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ノーサイド・ゲーム⑤「倒れてからが勝負」

今週、いよいよ最終回を迎える『ノーサード・ゲーム』実は密かにリアルタイムまで追いついていたので、最終回までに全話を振り返られるようにコラムを配信していきますので、観ている方はもちろん、観ていない方も、今から全話振り返るのも大変なので、コラムを読んでいただいて追いついて頂ければと思います!

今週のnoteは、『ノーサイド・ゲーム』ウィークとさせていただきます!

簡単なあらすじ

破竹の勢いに乗ったアストロズは、15連勝を飾り、最終戦いよいよ残すは最大の敵「サイクロンズ」だった。サイクロンズは、プラチナリーグに所属している16チームの中でも、特に今年は「1強15弱」と言うほどの強さを誇り、それは圧倒的な資金力にもよるものだった。そのサイクロンを指揮するのは、柴門追い出した監督で柴門にとっても因縁の相手だった。

圧倒的な戦力差に、柴門も頭を悩ませるが、君嶋との会話から糸口を見つける。サイクロンの武器「スピード」を磨くことで、パワーに対しスピード勝負を仕掛けることだった。その為に、レスリングの修行をすると、霊長類最強女子も、ドラマに初出演することになる。

試合に向けて、柴門監督への取材の連絡が入るのだが、それを利用し、君嶋は合同記者会見を開くことにする。
因縁のある二人ということで、マスコミも50社集まり、因縁がらみの記事にしたい記者が、柴門に今の心境を質問すると、

「大先輩でもある津田さんに失礼のないように、全力で、徹底的に叩き潰す!」

と宣戦布告する。
そして、今期の活躍に対して、君嶋の存在や、アストロズが素晴らしいチームであること。その全てを持って叩き潰すと宣言をすると、その会見を見ていた選手達は、「勝ちたい」を通り越した気持ちが奮い立つ。GMの為、監督の為に、命がけで叩き潰すと、士気を高めるのだった。君嶋の策略は見事に成功する。

試合当日、控え室で手を繋ぎ円陣を組む選手達。そこに、GMとマネージャーもその輪に招き、勝つための雄叫びをあげる。

満員の観客の中、決勝戦のキックオフ。

地力に勝るサイクロンズに苦戦はするものの、食らいつくアストロズ。見事に抑えられ、前半は差をつけられるが、最初から後半勝負にかけていた柴門は、抑えられていた里村から、ずっと控えに回っていた佐々を投入する。

後半スピード勝負は見事にはまり、追い上げるアストロズ。ノーマークだった佐々のプレーを止めることができず、佐々の唯一の武器であるパスによって、アストロズのスピードが機能する。佐々自身もトライを決め、会場は大歓声に沸く。子供達にラグビーを教えていた佐々に対し、子供達も盛り上がり、笹と同じ「21」の背番号をつけた君嶋の息子も、誇らしげに応援していた。

そして4点差に迫ったラストプレー。
逆転するには一発勝負のトライしかない。勝負の行方は・・・。
コーナーギリギリで止められながらもダイブでトライを決めたアストロズ、だったが、結果はビデオ判定に。
トライの寸前に、ラインの足がついていたことで、ノートライでノーサイドとなった。

勝ったかに思えた天王山、アストロズはあと一歩のところで負けてしまった。
優勝を逃したアストロズは、どうなってしまうのか。


倒れてからが勝負

絶対王者のサイクロンズを倒す為の作戦は、倒されてから早く起き上がる「ビロード」による戦略でした。倒されることが前提で、倒されてからが勝負というものです。
ある意味、一度当たり負けることを前提としたわけですが、勝てない部分を認めて、受け入れてしかもそれを勝つ為の戦略とするのは、中々判断できることではありません。対局でモノを見たり、最後に勝つことを信じていないと、できることでありません。

言うなれば、ゼロからのスタートではなく、マイナスからのスタートと言えるかもしれません。
アストロズにとって、負けたら廃部の危機であり、「勝たなければならない」ということは、大きなプレッシャーであり、勇気がいるものです。しかし、一度でも負けを受け入れて臨むことができれば、ヤケクソじゃないですが、捨てるものがない状態になるので、特攻じゃないですが、相手からしたら負ける覚悟を持ってヤケクソになって来る相手は脅威になるのではないでしょうか?

必然だった敗北

ドラマにおいては、中盤でしたが、ラグビー部存続を左右する天王山でした。優勝を目指して勝つ為に最善を尽くしたと思いますが、残念ながら、負けることは必然でした。演出上、試合の最後はビデオ判定に委ねられましたが、負けることはわかっていました。なぜなら、原作者の池井戸潤さんは、超がつくほどのドSだからです(笑)

それは半分冗談で半分本当です。池井戸作品は基本2部構成になっていて、1部と2部と舞台が変わる場合と、『ノーサイド・ゲーム』のような1部完結型だと、ここで勝負が決まることはあり得ないからです。

こんな元も子もない理由も確かに一つではありますが、池井戸作品の特徴として、上げて上げて落とし、落として落として最後にぶち上げるカタルシスです。だから、ここで優勝してしまったら、大ラスの盛り上がりが薄れてしまうのです。それはまるで、「倒れてからが勝負」というように、ラストに向けて、さらに負荷をかけるようなものです。その為には負け方も重要だと思います。

人生も同じで、勝ち続ける人生がいいなと思ってしまいそうですが、そんな人生は面白くない。負けても立ち上がる姿や、負けさえも楽しめる方が、面白い人生になると思うんですよ。そして、最終的に勝つというのが理想的だと。人生の醍醐味は、マイナスとプラスの幅が大きいほど味わえると思うので、今どん底だと思っていても、プラスに転じた感動や爽快感は、マイナスから出ないと味わえないものです。逆ジェットコースターではないですが、大きな感動を味わうチャンスがあるなら、マイナスも悪くはありませんよ!

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