「星は微かに光り」 第3話
最初に言っておきます。
本作は異能系というやつです。
かつ、駄作かもとも思ってるので、打ち切りにする可能性もあります。
その辺了承いただける方はお読みくださいませ。
いいねや感想がもらえれば続ける、かも…?
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バイオレット魔法学園に入学した○○、奈央、桜。初めての体育の授業でいきなり魔法試合を申し込まれた○○だったが、何とか勝利。
しかし、その日の昼休み、学園最強候補でありクラスSの魔法使い・山下美月に戦いを申し込まれたのだった。
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美月「私と戦ってくれない?」
○○「いやいやいや…。どうしてそんな急に…。」
美月「興味あるんだよね~、白石校長の子供が一体どれほどの魔法使いなのか。」
○○「いやぁ、でも…。」
美月「ん、どうしても嫌かな?でも…。」
美月はくるりと教室を見渡す。
「おい聞いたか今の!」
「冨里と山下さんがバトルだってよ!」
「こりゃ見逃せないな!」
美月「みんな期待してるみたいだよ?」
○○「えぇ…。」
土竜との試合の時もそうだが、○○はこういう目線に、弱い。
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というわけで、翌日の放課後。
バイオレット魔法学園内、闘技場。
○○と美月はその中央に立っていた。
周辺にはギャラリーがそれなりの数。
その中には中等部から奈央の姿が。
奈央「お兄ちゃん…。」
すると、観戦する奈央のもとにバタバタと桜が駆け寄ってきた。
桜「奈央ちゃん!」
奈央「桜ちゃん!」
桜「何で○○がクラスSの魔法使いと勝負なんかするわけ!?昨日の夜ご飯の時は何も言ってなかったじゃん!」
奈央「私にもわからないよぉ…。」
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○○(どうしてこうなった…。)
男子生徒「それでは、山下美月VS冨里○○、試合開始!」
○○「《武装・紅身!》」
○○は先日の土竜との試合と同じように、体を光らせ、赤い鎧を纏った。
美月「それじゃあ、行くよ。」
美月が指をクイっと持ち上げると、地中の土が持ち上がり、巨大な岩となって美月の横に浮遊する。
更に指をクイっと○○の方に振ると、その岩がまるで何かに投げられたかのように勢いよく○○の元へと飛んできた。
○○はその飛んできた岩を紅身によって強化された拳で砕いた。
美月「おぉ〜、やるぅ〜。」
○○「土の魔法…。」
美月「正解。私の魔法は《岩石》及び《土》。君が地面に足をついている限り、この闘技場全てが私の手足であり、武器でもある。」
○○「マジかよ…。」
美月「それじゃあ、これはどうかな?」
美月が今度は手のひらをスッと上に持ち上げると、地中から巨大な石の柱が複数出現する。
しかも、ただの柱ではない、
それらは石でできているはずなのに、生物のようにグニャリと曲がったりウネウネと動いている。
美月「《岩石柱》!」
美月が大きく手を振りかざすと、石の柱はグニャリと曲がったのちに○○の元へと襲いかかってきた。
○○は先ほど岩を砕いた時と同じように拳をその柱に繰り出すが、砕けたのは半分程度で、残り半分は砕けることなくもろに○○に命中した。
○○「ぐあっ!!」
そのまま石の柱によって闘技場の壁に強く叩きつけられてしまった。
その場にうずくまる○○。
○○「ゲホッ…うぅっ…。」
美月「ほらほら、まだまだ行くよ〜?こんなもんじゃないでしょ?」
美月の背後には大量の石の柱が触手のようにウネウネと蠢いていた。
○○(速い…!なのに一撃一撃がしっかりと重い…!)
