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鉄オタ就活生、名古屋出張ついでに高山本線を乗り潰す

2022 年秋、Go To トラベルに続く全国旅行支援が始まり観光地に旅行客が戻り始めていた。しかしながら私は就活・研究に加えて大学院の文化祭にもそこそこコミットしてしまい、旅行とは全く無縁の生活を送っていた。

そんな中、就活関連で施設見学のお誘いをいただき名古屋へ行く用事が突如湧いてきた。見学会は月曜に開催で、都合の良いことにちょうど大学の試験期間と重なるため講義もお休みとなる(院生なので試験のある講義は取っておらずレポート提出のみ)。「ということは直前の土日も使えるな……これは出張ついでに旅行するしかない!!」と思い意気揚々と出かけた話。なお、就活記要素は0なので就活情報をお求めの方はコチラへどうぞ。


で、名古屋にはすでに2回ほど旅行に行っているため今回は別の場所に飛んでから名古屋を目指す形にしたい。ということでいろいろと旅程を考えた結果、JR 東海の新型特急車HC85系による置き換えが進む「特急ひだ」に乗って高山本線を乗りつぶしすることにした。

なお前回、前々回の名古屋旅行は以下の記事に書いた。

富山へ飛ぶ

まずはさっそく高山本線の終点となっている富山へ行く。土曜の朝ということで羽田空港はけっこうな混雑。ひとまずラウンジに逃げ込んだ。

今回の旅では施設見学のためにスーツと革靴を持ってきている。スラックスの方は折りたたんで圧縮袋に入れてしまったが、ジャケットの方は圧縮するわけにもいかず上の写真のように持ち歩くことにした。国内旅行は海外バックパッキングと比べて難易度が低いため、これくらいの縛りがある方が良い刺激になるだろう

で、少し時間に余裕を持って搭乗口へ……行ったは良いものの、人人人で大混雑。もっとギリギリの時間に到着するようラウンジで調整すべきだった……。

前回の記事で書いた能登・金沢旅行の時とは大違いである。土曜朝と日曜朝という曜日の違いも影響しているとは思うが、旅行環境の移り変わりを改めて実感することとなった。

2021 年の春は閑古鳥大合唱だった

機内も満席とのこと。とはいえ、あらかじめ窓側を予約してあったため特に窮屈することなく東京上空からの景色を楽しむことができた。

東京都心をぐるっと回りながら西へ向かう。手前に見えるのが上野公園・不忍池で、その奥やや右に東大本郷、さらに奥に見えるのが後楽園だ。普段歩いている場所を上空から眺めるのはなかなか面白い。

富山空港に到着後、連絡バスで富山駅へ。革靴の入ったバックパックがとにかく重たいので、チェックイン前の宿に荷物だけ預けて観光開始。海が近いからか寒さが控えめだったため、着用していた秋用コートも脱いで預け代わりにスーツのジャケットを着た。意外と私服の上に着ても違和感ない

富山観光

観光……といっても鉄オタの私としては富山地鉄の乗りつぶしがメインである。というか富山市内に観光地ってあるの?富山地鉄は路面電車郊外路線を運行しており、立山や黒部を結ぶ観光路線の側面も持つ。

公式 HP よりキャプチャ

で、今回は「地鉄観光列車フリーきっぷ」という1日乗車券を購入。路面電車に加えて一部の郊外路線にも乗車可能だ。なんと時刻表の冊子もおまけで付いてきた。なお、現在このきっぷは発売されていない模様だ。

