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アイルランドの大学院生活と日々のこと:須貝知世・瀧澤晴美

リムリック大学はアイルランド伝統音楽が学べるアイルランドの国立大学です。2013年にリムリック大学大学院を修了された須貝知世さん、そして在学中の瀧澤晴美さんに大学院生活や日々の過ごし方を伺いました。

須貝知世
2008年の語学留学でアイルランドを訪れた際にアイルランドとその伝統音楽に魅了され、日本にてアイリッシュフルートを学び、2012年にはアイルランドの国立リムリック大学大学院に入学。伝統音楽シーンを代表する様々な奏者から直接指導を受け、日本人として3人目となる修士課程伝統音楽演奏科を修了。日本へ帰国後は ” na ba na ” をはじめ複数のユニットでライブを行うほか、小中学校への演奏を行うなど多方面で活躍中。ソロの演奏では伝統的なスタイルを大切にしながら、歌い心のある音色づくりを心がけている。現在は山梨県在住。山梨県周辺のライブやイベントに参加。

瀧澤晴美
11歳からクラシックフルートに触れ、演奏することの楽しさを知る。2015年よりアイリッシュフルートを始める。2017年、アイルランド伝統音楽の国際大会Fleadh Cheoil na hEireann(フルートシニア部門)本戦出場。現在はハープとフルートのデュオ”Fiona”をはじめ複数のユニットで演奏活動中。とよたデカスプロジェクト2020入選企画「Asuke 夏の音」に参加。2021年にアイルランドの国立リムリック大学大学院に入学。

リムリック大学(The University of Limerick)
アイルランド第4の都市リムリックにある国立大学。通称UL。人文学部にはアイルランド伝統音楽とダンスを研究するコース、Irish World Academy of Music & Danceがある。

*この記事はポッドキャスト「旅するライナーノーツ」の第6回からリムリック大学大学院に関するエピソードを抽出し、再編集したものです。


アイルランド留学のきっかけ

ーーリムリック大学大学院へ留学されたきっかけを教えてください

須貝「はじめは大学の語学留学でした。リムリック大学附属の語学センターに留学していて。そこの大学院にアイリッシュダンスの勉強をするために通っている日本人の女性がいまして。『こんなことできるんだー』とすごく感動した記憶があって。もちろん、アイルランドの音楽やセッション文化に触れて感動したりだとか、アイルランドその国そのものにすごく惹かれたところがあって。日本に帰ってきて『もう一度アイルランドに行きたい!』と思ったんです。どうやってまた行こうかと考えた時にアイリッシュダンスで留学されていた方のことを思い出して『私、楽器好きだし......これだ!』と。『アイルランドの伝統音楽で、フルートで、留学したい!』と大学院入学を目指しました」

ーー国外の大学院を目指すのはハードルが高くありませんでしたか?

須貝「不安もあるけど『アイルランドに行きたい。この音楽を知りたい!』という気持ちが勝りました」

瀧澤「そうですね。知世さんにとってのダンスの方、それが私の場合、知世さんだった。客観的に見るとハードルの高いことをやっているようだけど、自分にとってはそれがハードルだとは思ってなくて。『私の道はこっちだ!』みたいな。もう私はとにかくそこへ行って、空気を吸って、自分の知識欲のために勉強をする!という方向ができてるから、すごく当たり前にこっちに来れたらなぁと」

ーー2人とも天職を歩んでみるみたいなお話ですね。

須貝「どうなんだろーねー。導かれる、みたいな?」

瀧澤「呼ばれるじゃないけれど、もうそこじゃないとだめだ!みたいな」

現地のクラスに飛び込んで

瀧澤「知世さんはアイリッシュフルートを始めて1年でリムリックの大学院に入学されたそうですが、よく1年で行ったな〜!と」

須貝「ほんとにそうですよね。私も当時の自分に『大変だよ!大変だよ!』って教えてあげたいです 笑」

瀧澤「今、授業が始まって2ヶ月ですが、知世さんのことを思い出すたびに、一年目でこの授業をどうやって乗り越えて行ったんだろう、と……。どのような心持ちでしたか?」

須貝「日本でとてもいい師匠に出会って、豊田耕三さんというのですけど。彼のところに1年間、週に1回、1時間半かけて通って、曲をたくさん覚えて、いろんなことを教えていただ来ました。朝から晩まで学校の練習室で練習して、夜にバイトをして、さらにバイトが終わった後にカラオケボックスで練習していました。GPAが高くないと留学できないので他の授業も必死で受けて……という1年間があったので大丈夫だろうというか、気持ちが真っ直ぐそこにしか向かってなくて。授業ではディスカッションもあって、実技以外での苦労もありました。でも、一年で行ってしまってわからないことがたくさんあって悩んだそのことも、伝統音楽を演奏する人たちのリスペクトにもつながっていて。伝統音楽に限らず日本に帰ってきてからもいろんな方と一緒に共演させていただいたり。そこでもやっぱりリスペクトがあって。なので一年で行ったことは今は全然後悔していません。……でも、やっぱり大変ですよね。授業どんな感じですか?」

