「目が覚めたら乃木坂4期生の○○でした」 第24話
ある朝、目が覚めると女の体、しかも乃木坂の4期生になっていた××(現世名:○○)。
7th year birthday Live、そして舞台「三人のプリンシパル」を終えた4期生たち。
そして今日も○○は乃木坂の4期生として活動に励む。
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早川「緊張した〜!」
田村「ついに私たちにも楽曲がもらえたって感じだよね!」
柴田「え、あの声がこれからずっと使われるの?」
賀喜「そうじゃない?音源ってそういうものだし。」
清宮「シュッシュッシュシュシュシュシュ〜♪」
××(通路を歩く数分の間だってのに、全く暇しないなぁ、この中にいると…。)
何の会話かと言われれば、4期生は今さっき、アルバム「今が思い出になるまで」に収録される初の4期生楽曲、「キスの手裏剣」のレコーディングを済ませてきたところである。
4期生の曲を出します、曲名は「キスの手裏剣」ですと言われた時はみんな喜んだり驚いたりしたものだった。
○○(××)は全て知っていたわけなので、リアクションに困っていたが。
掛橋「にしても○は飲み込み早かったよね〜、みんな音程とか理解するの苦労してたのに○だけ以上に上達早かった気がする。」
金川「確かに!丸で昔からこの曲知ってたみたいだったよね〜!」
○○「えっ…。」
遠藤「なんかコツとかあるの?」
○○「さ、さぁ…?私も何となくやってたら自然とできるようになっただけだから!慣れだよ、慣れ!💦」
遠藤「うーん、慣れかぁ…。○ちゃんはこういうの理解するの早い人間なのかもね…。」
××(そりゃそうでしょ…実際昔からすでに知ってるんだから…。)
マネ「あ、○○!次の仕事あるから準備して駐車場来て!」
賀喜「あれ、○ちゃん次一人仕事?」
○○「あ、うん、そうみたい。何気に初めてかも。一人で仕事行くの。」
賀喜「そっか!頑張ってね!」
○○「うん、お疲れ!」
賀喜「お疲れ〜!」
○○は4期生達の群れから外れ、早足で楽屋に急いだ。
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○○「そういえば、私次何の仕事なんでしたっけ?ド忘れしちゃって…。」
マネ「ん〜?雑誌のグラビア撮影。」
○○「えっ…。」
マネ「初めてだから何かと難しいと思うけど、頑張って〜。」
○○「…。(・∀・lll)」
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車で着いたのは、外見はごく普通な民家。
だが、中に入ってみると、そこはスタッフが所狭しと動き、機材が置かれている。
つまりは、家モチーフの撮影をするための貸し家スタジオである。
車から降りると、雑誌側の撮影スタッフに案内され、一つの部屋に入る。
スタッフ「じゃあ、ここに衣装があるので、まずはこれに着替えてもらって、終わったら下に降りてきてください、よろしくお願いします!」
○○「はい!ありがとうございます!」
スタッフにもアイドルスマイルを忘れない。
○○がここ数ヶ月で培ってきた技術だった。
ガチャッ、と扉を閉めスタッフが出ていく。
××(さて、まずは着替えね…。)
××(え…?衣装ってこれ…?)
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ピピッ……カシャッ。
ピピッ…カシャッ。
カメラマン「レフ板、もうちょいこっち。」
スタッフ「はい。」
響く機械音とシャッター音、スタッフの話し声。
○○の初のグラビア撮影が始まった。
の、だが…。
○○は先ほどから落ち着かず、撮影の合間はずっとソワソワしている。
今○○が着ているのは肩部分が紐のように細いタンクトップ。そして膝より高いハーフパンツだった。
××(薄着すぎないか、これ…。)
××(超恥ずいんだけど…。)
衣装として用意された服がこの二着だけとわかった時、困惑のあまり、「もう一枚羽織る物があるのでは?」などと思いながらその辺を探し回ってしまったほどの○○。
○○、もとい××は元の世界で男として暮らしていた時でさえタンクトップもハーフパンツもほとんど着たことがなかった。
小学校低学年の頃に一着二着持ってたのが最後だ。
故に、今それら一枚というかなりの薄着で立っている事実と、
それを撮影、しかも初のグラビア撮影という事実の二重の要素で○○は心底動揺していた。
××(ハハ…見てた時は何も感じなかったが、女のグラビアってのはこういうもんか…。)
○○「んん…。油断したら色々見えるなこれ…。」
カメラマン「ほら○○ちゃん、もっと笑って!スマイルスマイル!」
○○「あ…へへ…。」
頑張って表情を作る○○。
カメラマン「う〜ん、緊張してるのかな?少し表情が硬いね?」
カメラマン「もっとこう、自然みを出して…。」
○○「し、自然み…。」
少し考えた後、ニコッと満面の笑みを作ってみせる○○。
カメラマン「おお、おお!そんな感じそんな感じ!それキープ!」
××(え、キープ!?キツいんだが!?)
カメラマン「じゃあそこの椅子座って、ポーズ取ってみて!」
○○はソファーに腰かけて、足を組んで肘掛けに頬杖をついてみせる。
××(こんな感じか…?ポーズって言われたってよくわからない…。)
あんなに乃木坂のグラビアを見てきたはずなのに、いざやる側になってみると、彼女らがどんなポーズをどんな風に取っていたか、微塵も思い出せない…。
カメラマン「んーと…そういうクールっぽい感じじゃなくて、もっと可愛げのある感じのやつをお願いしたいかな…。男の子の写真ならそれぐらいカッコいい感じでもいいんだけどね…。」
○○「!?」
××(じゃあどうするんだよ…!?)
カメラマン「例えば、ちょっとグッタリする感じとか?セクシーな感じが出るからさ。」
○○「こ、こうですか…?」
カメラマン「そうそう!そんな感じ!」
××(むっず…。)
カメラマン「じゃあ〜次はなんか動きつけてみようか!角度変えたりとか!」
○○「う、動き…!?」
××(また変な無茶振りしないでよ…!)
カメラマン「小道具使って遊んだりとかね!」
××(果たしてこれであってるのか…?)
カメラマン「まぁ〜それも可愛いからいっか!はい行くよ〜!」
××(え、なんか問題あるの!?ハッキリ言ってよ!?)
××(写真撮られるだけなのにこんなに難しいとかあるか…!?しかも薄着なのずっと恥ずいし…!!)
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○○「……(°A°)」
金川「で、上手くいかなかったって落ち込んでこの状態なんだ。」
賀喜「らしいよ。私に事情話してるうちにどんどん魂抜けていっちゃった…。」
翌日、○○は楽屋で抜け殻と化していた。
アニメとかだったら「チーン…」って鐘の音が鳴ってるパターンのような落ち込み様。
○○「わ、私は…。」
田村「あちゃ〜これは…。」
清宮「大丈夫だよ〜!初めてだったんでしょ〜!誰だって上手くいかないもんだって〜!」
○○「あ"ぁ"…。」
早川「思ったより重症…。」
柴田「よしよし、大変だったね〜。」
この日、4期生みんなで○○を慰めて仕事を乗り切ったとか。
「目が覚めたら乃木坂4期生の○○でした」
第24話 終
続く。
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