路面電車にはかなり年季の入った車両もいる一方、低床型のモダンな車両もバンバン走ってる。

電停はけっこうサビサビしてて低床車両との対比が面白い。

ひとまず郊外路線と接続する南富山駅に行ってみた。

岩峅寺(いわくらじ)方面の列車に乗車。

それにしてもこの絵面、完全に東急だわ。ちなみに4扉車だが中の2扉は締め切っているらしい。

終点の岩峅寺に到着。

なかなか歴史のある駅舎……!富山地鉄には歴史ある駅舎が多く残されているらしく、老朽化で建て替えられる前に訪れてみたいものである。

立山線の富山行きに乗車。元京阪の列車だ。なお、今回のフリーきっぷではここから立山方面に行くことはできない。

途中、西武線の民としては大変見覚えのある車両を発見。富山地鉄と言えば初代レッドアローが有名だが二代目も譲渡されていたのね。

富山駅に戻り、再び路面電車へ。路面電車の富山駅は南北を貫通する形で設置されており、在来線や新幹線からも段差なくアクセスできる。中央の通路を電車が通過する際には機械音声で「渡らないでください!!」と繰り返しアナウンスされており、ちょっと騒がしかった。

まずは富山港線に乗車し岩瀬浜へ。金沢の時は快晴の日本海を拝めたが、今回は北陸らしいどんよりした曇り空。

富山港線は元々 JR の路線だったが利用状況が芳しくなく、第三セクターとして LRT 化された後に富山地鉄へ合流したという背景がある。そのため基本的な線路設備は一般的な在来線規格となっており、真っすぐ伸びる線路を低床車両が爆走する面白い光景が見れる。

LRT 転換後は利便性が向上した影響もあり利用状況・経営状況ともに改善しているそうだ。実際、沿線の利用客はかなり多かった。地方自治体による公共交通の立て直し・コンパクトシティ政策のモデルケースと言えるだろう。

その後も富山大学前系統・市内巡回系統それぞれを乗りつぶし、富山地鉄の路面電車は全線完乗を達成

なお途中から雷雨となり、折りたたみ傘を差しながらぶらぶら歩いていたらびっしょびしょになってしまった。東京だとこの時期に雷雨ってほとんどないのだが北陸だと違うのかな。

翌日

そんなわけで翌日、ようやく高山本線に乗車する。貫通扉のキハ 85 系が入線してくる。

始発駅なので並ばずとも余裕で自由席に座れる。観光利用を考慮しているためか車内設備はけっこう豪華な感じ

富山を出発してしばらくすると車窓は完全に山岳路線に。ディーゼルエンジンの力強い音を響かせながら進んでいく。

で、1時間半くらいで高山に到着。私は一旦ここで途中下車。

特急ひだはここで高山始発の車両と連結し、名古屋まで向かう。

それなりに暖かかった富山に比べると、内陸かつ標高の高い高山はかなり寒い!車外に出た瞬間ぶるっとした。ジャケットの上にさらに秋用コートを着用してちょうどよい感じだ。

高山観光

観光の中心地は駅から 10 分ほど歩いたところにある。そんなわけで、またしてもチェックイン前の宿に荷物を預けてから向かうが……

うおおおおおい!人多すぎ!密です!密です!……というのはカメラの望遠効果が悪さをしているだけなのだが、ちょっぴりオーバーツーリズム気味な感じはした。

というわけで人のあまりいない観光スポットへ。高山城跡を見たり、

高山陣屋を見学したり……といった感じで脳死トラベル。

あとはぶらぶら街歩き。観光客でわちゃわちゃしている「古い町並み」以外のエリアも、なかなか歴史を感じさせる良い街並みがたくさんあった。

こういうローカルな路地も大好き。

昭和な街並みだ。

高山に来る観光客は「古い町並み」エリアにしか興味がないのか、少しでもエリアから外れると途端に人気がなくなるのが面白かった。

また、観光の中心となっている通りもしばらく歩くとローカル臭がぷんぷん漂う街並みに早変わり。

「こんな狭いエリアだけで1日観光なんてできるのだろうか?」と思ったが、自家用車やバスツアーで乗り付けて数時間だけ滞在……といったケースが多いのかもしれない。

山との対比が良いなあ。

なんと、飛び出し坊やの看板にえるたそ。そういえばここは「氷菓」の聖地だった……!全然リサーチ入れていなかったが、一応聖地巡礼したということにしておこう。

日が傾いてくると昼間はわちゃわちゃしていた観光客もどんどん減っていき、ちょっぴり哀愁を感じる良い景色になっていた。

さらに翌日

で、月曜日。ようやく出番の訪れたスーツと革靴を着用して出発。……の前に、朝市に寄っていろいろ物色してみる。

宮川朝市の方は開店とほぼ同時に滑り込めたが、陣屋朝市の方は準備中だった。こちらの方が開店早いらしいはずだけど、なぜだろう?

