「星は微かに光り」 第2話
最初に言っておきます。
本作は異能系というやつです。
かつ、駄作かもとも思ってるので、打ち切りにする可能性もあります。
その辺了承いただける方はお読みくださいませ。
いいねや感想がもらえれば続ける、かも…?
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ここは大魔導世界。魔法の学校、バイオレット学園にした○○と奈央と桜は、魔法界の大物である麻衣の育てた子であるということを隠して生活しなければならなかったが、なんと入学2日目にしてそれが世間にバレたと麻衣から電話が入ったのであった。
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麻衣『私が三人を育てたことがバレちゃった〜〜〜〜!!!💦』
桜「えええぇ〜っ!?」
○○「早すぎるだろ!!?」
奈央「どうしてそうなっちゃったんですか!?」
麻衣『あのねあのね、『週刊ウィザードマガジン』っていう、大魔導世界のマスコミみたいなのがあるんだけど。』
麻衣『そこの記者に皆んなが私の家から出て行くところスクープされちゃったの〜!!💦』
桜が携帯で『週刊ウィザードマガジン』について調べると、今日の朝方に出た記事を見つけた。
《あの魔法界の大物、白石麻衣に隠し子!?白石邸に暮らす若い3人の男女!》
【(中略)…当社の記者は先日、あの白石麻衣が収める学園、バイオレット魔法学園の制服を纏い白石邸を出発する隠し子3名の姿をその日初めて確認。どうやら今年の新入生として入学した模様!】
記事には写真が掲載されており、目元にモザイクがかかっているものの、その姿は○○達3人だと明らかにわかってしまうものだった。
○○「うわぁ…。」
桜「今年の入学生だってことまでバレちゃってる…。」
奈央「皆んなこの記事を見たからずっと私達を…。」
こうしている間にも、3人の周辺を行く生徒達はヒソヒソと○○達を物珍しげに眺めながら通り過ぎて行く。
麻衣『ひとまず記事の鎮火はこっちでやっておくから、3人はちょっと、なんとか誤魔化して過ごして欲しいの…。』
○○「わかりました。」
桜「了解です。」
麻衣『入学早々苦労かけて本当にごめんね、今度仕事が空いた時美味しいご飯連れてくから!じゃあね!愛してるわ!私の大切な子供たち!』
ピッ……
通話が切れて○○は携帯をしまう。
○○「さて…面倒なことになったぞ…。」
桜「なんとかやり過ごすしかないよね…。」
○○「奈央、平気か?」
奈央「大丈夫、奈央だって1人で頑張れるもん!」
○○「うんうん、その意気だ!偉いなぁ奈央〜。」
○○が笑って奈央の頭を撫でる。
奈央「えへへ〜♪」
桜「シスコン…。」
○○「聞こえてるぞ…。」
桜「ありゃ、聞こえてた?笑」
○○「💧」
と、そこへ。
??「おはようございます、お三方。」
三人が声のした方に目を向けると、そこには白衣を着た細身の男が立っていた。
○○「誰…?」
??「あぁ、自己紹介をしてませんでした。私はクレシマ。この学校で魔法と科学の調和について研究しながら、科学の授業を担当しています。どうぞ、お見知り置きを。」
奈央「よろしくお願いしますっ!クレシマ先生!」
○○「よろしくお願いします。」
桜「よろしくお願いします、先生。」
クレシマ「はい、よろしく。ささ、ここにいると何かと目立ちますよ、三人とも早めに教室に行きなさい。」
○○「はい、では失礼します。」
三人はクレシマとすれ違い校舎の昇降口へと急いだ。
クレシマ「…。」
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○○達一同は、まず中等部で後者が違ってくる奈央と別れ、次にクラスが違う○○と桜は廊下で別れる。
○○が教室に入ると、明らかにクラスメイト達からの視線を感じた。
○○(うわぁ、やりにくい…。)
席に着くと、数人の生徒が寄ってくる。
例の『週刊ウィザードマガジン』の紙本を手に持って。
「なぁ、これに写ってるの、お前だろ!?」
「髪型とかカバンのキーホルダーとかおんなじ!」
