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ノーサイド・ゲーム⑨「信じることはリスクがある」

いよいよ本日は『ノーサイド・ゲーム』の最終回が放送されます!正直結末は見えていますが、どのように結末に至るのかを楽しみに観ていきたいですね!

あらすじ

トキワ自動車によるカザマ商事買収の最終確認の会議が行われた。そこで、滝川常務の思惑通りに待ったをかけたのが経営戦略室。証拠をつかんだ君嶋が現れ、カザマ買収に関して、データ偽装があったことや決定的な証拠を提示する。誤魔化そうとする滝川に対し、裏金の受領書という決定的な証拠を突き出す。

買収案は一から調査し直すことになるが、自身の計画を踏みにじられた滝川は、「君嶋ぁー!!」と叫ぶ。

その夫の活躍に、珍しく優しく褒める妻。しかし、会社の為にしたことが第一で、結果、滝川の面子を潰すことになったことは、申し訳なく思っていた。それでも、妻は、感情ではなく、冷静に事実として認めるが、キスはさせない妻。

その後滝川は常務を辞任し、出向させられてしまい、君嶋の元上司が、その功績を買われ、代わりに常務になった。

開幕戦を迎えたアストロズは、七尾を中心に新体制で臨むが、結果は、70-3の圧勝だった。運営戦略においても、協会に任せるのではなく、HPとファンクラブからのチケット販売に切り替え、顧客情報を把握し、運営にフィードバックするように改善していた。

その後、アストロズは10連勝を重ね、ライバルのサイクロンズも、里村の活躍もあり、盤石の体制で連勝を続けていた。最終戦で当たる二チームだが、サイクロンズの七尾対策は万全だった。

君嶋は、新常務就任に挨拶に行き、アストロズの運営について聞かれる。信頼していた上司だったが、アストロズには否定的だった。前期よりも売り上げは伸びているが、問題はラグビー協会だというと、昔から企業から金を吸い上げるような協会に金を払うのはもったいない。そして、国民的スポーツにならないラグビーなんて、トキワには必要ない。それが答えだった。「待ってください、脇坂さん!」と詰め寄ると、「脇坂、常務だ。」と睨みをきかし、戸惑う君嶋。

家庭では、妻は「滝川は天敵だったけど、必要な存在だったかもね」という。天敵がいるから進化できたんだと。滝川とは違い、脇坂は問答無用に不要論を唱えているので、話にならないと。ジュニアチームの存続を心配する妻に、「ラグビー好きなんでしょ!レッツ!ラグビー!!」と誘うが、「ノーラグビー」と中々釣れない妻だった。

アストロズは、残り3戦になった試合、七尾の弱点が露呈する。攻撃は問題ないが、怪我のトラウマによって守備に回れない。なんとか勝ったものの、次の対戦相手は三つ巴になったブレイブス。ブレイブスの得意なプレーは、七尾にとって苦手なプレーだった。

そこに、君嶋に脇坂から連絡が入る。そして、来季の予算は半分にすると宣言される。収益も上がっていて、優勝争いをしていると話しても、「それで?」と聞く耳を持たない。アマチュアのチームに、会社としてこれ以上金を出すのは無駄だと言い、アストロズはいずれ廃部にすると、断言する。

君嶋は、アストロズのメンバーに、脇坂が述べた事実を伝える。

ショックを感じるものの、浜畑やテツは、今までもそんな危機、何度もあった。その度に跳ね返してきたでしょ。どんな状況でも、全力を尽くすのがアストロズだ、と、アストロズは優勝に向けて、君嶋はアストロズを守るために、全力で戦うと誓う。

そして、ブレイブス戦のスタメンは、七尾ではなく浜畑が選ばれた。戸惑う観客だったが、監督の柴門は怪我のトラウマがある今の七尾では、サイクロンズ戦も出せないという。七尾になくて浜畑にあるもの。それは、怪我を恐れぬ勇気だった。浜畑は、体を張って勇気を持って当たりに行くが、”ジャッカル”でもつれた時に、膝を痛めてしまう。ハーフタイム、七尾は浜畑に交代を志願するが、「勇気もない奴が口出しすんな。怖いに決めってるやろ。この試合勝たんと優勝できんねや。怪我なんか気にしてられるか。黙って見とけ。」
とグラウンドに向かう。ブレイブスが優勢の中、体を張り、気を張る浜畑を起点に、流れはアストロズに向かう。七尾も浜畑の姿を目に焼き付け応援をする。そして、浜畑の活躍もあり、見事アストロズの勝利。

