100日後に死ぬワニ

自分は日常系というジャンルの良さはありふれた日々の価値に(やさしいテイストで)改めて気付かされるところだ。

きくちゆうき氏により現在毎日連載中の「100日後に死ぬワニ」はネガティブっぽいタイトルかつ、毎回終わりに「ワニ」の死までのカウントダウンがスマートフォンの通知のごとく示される。

「ツイッター漫画」にはあまり詳しくないけれど、自分のTLで目にするものは実話や事実を伝えるケースが多い中が、「100日後に死ぬワニ」はフィクションであり、日常系に近い印象を持っていて、ストーリー自体は実話の漫画とほぼ同じで他愛もない日々である。ただ、遠くない未来に死ぬことが決まっていることによって緊張感とそれによって際立つ小さな幸福が面白いと思えるポイントだと思う。
これは多分自分たちの人生にも言えることで、事故にあえばなんの前触れもなく死ぬし、嫌なことがあって心がすり減ってしまえば鬱になってしまうような脆さを持っている。だから「ワニ」がなんか他人事と思えない。

もう一つなんか面白いなと思ったのはこの漫画の形式がSNSの特性に沿っていると思ったこと。
「ワニ」や他のキャラクターに名前がないのは固有名にしないことも読者に自分の世界とは別のフィクションのキャラクターであることを意識させない工夫に見える。
それとTwitterのTLに流れてくるこの漫画は普通の人が日々ツイートするような町中であったこととか、一般市民の生活を(基本的には)主観で捉えた話であり、内容は他の、実際の人のツイートにあるようなものばかりであることは、自分が町中ですれ違う人やネット越しに見る人にも自分や「ワニ」と同じように人生があることを思い出させてくれる。

どうやって終わるのかわからないけど、終わってほしくない、終わりを見たくない気分は日常系が最終回に近づくときの気分と同じだ。

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