瀧澤「今、前期の半分が過ぎたところで。終わった授業もありますし、新しく始まった授業もあるのですけど。今一番楽しんでいるのは、前期が始まってからずっと続いている週1回の実技の授業。毎週新しい課題が生まれて、それを解決していくために『どうしよ〜』と考えてひたすら指を動かす、みたいな。座学の授業もあって。論文を読んだり、自分の考えを言葉でまとめるという授業もあって。今まで私がやってこなかった作業だから。言葉にするとか、分析するとか。初めてのことだからそれなりに苦しみもあり。乗り越えていかなきゃいけないな〜というところですね。大変だな〜と思うこともあるけど、常に知世さんの影を探していて。なんか、告白みたいになっちゃうけど 笑」

須貝「ほんと。ハーミーは何の心配もしておりません」

瀧澤「いや〜。そんなことを言っていただけるなんて。ほんとに嬉しい」

須貝「私なんて、初めてぐらいの授業で『セルフナラティブ』という科目があって。やってますか?」

瀧澤「やってないです」

須貝「えっやってないの!? すっごく難しい授業だったんですよ。『セルフ?ナラティブ?って何だろう??』っていうところから。私だけじゃなくて、現地の学生もみんな困っているような授業で。ミュージシャンって、自分で演奏しながらいろんなことを考えたり、言葉にできないことを表現したりするじゃないですか。それはそれで良いんだけど、言葉で文章で説明してみようという授業だったんですね。論文を書いた、何とか書き終えた記憶があるんですが。授業の説明が一番最初にあって、なんにも理解できなくて。頭真っ白になって。輪になってクラス聞いてたんですけど、1人ずつ感想を言っていきましょうってなって。私の番になって『すみません、わかりませんでした』って私、英語で言った 笑。大変でしたけど、でもやっぱりどんな経験も無駄ではなかったって思います」

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授業スタイルの違い(2012年・2021年)

瀧澤「たぶん授業の形態が、私と知世さんでかなり違っていて。なぜなら今コロナだから。オンラインなんですよね、実技の授業以外は。だから、輪になって話すというのもなくて。オンラインで受けてデジタルのフォーラムに投稿する、みたいなのがあるんですけど。そこで論文とまではいかないけど、『自分がなぜここにいるか』『なぜ今大学院でそれを勉強しているか』『何にインスピレーションを受けたか』『自分の今までの人生の転機はどこだったか』を、短い文章で書くっていうのがあったのを今思い出しました」

須貝「それはいいですね。自分の気持ちの整理にもなるし、改めて自分はどうしてここにいるのか。すっと自分の中に入ってきそう。演奏していると演奏でコミュニケーションができるとか、言葉にできないことを演奏で伝えるとか、そういうふうになりがちなところもあるけど。言葉にしたり、文章にすることもすごく重要だなと思います」

瀧澤「ナイル・キーガンが『とにかく言葉にしろ』って言ってて。『言葉にしないと始まらない』みたいな授業が先週から始まりました。刺激的で楽しいけど、大変ですね」

演奏のスタイル分析

ーー他にはどんなことが印象に残っていますか?

須貝「言葉にしてみる書いてみる、という話の続きで。スタイル分析のレポートを書いたんですが、それがためになりました。今もあるかわからないんだけども。その当時は自分が気になっている、分析したい奏者にインタビューを直接しに行って。『どうしてその音楽を演奏しているか』とか『どういう意識で演奏しているか』とか、インタビューを30分ほどして。それを持って帰って全部書き起こして、スタイルの分析をしていくのですけど。まさに書き出していくことによって、『あ、自分はこういうスタイルを目指してるんだ』というのが明確になって。印象に残ってますね」