試合後、君嶋は観戦に来ていた滝川の姿を見る。そこで二人は語り合う。滝川には、ラグビーへの愛があったこと。指摘はいつも厳しかったけど、正しかったこと。そして、滝川はいつもフェアだったと、君嶋は伝える。そして、滝川は、自分の口で過去の話をする。親がラグビーをしていて、自分もやりたかったが、会社が傾き、それどころではなかったこと。貧しくてバイトに明け暮れたバイト時代、風間へのコンプレックスによって、執念があったこと、君嶋に負けたことも認めるのだった。そして、風間の個人口座までよく調べたな、と褒めると、君嶋はそこまで調べていなかったのだが、脇坂への疑念が生まれる。そして、滝川から語られたこと。「府中の向上に飛ばしたのは、私じゃない。」他ならぬ脇坂だった。「私の本当の敵は・・・」と驚愕する君嶋に向けて滝川は「君の試合はまだ終わりじゃない。負けるな、君嶋。」と言い、立ち去る。

夜、七尾は一人、タックルの練習をしていた。自分を乗り越えるために。君嶋は柴門に言う。
「生きていくのは、辛いなぁ。一番信じていた人が、一番の敵だった。だが俺も、ここで終わるわけにはいかない。彼らがそうしてきたように、俺も、アストロズを全力で守る!」
と誓う。


認め合うこと

対立していた君嶋と滝川ですが、お互い会社の為を思っての戦いでした。ただ、滝川は、会社の為ではありながらも、私情の方が強かったのではないかと思います。前回のコラムで述べましたが、滝川にとっては過去の「屈辱」が原動力になったものの、「復讐」の面が強かったことが、滝川の敗因だったと言えるでしょう。君嶋は、純粋に会社の為ではあったものの、それだけでは勝てず「アストロズ」のGMになり、彼らの全身全霊のプレーを見、共に闘ったことで、滝川を止めることができたと言えるでしょう。

対立しているときは難しいですが、敵味方としてではなく、一会社員として見れた時、君嶋も滝川も、初めてお互いを認め合うことができました。認め合うことができれば、初めて素直な気持ちも伝えられたりするものです。認めることは、敗北をも認めるということです。昔の滝川はそれができませんでしたが、君嶋との敗北は、認めることができました。それは、君嶋が真摯に、フェアに向き合ったからでしょう。正直、大学時代に風間にあんな風に言われたら、認めることはそうそうできないだろうし。君嶋でも、工場に飛ばされたとき、初めは嫌々で本社に戻ることしか考えていなかったですが、現状を認められたからこそ、自分が望む方向に進めることができました。今を受け入れられない者に、未来はないのかもしれません。

信じることの危険性

味方だと思っていて信じていた上司が、実は最悪の敵だったわけですが、信じきっていた君嶋は、裏切られて大きなショックを受けました。「信じる」ということは、大事なことかもしれませんが、とても危険なものでもあるということですね。

「裏切られた」経験はありますか?
以前、私の友人が「裏切られた」と相談してきたことがあり、激情していました。しかし、客観的に見ると、それは裏切られてはいないんです。でも、本人にとっては、信じきっていたことで、「裏切られた」と感じたんです。その状態で「それは違う」と言っても、こっちに飛び火してくるので、話を聞くしかできませんでしたが、「裏切られた」と思ったり「人間不信」になる人に多い特徴は、「人を信じやすい」ということです。

「信じる」ということは、それ以上は考えないということにもなるので、とても危険な者だと思います。ある種の思い込みです。その状態で、「実は違いました」となれば、裏切られたと思うのも仕方ないでしょう。ただ、客観的に見ると、裏切りでもなんでもなく、「信じた方が悪い」と見えなくもないのです。厳しい言い方になるかもしれませんが、その人を信じた自分が悪い、と言わざるを得ません。信じるからこそ得られるものがある反面、信じることでリスクがあるということも知った上で、信じることが大事なんじゃないかなと思います。そして、人を信じる前に、まず自分を信じることから始めることをオススメします。

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