「ねぇ、白石校長の隠し子って本当!?」
○○「いやぁ…別に隠し子では…。」
○○が返答に窮していると…。
「こーら。彼困ってるでしょ。ゴシップ芸能人に群がる野次馬みたいなことしないの。」
という声と共に女子生徒が近づいてきた。
○○「あっ…。」
和「ごめんね、ビックリしたよね?」
○○「井上和…。」
○○(この人同じクラスだったのか…。)
和「あれ?私のこと知ってるの?」
「和ちゃん昨日入学生代表挨拶やったでしょ〜。」
和「そっか、だからか〜。」
○○「…。」
○○(学年一の秀才っぽさは感じられないな…。)
和「あ〜、今『あんま頭良くなさそう』とか思ったな?」
○○「い、いやそんなことは…。」
○○(概ね当たってるけどな…。)
和「改めて、井上和です。これからよろしくね。」
○○「うん、よろしく。」
するとクラスメイト達が口々に
「俺は!俺は……っていうんだ!よろしく!」
「私は~っていうの!よろしくね!」
と井上と同じように自己紹介をしてくる。
井上を見て、入り方のようなものを学んだらしい。
○○「う、うん、俺は冨里○○、みんなよろしくね…!」
するとチャイムが鳴り、担任が教室に入ってくる。
秋元「はーいみんな席について~!ホームルーム始めるよー!」
その鶴の一声でみんな席に着く。
担任の秋元真夏。
担任になる以上、彼女も相当の魔法使いのはずなのだが…。
昨日の顔合わせの時点での振る舞いからはそんなそぶりは全く感じられない…。
○○の苗字は「冨里」なので席は教室の真ん中の一番後ろなのだが…。
隣の席、つまり教室の真ん中の少し右寄りの列の一番後ろに座った生徒が話しかけてくる。
咲月「ねぇ○○君、私のこと覚えてる…?」
○○「あ!昨日すっ転んでた人!」
咲月「💧…う、うん…そうなんだけど…恥ずかしい…。」
○○「たしか…菅原さん!」
咲月「そうそう!覚えててくれたんだ!」
秋元「ほらそこ!静かにする!」
○○「すいません…。」
咲月「ごめんなさい…。」
と、いったん静かになったのだが、ホームルーム中、すぐに隣の咲月からさりげなく手紙が渡されてくる。
《私だけ○○君って呼ぶのもあれだから、咲月って呼んで!》
○○がちらっと隣を見ると、照れくさそうにこちらを見る咲月と目が合った。
○○は返事を書いて咲月に紙を返す。
咲月が紙を開くと。
《わかった!よろしくね。咲月。》
咲月「フフッ…。」
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時間は移り、体育の授業の時間になった。
若月「今年度みんなの体育を担当することになった若月佑美です!みんなよろしく!」
「かっこいいかも…!」
「イイ女って感じだよな~」
○○(確かに、イケメン女って感じだなぁ。)
若月「まぁ、いきなり本格的な体育をしていくのも体が驚くだろうから、今日はデモンストレーションもかねて、何人かに1VS1の魔法試合を行ってもらおうと思うんだが…。誰かっ!やりたい人っ!」
若月が手を勢いよく上げて有志を募る。すると…。
「はーい!はい!俺やりたい!」
という元気のいい声が上がる。
みんながその方向を見ると、一人の男子生徒が手をピーンと上げていた。
若月「お!君は…土竜くんだね!」
「お、モグラ!いけるのか~?」
「モグラが戦うとそこら中穴だらけになるんだよなぁ〜。」
土竜「"モグラ"じゃねぇ!"どりゅう"だ!」
クラスメイトからヤジが上がる。
どうやら彼とヤジを入れた人間とは中等部からの内部進学の仲のようだ。
土竜「それで相手なんですけど…冨里○○君と戦いたいんですよ!」
○○「んっ…!?俺!?」
クラスメイト達の視線が今度は○○に集中する。
若月「…って言ってるけど、どう?○○君。」
○○「えっ…。」
ジーッ……。
○○「えぇー…。」
ジーーーーーーーーッ…。
○○「…わかりました…。」
こんな感じのプレッシャーに、○○は弱い。
「おぉっ!」
「早くも実力が見れるのか!」
○○「俺そんな強くないからね!?期待しないでよ!?」
若月「じゃあ二人だけグラウンドに残って、他は外に出ろ~。」
若月(正直私も、まいやんの子どもの実力、見たいっ!)