で、再び「古い町並み」エリアへ。観光客ゼロで写真撮り放題!

観光雑誌とかネットの記事で高山観光の写真によく使われるのがここ。人が入らなければけっこう映えるけど、日中は厳しいと思う。

いざ名古屋へ

そんなわけで朝の高山観光を終え、特急ひだに再び乗車。今度は新型の HC85系だ。

この車両はディーゼルエンジンで発電してモーターで駆動するハイブリット式気動車となっており、乗り心地としては気動車よりも電車に近い感じだ。加速時はバッテリーからも電力を供給してアシスト、減速時は回生ブレーキで充電といった感じで一般的な気動車よりもエコな設計となっている。

先代車と比べると観光というよりもビジネス色の強い内装だったが、車窓は楽しめるので問題なし。

山岳区間を抜けて美濃太田あたりまで出てくると、沿線の建物が目立つようになってくる。線形も良いため、特急の名に恥じないけっこうなスピードで駅を通過していく

鵜沼からは名鉄の各務原線と並行。名鉄とのデッドヒートを楽しめるかと思ったが、向こうは各駅停車しかない上に線路も近づいたり離れたりで併走することすらなかった

で、東海道本線に合流して岐阜駅に滑り込む。高架橋の車窓からは名鉄岐阜駅がバッチリ見えた。特急ひだはここでスイッチバックし名古屋へ向かう

後ろ向きで進むのは気持ち悪いが、岐阜~名古屋間の所要時間があまり長くないため座席の向きを変える人はいなかった。そもそも名古屋発の便は名古屋~岐阜間で座席が後ろ向きになる状態にセットされているらしい。

で、今度は名鉄名古屋本線と併走。線路が近づいたあたりでちょうどタイミング良く急行列車を捉える!!

そしてゆるりと追い抜く。ククク……気動車に追い抜かれる気分はどうだい?

……と思ったのだが、尾張一宮に停車する関係で駅への到着はほぼ一緒。特急は加減速・停車時間が長いこともあり、発車後は名鉄の方が若干リードする形となった。

尾張一宮を出るとすぐ名鉄と離れ、サクッと名古屋に到着。新幹線と仲良く一緒に滑り込んだ。

東京へ帰る

で、名古屋での用事を済ませてから夕方に再び名古屋駅に到着。用事の終了時刻が読めなかったため自由席を取ったが、無事に座れるだろうか……。

ちなみにのぞみの列車番号には意味があり、200 未満の番号は新大阪を超えて山陽新幹線に直通200 以上の番号は東京~新大阪間のみの運行である。で、名古屋から東京方面に乗る場合どちらを選ぶべきか……は正直よくわからない。このあたり詳しい人がいたらぜひご教示いただきたいものだ。

今回は何も考えずに一番最初に来た列車に乗り、座れないなら次ののぞみを待つ、待ってもダメそうな混雑状況なら諦めるかひかりを狙ってみるという作戦にした。

ちょうど先発ののぞみが出たばかりなのか、自由席の待機列2人目に並ぶことに成功。次の列車は博多始発ののぞみだ。京都発時は満席でも名古屋で降りる人がそれなりにいるだろうから、そこで席が空くのに賭ける。

で、結果的には2人席の通路側に座ることができた。乗り込んだ時点で 5-6 人くらい空いていたので、平日夕方の上りでも待機列の先頭付近に並べれば名古屋からも自由席に座れそうなのでぜひチャレンジしてみてほしい。まあコロナ禍完全に明けた現在は状況も変わっているかもしれないが……。

おわりに

そんなこんなで名古屋出張ついでに高山本線を乗りつぶした話だった。富山地鉄の郊外路線はまだまだ乗り潰せていないため、また機会があれば訪れてみたい。

……といったところで今回はここまで。

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