました。

現地に着くと、ボランティア・サテライトへ向かいます。ここは地域の被災状況や助けてほしい作業、ボランティアで集まってきた人々…などを一手にコントロールする司令塔です。

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ボランティアに向かう場所を割振ることを「マッチング」と呼んでました(正規の言い方かはわかりません)。僕らのマッチングが終わったのはサテライトに着いてから1時間後、最後の方でした。

物資が足りなかったり、人が一度にたくさん来すぎたり、状況が刻一刻と変わったりと、見ているだけで大変さが伝わるものの、被災地を目の前にただ立って待っている状況は心に来るものがあります。人間、からだを動かしているときの方がずっと楽。

マッチングが終わり、作業場所に着いてからはものを運んだり、土のうを集めたりが主な作業。幸いなことに僕が割り振られた家庭は空き家だったため、お住まいの方々の私物に触れる機会はなく、捨てるだけの作業でした。

事前にバスで聞いた注意として「ゴミに見えるものでもご家族にとっては思い出の品々です」と聞いていたこともあり、緊張の糸が少しほぐれました。

途中に10分休憩を一度もらい、12時頃にお昼休み。午前中はほとんど家の中からの物品搬出でした。

午後は屋外に出した物品をポリ袋に入れ、軽トラに詰め込み、屋内の泥を土のうに詰めました。

お昼明けに短い雨が降りました。そのため、本来は15時半出発予定だった長野駅に戻るバスの発車時刻が1時間繰り上がり、14時半発となりました。雨が降ると作業の危険も増すのでしょう。

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14時に作業を終え、簡易の水シャワーで簡単な泥を落とし、バスで長野駅に帰りました。

この記事は東京へと戻るバスの中で書いているのですが、からだはだいぶ消耗しています。はじめての土地、知らない人々、慣れない作業、危ない作業、長靴での行動…、作業時間は4時間もありませんでしたが、これらを連日こなす方々の苦労が偲ばれます。

「この場所へ、元気に、笑顔で戻ってくれることを約束してください」

朝にボランティア・サテライトを出るときに言われた言葉です。

怪我がないこと、心身ともに安全に作業することの大切さを心から伝えられていたことが印象的でした。

持ちものについて

今回僕が用意したのは雨具、ビニール手袋、マスク、長靴、水、昼食です。

長野県災害ボランティア情報[特設サイト]を見ると完全防備の上にスコップなどがあるといいとありますが、全員がスコップを持っている訳ではありません。作業によっては借りることもできるようです。

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被災地によって水が利用できない、トイレが支えない、食べものがない、などの状況があります。トイレは済ましておく、自分のことは自分でやるという当たり前の姿勢が大切です。

作業中に感じたこと(箇条書き)


①軽トラは正義
ものを運ぶにあたって軽トラに勝るものはありません。僕の行った日は軽トラが少なく搬出が滞りがちでした。

②運ぶときは底を支えよう
箪笥などを運ぶときに抽斗を下にして運んでしまったり、底が脆くなったものが底抜けしたりなどがよくありました。

③入り口を広くする
屋内から運んできた荷物を入り口に置きがち。疲労や判断力の低下によるものと思われますが、出入りが大変になったり移動距離がかえって伸びてしまったり非効率です。僕は自主的に交通整理をしていました。

④細かいものはポリ袋にまとめる
箪笥、布団、毛布などまとまりがあるものは運びやすいですが、それ以外のものはポリ袋に詰めると軽トラの荷台に上げるときなどにも楽です。

⑤刃物には細心の注意を
作業員の方が刃物で腕を切る事故がありました。作業が止まるだけでなく、破傷風などリスクが大きすぎるので、刃物や尖ったものを扱うときはとにかく細心の注意を。

⑥大事なことはしっかりと、大きな声で
上の事故のきっかけはコミュニケーションミスでした。僕はそのコミュニケーションを聞いていたのですが、「刃物を置いたから気をつけて」という言葉が伝わっておらず起きた事故でした。焦らず、急がず、落ち着いて作業しましょう。

⑦コミュニケーションには細心の注意を
作業中にふと気になって、ご家族の方に「1週間くらい、こうした作業されているのですか?」と聞いてしまいました。その方は一瞬苦い顔をして答えてくださったのですがその瞬間「失敗したな」と感じました。考えれば明らかに辛い思いをされている方に過去のことを思い返すような質問は本当に愚かでした。事前に「作業に関すること以外は、お話になることがご負担な方もいらっしゃいます」と聞いていたのに。日常の雑談の感覚から抜け出せていませんでした。

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ボランティアサテライトに着いて、1番印象的だったのは手際がよいこと。

もちろん、改善してほしいところは言い出せばきりがないけれど、大変な状況とたくさんのボランティアを捌いている人々に感動しました。あと災害ボランティアアプリ作りたいなって思った。

おわりに

ボランティアには東京、埼玉、新潟、兵庫、広島など日本中の人々が集まっています。何度も参加されている方や金夜から長野入りされている方々も。

今回の災害ボランティア、僕はボランティアを目的に長野へ向かった訳ではありませんでした。

趣味のダンスイベントが土曜日にあり、「被災地のことをちゃんと知りたい」「いつも楽しませてもらっている長野県の力になりたい」といった動機で災害ボランティアへ向かいました。

行くまでは「何が正しい情報なのか?」「最低限、何が必要なのか?」「個人で行っても役に立てるのか?」など不安が尽きませんでした。

しかし、いざ行ってみるとバスの案内、ボランティア・サテライト、地域の方々、みな口々に感謝を述べられており、

「あぁ、来て良かったんだ。迷惑じゃないんだ」

と感じることができました。

長野やその近辺で暮らしていると、きっともう少し正確な情報が自然と入ってくるのだと思います。しかし、東京のような少し離れた場所だとどうしてもテレビやインターネットなどで装飾された情報が目に入りがちです。

事態の悲惨さを伝えることも大事ですが、肌感覚のある情報も大切。実際に災害ボランティアに参加した経験が少しでも次のボランティアにつなかれば、と祈ります。

以下に、僕がボランティア参加を決めたきっかけの記事、この記事を書くにあたり有用そうだと感じたツイートなどを貼っておきます。参考にしてください。

災害ボランティアに参加するにあたり「個人が特定されるような画像や情報は、SNS等で発信しないでください」という注意がされます。節度をもって投稿しているつもりですが、至らぬ点などありましたら個人的にメッセージいただけると幸いです。

Grazie per leggere. Ci vediamo. 読んでくれてありがとう。また会おう!