瀧澤「最近感じ始めたのが、好きな奏者ってきっと誰しもいると思うんですけど、『好きな奏者が好きな理由』を言える人ってあんまり多くないんじゃないかなーって。何となく好きとか、この演奏のここがかっこいいからとか、グッとくるから好きとか。『ほんとにほんとに何で?』っていうところ、文字にしたりとか分析をしてみたりしてわかることだなーっと思って。好きな奏者が好きな理由を深掘りしていくと、『私はここの地域のスタイルが好きだから、そのスタイルを持っているその奏者が好きなんだ』と思ったり。『じゃあその地域を今度は分析してみようかな』と思ったり。何だか、本当に深い学びだと最近思いました」

須貝「今、深掘りってワードが出て、まさにそうだな〜って思いました」

瀧澤「深掘りすることってすごく気力を使うから。なかなか気軽にできない部分もあるんだけど。いざやってみると『だからか!』と思い直したり。もっともっとやりたいな、知りたいなと」

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Irish World Academy 建物内にある絵画

セカンド楽器

瀧澤「授業の話のつながりで、選択授業なんですけど。授業でアコーディオンを始めて、新しいことを始める苦しみに味わっているんですけど、知世さんはコンサーティーナはいつ頃始めたんですか?」

須貝「コンサーティーナは所持歴は長かったんです。安いメーカーのコンサーティーナをずっと持っていたのですが、2年前かな?上位モデルのキャロルというコンサーティーナが届いてから、そこから割と真面目に練習してます。コンサーティーナ、もともとすごく音色が好きだったり、弾きざまがかっこよくて、とても好きで。『でも難しい。フルートで一杯一杯だな』というのがあったんですけども、新しいキャロルのコンサーティーナですごくインスピレーション受けるものがあって。深掘りしていくと、フルートを始めた時のような感覚が訪れることがあって。リズムの作り方だったり、装飾の入れ方だったり、どうやったら歯切れよく入るかとか。そうゆうのを研究するのも楽しいし。フルートと違う旋律のアレンジや装飾の入れ方を学んでいくのは楽しいですね」

瀧澤「素敵ですね。アイルランドにいる時に初めてのコンサーティーナを手に入れられたのでしょうか?」

須貝「それもね、もう今となってはあまり記憶にないんですけど、結構前だと思う。帰ってきた後か。ただ、ずっと眠らせてて。そう、セカンド楽器という項目があるんですよね。その時は私はピアノをやってました」

瀧澤「え」

須貝「ちょっと伴奏を教えてもらったりだとか」

瀧澤「そっか、知世さんピアノもできるんだ」

須貝「一番最初に始めた楽器がエレクトーンだったので。自由に弾ける程度ではなく、楽譜を見ながらちょっと嗜むくらいで。ピアノの音色もすごく好きで、いつかもうちょっと深掘りしたいなと思っている楽器です」

ーーセカンド楽器は伴奏がベースの授業なんですか?

須貝「なんでもいんだよね」

瀧澤「私の同級生で、セルビア出身の子がいるんですけど。その子はメインの楽器もセルビアの伝統楽器で。フルーラ、ティンホイッスルみたいな形の。セカンド楽器もセルビアのバグパイプを選んで。そういうのもありかと。去年の卒業生で中国の男の子もセカンド楽器は中国の伝統楽器でした」

須貝「他にも歌も選択できたり。ダンスも入ってきたり」

瀧澤「そうなんですね。それ最早インストゥルメンタルでないですね」

一同(笑)

前期ファイナルパフォーマンス

瀧澤「前期のファイナルパフォーマンスがあって」

須貝「短めのやつだよね、20分の」

瀧澤「あれの日程が昨日上がってきて、『いよいよだー!』とドキドキになりました」

須貝「ドキドキだよね。誰か一緒に演奏してもらったり?伴奏とか」

瀧澤「どういう風に進めたらいいのか迷ってて。伴奏っていうか、演奏してくださいって、同級生の中でお願いするのでしょうか?」

須貝「誰でもいいんだよ」

瀧澤「誰でもいいんですね!」

須貝「うん。誰でもいい。もし、わかんなかったら先生に紹介してくださいって。それで大丈夫だと思う」

瀧澤「誰か一緒にやんないといけない、とかではない?」

須貝「ではないけれど、大体みんな誰かと一緒でやってる」

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マスタークラス

瀧澤「来週、来週じゃないもう明日だ。明日、ブライアン・フィネガンのマスタークラスなんです」

須貝「いいですね〜!私も受けました」

瀧澤「どうでしたか?」

須貝「『作曲を毎日してみろ』って言われました。それが一番印象的。ブライアン・フィネガンって曲いっぱい作るじゃないですか。毎日曲を作れば、いいやつもあるし、いまいちだなっていうのもあるけど。毎日作ることによって、いい曲が生まれることを教わって。『そうやって彼は素敵な曲を作ってるんだな』と思った記憶があります」