○○「これが…クラスSの魔法使い…!」
美月(さぁ…どう出る?冨里○○…。)
美月は石の柱と共に○○に詰め寄っていく。
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奈央「ところでさ、桜ちゃん。」
桜「ん、何?」
奈央「『クラスS』って、何?」
桜「え、奈央ちゃん知らずにこの戦い見てたの?」
奈央「うーん、どこかで聞いた気がするけど、忘れちゃった!」
桜「💧…。仕方ない、私が『クラスとは何?』について教えてあげよう!」
奈央「お願いします!桜先生!」
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桜「まずこの大魔導世界の魔法使いはみんな、魔力測定値っていう値をもとにクラスC~Sに分類されるの。たまに魔力が低くても知力とかのプラスアルファの能力で底上げされて上のクラスに登録される場合があるけど、今回はその例外抜きで解説するね?」
クラスC⇒一般的な魔法使い、学力で言うと偏差値50前半から後半。
クラスB⇒一般よりちょっと優れてる程度の魔法使い。学力で言うと偏差値50後半から60前半。○○君と奈央ちゃんは入学試験の時本当の魔力を隠して手を抜いて試験に挑んだから登録上はここに位置してるよ。
クラスA⇒かなり優れてる魔法使い。学力で言うと偏差値60後半~偏差値70。多分入学生挨拶をした井上和さんっていう人はこのクラスAの最大値、偏差値70程度の魔力を持ってるはず。
クラスS⇒クラスAの上限ボーダー以上の魔力を持つ魔法使いは一概にここに分類される。要するに&moreって感じ。上限がないからね。学力で言えば偏差値が71だろうが80とかいうとんでもない値だろうが同じクラスS扱い。
ただ、学力と明確に違うのは、普通世界では学力の偏差値70以上の人間はごろごろいたと思うけど、このクラスSの魔法使いは『大魔導世界において十数人いるかいないかレベルで極端に少ない』ということ。学力より扱いや努力が難しいんだね。
なのでその分価値が跳ね上がり、クラスSとして登録がされた瞬間、大魔導世界全体に大々的に報じられ、知らない人間はいなくなるほど有名になってしまうの。
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桜「って感じ。わかった?」
奈央「へぇ~…。」
奈央「ってことはお兄ちゃんやばいじゃん!そのめちゃくちゃ強いランクの人と今戦ってるんでしょ!?」
桜「だからずっと私は気が気じゃないんだってばっ!」
奈央「お兄ちゃん…!」
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美月「さぁ、まだまだいくよ冨里君!」
○○「まだ来るのか…!」
美月は再び手を振りかざし、石の柱で○○に襲いかかる。
○○はそれらをキッとにらんで体勢を立て直し構えた。
○○「《武装》!」
美月「!」
その瞬間、○○の体が光り、赤い鎧が光となって消散。そして再びその光が○○の体に纏われ、そして光が収まると、○○は先ほどとは違い青い鎧を纏い、手には細長い棒状の武器が装備されていた。
○○「《蒼杖》!」
○○はその棒状の武器を振り回して石の柱を砕いていく。
○○「はあああっっ!!」
美月「…!」
美月(さっきより速さが上がった…。あの鎧、「瞬発能力の向上」の能力があるのね…。そしてあの棒でリーチを長くすることでさっきより早く石に迎撃できるようにし、岩石柱を素早く砕けた、と。)
美月「面白い、けど……」
美月は石の柱を地中に引っ込め、手を地面についた。
美月「まだ本気じゃないでしょう!!」
美月が地面に魔力を流し込むと、地面が強く脈打ち始め、地鳴りが響く。
○○「今度は何だ!?」
美月「《岩山地獄》!!」
すると、○○の足元の地面、半径3メートルほどの範囲から大量の石の柱が次々と、その全てが○○に向けて突き上がってくる。
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麻衣(あの二人が本気になれば、それぞれがあなた以上の能力を持つ。私でも勝てるかわからないわ。)
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美月(さぁ、あなたの本気を見せて!冨里○○!)
○○はその全てを強化された瞬発能力で避けると、石の柱のうちの一本、ほぼ垂直に真上に飛び出してきた柱に飛び乗り、空中へと登っていく。
美月「私の技を利用して…!」
石の柱が伸び切り停止すると、○○はそこから強く跳躍した。人間離れしたジャンプ力で、あっという間に遙か上空へと○○は飛び上がった。
美月(あの鎧、瞬発力の強化だけじゃなくて、跳躍力も上げる効果があったの!?)
そして、飛び上がっていた○○が落下してくる。
落下しながら棒の武器を槍のように構え、美月に向けて一直線。
そして落下しながら、○○の棒の武器にはどこからともなく水が巻きつき始める。
○○「うおおぉぉおらああああっ!!」
美月(落下速度で勢いを強めながら魔力を纏わせて更に一撃を強化…!やるね…!)
○○「《激流の滝》!!」
美月「でも…甘い!!」
美月が指を動かすと、地面から石のプレートが複数枚飛び出し、空中に縦列し、美月と○○の間に立ちはだかる。
○○の一撃はその石の盾を次々と砕いていくが…。
とうとう勢いが死に、最後の一枚で○○は弾かれてしまった。
○○が空中で身動きが取れない中、美月は砕かれた石の盾の瓦礫を操り、宙に静止させる。
次にグッと拳を握り、その全てを○○に向かわせる。
美月「《岩石牢》!!」
○○「しまっ…!」
瓦礫は360°から○○に吸い付き、○○はたちまち生き埋めになってしまった。
そして美月はパンッと手を合掌させ力を籠める。
美月「《粉砕爆発》!!」
その宣言と共に瓦礫たちは○○共々盛大に破裂した。
○○「ぐああああっ!!」
地面に叩きつけられた○○は、何とか起き上がれたが、体がほぼ動かなくなっていた。
○○「うっ…ぐっ…あぁっ…!」
○○(これが試合…!?いや、違う…!)
