オープンAI首位、290億ドル 生成技術の企業価値ランキング ユニコーン、すでに6社2023/02/26 日本経済新聞 朝刊 3ページ 728文字 PDF有 書誌情報 人工知能(AI)を活用した文章などの自動生成技術を持つ企業が急成長している。オランダの調査会社ディールルームによると、未上場で企業価値10億ドル以上のユニコーン企業がすでに6社誕生し、1億ドル以上の新興勢は30社以上に達する。

大手テック企業による投資競争も激しくなっている。(1面参照) ディールルームによると、生成AIの企業価値トップは米マイクロソフトが投資する米オープンAI。利用者が1億人を超えたといわれるChatGPT(チャットGPT)の成長期待は大きく、企業価値は290億ドルと1社だけで全体(約100社合計)の6割を占める。
米グーグルも動く。オープンAIの研究者が設立した米アンソロピックに約3億ドル投資した。同社はAIで懸念される安全性や透明性を高める研究が強みで、企業価値は29億ドルと2位につける。グーグルはAIの学習に不可欠なコンピューターの計算基盤を提供してベンチャーと関係を深め、カナダのコーヒア(企業価値5億~7.5億ドル)とも協力する。
 欧州勢も存在感を高めている。英ディープマインドはトップ棋士を破った囲碁AIの開発で知られ、近年は言語のAIにも力を入れる。オランダのクリエイティブ・ファブリカのように文章からデジタルアートを生成する企業もある。
 IT(情報技術)の人材の層が厚いイスラエルやエストニアのスタートアップにも勢いがある。一方、日本企業はディールルームのリストに登場せず出遅れが懸念される。
 調査会社グランドビューリサーチは生成AIの世界市場が年平均35%のペースで拡大し、2030年に1000億ドルを超えると予測する。東京大学の松尾豊教授は「インターネット初期のように様々な分野で商機が出てくる」と指摘する。

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