瀧澤「フルートのマスタークラスを受けるんですけど、ブライアン・フィネガンにフルートのイメージがあんまりなくて。ホイッスルのイメージがすごく強いです」

須貝「昔はフルート吹いていたのかな」

瀧澤「そうなんですね」

須貝「今、タンギングを使うスタイルじゃないですか。ブライアン・フィネガンって。昔はカッフィング?喉で切るというか、タンギングではない奏法で演奏していたけど。『ある楽器に出会ってそれを吹いたらそのインスピレーションでタンギングに変わった』ってことを話してくれた記憶があります。聞いたらきっといろいろ教えてくれると思います」

瀧澤「質問を準備していこうかな」

須貝「マスタークラスって長いよね。一日?」

瀧澤「そうですね。6、7時間」

須貝「フルートは何人いるの?」

瀧澤「2人です」

須貝「2人か。じゃあもう聞きたい放題だ」

瀧澤「聞きたい放題か。うおーー」

須貝「結構疲れるけど、めちゃくちゃためになります。楽器によってはフィドルとか、6、7人?結構多くて。クラス分けたりしてたかもしれないけど、やっぱり、少人数だと聞きやすいこともありますし」

瀧澤「確かに」

須貝「どっちかが休むと1対1になっちゃって結構長いとか」

瀧澤「間が持たないかもしれない」

須貝「貴重な貴重な、マスタークラス。ぜひ楽しんでください*」

瀧澤「楽しみです。おっかないな〜と思うところもあるけど」

須貝「みんな優しいから大丈夫だよ」

瀧澤「ほんとにね〜。勝手に私が怯えてるだけで、みんな、優しいなーって思います」

須貝「自分が思ってるほど、みんな私のこと『こいつ吹けない』とかそんな目で見てなかったな〜って。クラスのメンバーだけ集まってみんなの前で1人ずつソロで演奏して、みんなにコメントを書いてもらうっていうのが授業であって。怖くて泣き出しちゃう子とかがいて。でもみんな、そんなつもりで聞いてない」

瀧澤「ジャッジする目では見てないってことですよね」

体力づくり

瀧澤「マジェラいるじゃないですか。マジェラが私にまず言ったのが『あなた体力がないから走りなさい』って」

一同(笑)

瀧澤「体力っていうか、1セット吹き続ける体力がない。筋肉を維持する力をつけるためにランニングを勧めてもらって。そこから私も走るようになりました」

須貝「おおー」

瀧澤「毎日じゃないけど、買い物行くついでとか。すきま時間を使って体力づくりをするようにしていて。リムリック大学の近くのいろんなところを走ったり。今は紅葉の時期だからそれを見ながら走ったりだとか」

須貝「いいですね〜。ランニングで思い出したけど、私もランニングしてて。アイルランド留学中、ジムで毎日走るくらい、ずっと」

瀧澤「毎日はすごいなー」

須貝「それも楽器の練習と同じで、始めたらやめられなくなってしまって。ジムに行って筋トレして30分くらい走って、っていうのをやってた記憶があって。体力付きましたよ?笑 ぜひ続けてください」

瀧澤「目標は毎日にすることかな。今は走った次の日の筋肉痛がすごくて。アイルランドは過ごしやすいっていうか、むしむししてないから。走ってもダクダクにはならないですね」

須貝「走っている人、結構多いですよね」

瀧澤「いらっしゃいますね。趣味としてのランニングをされる方が多い」

須貝「キャンパス内も」

瀧澤「そうですね。学生じゃなくても、おじいちゃんとか、走ってますね」

須貝「マジェラ懐かしいな」

瀧澤「すごく優しい方で、いっぱい褒めてくれて嬉しい」

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大学構内を流れるシャノン川

授業以外の過ごし方

ーー授業以外ではどのように過ごされていましたか?