何とか体を動かし、比較的大きな瓦礫に背中を寄り掛けた。
そうしている間にもザッザッと音を立てて美月が自分に向かって歩いてきているのを感じる。
○○(まさかとは思うがこの人…!)
○○(俺のこと…殺すつもりか…!?)
美月「ふふっ、気づいたかな?私がどういうつもりで戦ってるか。」
美月(ごめんね○○くん、でもこうでもしないと君の実力は測れないから…。)
○○「な…んで…!」
美月「さぁ、どうしてだろうね?これから死ぬ君には知ったところで関係ないと思うけど。」
美月は再び指を動かして石をこね始める。
それらは鋭い刃のような形へと変化した。
○○(まずい…!殺される…!)
美月「じゃあね、冨里○○くん。」
○○「…!」
このままだと、やられる…。
でも、俺の力なら…。
いや、この力はもう使わないと決めた…。
けど、死んだら元も子もないだろう。
どうせ殺されるなら…やってやる。
○○は片方の手のひらを上に向けると、もう片方の手を握り拳にし、その手のひらに向けて強く叩きつける。
技を出すための、印結び。
○○「……《惑星一直列》…。」
その瞬間、美月の頭上に陰りが出来始める。
美月「なっ…?」
美月が頭上を見上げると、そこには大小幾つもの惑星が美月の頭上を縦一直線に並んでいた。
やがて、その惑星ひとつひとつが大きな魔法陣を展開し始める。
美月「なっ…何なの!?この魔法は!!?」
2人の戦いを見ていたギャラリー達も、今まで見たことのない異質な光景に驚きが隠せない。
○○「くらえぇっ!……あっ…。」
しかし、その惑星と魔法陣は、突如として消え去ってしまった。
美月「えっ…。」
○○「魔力が…持たなかったか…。」
ドサッ…
○○は、寄りかかっていた瓦礫から崩れ落ち、倒れた。
ギャラリーは突然の光景に何が起こったのかわからない。
「お、おい、何だ今の…?」
「山下さんの魔法じゃない?絶対そうでしょ。」
「確かに。クラスSの山下さんならああいう見たこともない魔法を使えてもおかしくないよな…。」
美月(違う…私の魔法じゃない…間違いなく○○くんの魔法…。)
美月は傷だらけで倒れる○○の方を見る。
美月(もし○○くんの魔力が今の一撃分まで持っていたら…?私は…無事じゃ済まなかった…。)
美月が青ざめた次の瞬間。
パチン。
一瞬だった。
誰かの指が鳴る音がしたと思えば、美月が瞬きをした一瞬の間に、闘技場の広範囲が真っ白に凍結した。
美月が構えていた石の刃も凍結し、やがてひび割れ砕け散った。
○○(なんだ…?)
美月「この魔法は…!」
??「そこまでよ、やま。」
美月「…史緒里。」
史緒里と呼ばれた女子生徒の登場に、ギャラリーは騒然となった。
「おい、史緒里ってまさか…!」
「山下さんともう一人のクラスSの魔法使いにして、もう一人の学園最強候補…!久保史緒里!」
「一瞬であのバカでかい範囲を凍らせるなんて…。」
「なんて魔力なの…。」
史緒里「やま、どういうつもり?白石さんからこんなことをする指令はされていないはず。私たちの役目は…」
美月「彼の実力がわからないと護衛のしようがないでしょ。どこまでが自分の力で自衛できるのか測っておかないと。」
史緒里「だからってあなたが殺しかけてどうするの。それに、実力なら今ので測れたでしょう。」
美月「ここまでやらないと本気出してくれないと思ったし。それに、私だってこれ以上はやるつもりなかったって。」
○○(さっきからなんの話をしてるんだ…?ダメだ、声を出して聞く力も残ってない…。)
史緒里「とにかく保健室へ運びましょう。そのレベルの負傷は安易な治癒魔法や魔法医療具では直すのに時間がかかりすぎる。樋口先生に直接手当てしてもらわないと。」
美月「…は~い。」
ふてくされたように○○の肩に手を回す美月と、もう片方の肩に手を回す史緒里。
○○は2人に支えられながら保健室までヨロヨロと歩き、保健室に着いた瞬間、安堵から入口前のソファーに倒れ込み、気を失ってしまった。
「星は微かに光り」
第3話 終
続く
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