しばらく名言シリーズをお休みしていて、まとめなるものも作ってみましたが、まとめも”イーストブルー編”で一旦終わらせて、続編はまた切りのいい所で出したいと思います。
グランドラインに突入し、いよいよファンも多い「チョッパー編」をお送りしてまいります！

物語と名言

巨人の”ドリー”と”ブロギー”が「誇り」を掛けた決闘を行い、”バロックワークス”の介入もありながら見事退け、「リトルガーデン」を後にした一味は、「アラバスタ」に向かって船は進む。

一人、アラバスタの争乱に気を揉む、王女ビビに、ナミやサンジが優しい声をかける。ゾロは修行し、ルフィとウソップはサンジの料理を食べていると、突然ナミが高熱で倒れてしまう。４０度まで熱が上がってしまい、医者のいない海賊団はあたふたしてしまう。先を急ぎたい一行だが、そこに届けられた新聞に、アラバスタの状況が悪化していることを知る。益々急がなければならない状況で、ナミはフラフラになりながら気丈に振舞うが、この状況下で最も先を急いでいるビビが、その状況にあって一味に提案する。

「私の国は大変な事態に陥っていて、とにかく先を急ぎたい。」
「これからこの船を"最高速度"でアラバスタ王国を進めてほしいの！！」

それを聞いたナミは

「当然よ！約束したじゃない！！」

と笑顔を作るが、それに対して答えた、今回のビビの名セリフ。

「だったらすぐに、医者のいる島を探しましょう。」
「一刻も早くナミさんの病気を治して、そしてアラバスタへ！！
　それが、この船の”最高速度”でしょう！！？」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　出典　ワンピース／尾田栄一郎　集英社

ルフィも、

「そおーーーさっ！！それ以上スピードは出ねぇ！！」

と笑い、一味の面々も、そのビビの覚悟と決断を喜ぶのだった。

そして、病気の中でも気候の異常を察知し、巨大な”サイクロン”を避け、ナミを助ける為に、船を進める。

名言の意味

ビビは一国の王女であり、”バロックワークス”の謀略から国を守る為に、”バロックワークス”に入りました。ボスの正体を突き止め、護衛のイガラムを失い、共に戦う仲間を得ました。全ては祖国の為に。

そんな状況で、国よりも仲間を優先することができるでしょうか？

誰よりも国の争乱を不安に思い、国の危機を感じている中で、そのビビがナミを助けることこそ、船の”最高速度”だと言い放ちました。ナミも、高熱で苦しいはずなのに、何一つ弱音を吐かず、ビビの為にアラバスタに向かうことを優先させようとしましたが、ビビは、そのナミの姿をみて、ナミの病気を治すことが、この船の最高速度だと思うことができた。もし、ナミが弱音を吐いたり、「医者を・・・」と言っていたら、ビビのこの決断はなかったかもしれません。

一味の皆が自分自身のことではなく、他人で同船しているだけのビビに対し、最優先に考えている。そういう信頼関係があるからこそ、ビビは決断できたんだろうし、それによってビビへの信頼も深まったと言えます。
人は、どうでもいい人の為に命を賭けることはできません。やはり、深い信頼関係があったり、同じ志や夢を持つ仲間だからこそ、背中を預けたり命をかけられるものです。

本当にほしいものを手放すと、手に入る逆説の不思議

今回注目したいのは、ビビの欲しいものは、国の平和です。ナミが病気になったことで、一刻も早く国へ向かうことよりも、遠回りして時間がかかっても、仲間の命を優先しました。
結果的にではありますが、このビビの決断によって、「チョッパー」という仲間が増えることにもなるし、ビビと共に命を賭けて戦う信頼が深まりました。１秒でも早くアラバスタに行きたいはずなのに、それを手放したことで手に入る、という不思議があります。

これは、意外と法則のようなもので、どうしても欲しくて執着することで、得られることだってありますが、欲しいものを「いらないや」と思いにおいて断捨離すると、手に入る状況になったりします。このことについてはまた深く追求したいと思いますが、私の座右の銘は、「道中を楽しみ、”道楽”に生きる」というものです。
「神アニメランキング！虹見式」で取り上げている『HUNTER×HUNTER』のコラムで主人公ゴンの父ジンが、ゴンに向けて伝えたメッセージがあります。

「道草を楽しめ。大いにな。
　欲しいものより大切なものが、きっとそっちに転がってる。」

人間、結果や答えを欲しがるもので、それは「結果」であり、目的でもあります。でも、「大切なもの」は「道中」にこそある、ということを、私はこのメッセージから受け止めているし、自分自身実感しています。

「成功する」ということや「幸せになる」ということは、結果であって、それは重要ではありますが、本当に大切なものは、その過程や道中にこそある。実は「成功」も「幸せ」も、結果や成果、形あるものではないのではないでしょうか。

高校野球のように、結果だけが全てではなくて、結果を出す為に努力し、向き合ったことこそが、本当に大切なものになるはずです。仮に、高校野球で優勝したから幸せになる訳ではありません。仲間と共に同じ目標に向かって汗を流し、時にはぶつかり、共に頑張った時間がかけがえのないものとなり、一生の仲間になること方が、幸せを感じられるはずです。

つまり、結果だけを求めたって、「成功」も「幸せ」もないということです。もちろん、道中を楽しんだ上で、結果も出るのが一番いいとは思います。ただ、ビビが、自分の望む「結果」を最優先に考えていたら、麦わらの一味は協力したかもしれませんが、あの感動の「アラバスタのラストシーン」は生まれなかったと思います。もちろん、国が転覆してしまえば元も子もないですが、道中を楽しんで結果も出せれば「本物」になるのでしょう。

道中を楽しむだけでも、結果を求めるだけでも、「本物」とは言えないんでしょう。ぜひ、道中を楽しみにながら、望む結果も導けるようにしていきたいですね！