須貝「大学院だったので学部生のように授業は詰まっておらず。割と空き時間もあったんですけど、アイルランドは一年で行ったのですごく苦労した部分もあって。結構な劣等感の塊だったんですよね、私。うまく吹けないし、授業やレポートも大変で、うまくコミュニケーションが取れなかったり。なので空き時間に人一倍練習していました。あとはお茶飲んだり。散歩もしていました。大学の中に素敵な散歩コースがあるんですけど。もしかしたらハーミーも散歩したことあるかもしれない」

瀧澤「行きました」

須貝「ハーミーと私、キャパビラ(Cappavilla)っていう寮にね、私が住んでいた寮に住んでいるとお聞きしたんですけど。キャパビラからすぐ近くの小道をずっといくと小川がずっと流れていて。40分歩くとシティセンターまでつながっているのですが。よくそこを散歩しながら『さんぽ』という曲を作ったりしました」

瀧澤「今、日本人の学生が私1人だけで、お友達ができなくて。そういう意味ではもうすでに孤独を感じています」

須貝「私の時は早稲田から何人も来てたからそういう意味では救われていたけど、夏の時期みんな帰っちゃって。寮もほとんど誰もいない状態で。授業が全部終わって、ファイナルパフォーマンス前の3ヶ月が本当に孤独でした。毎日ひとりで走って、ひとりで練習して、ひとりでご飯食べて。『でもきっと、もっと大人になったらこんな時間二度と来ないんだろうな』って思って泣きながら練習してた」

瀧澤「たしかに」

アイルランドの好きなところ

ーーアイルランドのどんなところが好きですか?

須貝「もうこれはずっと印象が変わらないんですけど、アイルランドって国全体がおばあちゃん家みたいな居心地の良さがあるなと感じていて。人がすごく親切だったり。大荷物で歩いていると車が停まって『乗ってく?』って声かけてくれたりとか。道を聞いてもすごく丁寧に教えてくれたり。おばあちゃんそのものが優しかったり。『Lovely girl !!』とか、lovelyという言葉をすごい多用するところとか。人が親切。すごく居心地がいいなと思います。あと、結構のんびりしている部分があるんですよね。レストランで注文しようとしたら、シェフの人が『僕もう飲んじゃってるから作れない〜ごめん、ははは〜!』みたいな。日本から行くと衝撃なんですよね。そののんびり感が。ガソリンスタンドでガソリン満タンにしていざ出るぞというときに知り合いのおじいちゃんが歩いてきて。出るぞというその場所で20分間くらい立ち話を始めるとか」

瀧澤「車を途中で止めてね」

須貝「そうそう」

須貝「なんかゆっくりした感じだなぁって。そこがすごい好きです、アイルランド」

瀧澤「人間味がありますよね」

須貝「急かされてない感じ。風景もとっても長閑で、好きですね。どこまでも緑が広がってたり。遠くの空まで綺麗に見えたりするんですよね、遮るものがなくて。そこにポツポツって家があったりとか。遺跡が残っていたり。そういう風景がグッときます」

瀧澤「すてき」

須貝「ハーミーは?アイルランドのどんなところが好きですか?」

瀧澤「国全体がせかせかしてないところが肌に合うなーって。今までの自分はなんでこんなに、あれこれやらなきゃやらなきゃーとか考えたり。急いでるじゃないけど、頭の中がいっぱい、何かいつも考えてたけど。アイルランド来て周りがそんなにやらなきゃやらなきゃで追われてないというか。自分は自分で持っているところが好きです。時間をしっかり過ごすとか、仲のいい人と集まってちょっと話すとか。『何時に集まって何時にあそこ行って〜』じゃない。キツキツじゃない感じ。ふら〜っと集まって、ふら〜っとお茶飲んで。ふら〜っと『またね!』って別れるみたいなのが良いなぁ!と思います」

須貝「わかります」


* * *

ポッドキャスト本編では、リムリック大学院のこと以外にも、ソロアルバムのお話や長野山梨とアイルランドの共通項など面白いお話をたくさん伺いました。

ポッドキャストのBGMでは知世さんのファースト・ソロ・アルバム「Thousands of Flowers」も聴くことができます。また違った雰囲気で楽しめるのでこちらもぜひ。Apple Podcast、Spotifyで聴けます🎧

https://spoti.fi/3qmr6Fc

https://apple.co/3CUyj2P

旅するライナーノーツは、音楽で旅に出ようのスピンオフ企画です。ウェブサイトでは北欧やヨーロッパなど異国の音楽を演奏しているミュージシャンのCDを紹介しています。ウェブサイトでは自分ぴったりのCDを探せるフローチャートや紹介文も掲載しています。
https://oto-tabi.web.app/

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Grazie per leggere. Ci vediamo. 読んでくれてありがとう。また会おう!