咲月「頑張ってね!○○君!」
○○「ありがと、言ってくるよ、咲月。」
咲月「…うん!」
そして、そのやり取りを見つめる、和の姿。
和「…。」
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グラウンドに佇む二人。
若月「それでは、始めっ!!」
その声を合図にお互いが動き出した。
○○「《武装》!」
その宣言と共に○○の体が光り始め、やがてその光が収まると、○○の体は真っ赤な鎧に包まれていた。
○○「《紅身》。」
若月「へぇ、「武装」…。」
和「あれが冨里くんの魔法…。」
すると若月の横に、今朝○○達に挨拶をしたクレシマが立った。
クレシマ「どうも、若月先生。」
若月「あれ?クレシマ先生、どうされました?授業は?」
クレシマ「この時間は空いていまして。やはり私も一人の魔法使いとして彼のことが気になりましてね。試合を見に来たんですよ。」
若月「あぁ、○○君ですか〜。」
クレシマ「えぇ…。」
土竜「ハハッ、武装魔法か、面白ぇ!」
その瞬間、ガガガガガッ…という音と土煙と共に、土竜の姿が地中に消えていった。
○○「!?」
そして土煙が晴れると、土竜がいた地点には大きな穴が開いていた。
○○「穴…?」
すると、地中から声が響いてくる。
土竜「そう!俺の魔法は『穴掘り』!地中を縦横無尽に走り回り……」
○○「…?」
声が止んだ。
と油断したのも束の間、○○の足元がガラガラと崩れ、中から土竜が姿を現した。
○○「なっ…!!」
土竜「相手の不意をついて攻撃することができる!!」
土竜はパンチを○○に繰り出し、それを食らった○○は勢いよく吹っ飛ぶ。
が、空中でクルクルと回転することで勢いを殺し、更にバク転をしながら着地する。
若月「あの人並外れた動き…なるほど。あの赤い鎧…。」
土竜「そうか、その鎧の能力はおおかた『身体能力の向上』と言ったところか!」
○○「ご明察…。」
ファイティングポーズを取る○○。
土竜「しかーし!攻撃が当たらなければ意味がない!」
土竜が再び地中に潜る。
○○「くっ、またか!」
○○が足元を警戒していると、今度は○○の場所から数メートル離れた地点から土竜が飛び出してきた。
土竜「同じ手をそう何度も使わねぇよ!くらえ!《ランドストーム》!」
土竜が下から突き上げるように拳を突き上げると、大きな突風が起こりグラウンドの土や砂利を巻き上げ、それらが○○の元へと襲いかかってくる。
○○「くっ…!」
咲月「○○くん!」
○○「…はぁっ!!」
土の嵐を破り、○○が駆け出し、土竜に拳を突き出す。
が、それは空ぶってしまった。
土竜は○○の拳が当たる前に自分が出てきた穴から再び地中に潜って避けたのだ。
土竜「残念〜!」
○○「…。」
土竜「さぁ、次で終わりにしてやる!」
○○「…フゥー…。」
○○は目を閉じ、深呼吸をする。
咲月「○○くん…。」
そして目を開く。
○○「《武装》!」
再び○○の体が光り始める。
先ほどの赤い鎧が光となって分散し、それらは次の鎧となって再集結する。
光が収まると、○○は紫色の鎧を纏い、その手には剣が握られていた。
○○「《紫剣》!」
和「鎧が変わった…!」
若月「おお…。」
○○「出て…」
○○は剣を逆手に持ち直し大きく振り上げる。
○○「…来ぉいっ!!」
そして剣を地面に深く突き刺すと、そこから魔力を流し始めた。
土竜の穴掘りによって作られた地面の穴やヒビから○○の流した魔力が光となって噴き出す。
そして、その穴の一つから土竜が、魔力に押し出される形で飛び出してきた。
土竜「うおおおっ!!?」
○○はその隙を逃さなかった。
剣を引き抜き、そして構えながら走り出す。
そして剣はバチバチと音を立てて紫色の雷を纏い出した。
土竜がそれに気づいた時はまだ空中。そして着地の刹那、一寸前には○○の姿。
土竜「ヤバっ…!」
○○「《紫電一閃》!!」
ズバッと音と共に二人がすれ違う。
○○は剣を振るった大勢のまま土竜から数メートル離れたところで停止。
土竜は、その場に倒れ伏した。
若月「勝負あり!勝者○○!」
咲月「やった〜!!」
○○「…ふぃ〜。」
咲月「お疲れ様!凄かったよ!○○くん!」
○○「ありがとう咲月。咲月の応援も聞こえてたよ。」
咲月「えへへ…。」
和「…。」
和(冨里くん、今の試合、本気だったのかな…?)
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そして、昼休み。
○○は咲月と一緒に教室で弁当を食べていた。
咲月「へぇ〜、中等部に妹さんがいるんだ!」
○○「そうそう、奈央っていうんだけどね、これが物凄く可愛くって!」
咲月「へぇ〜、会ってみたいなぁ、○○くんの妹さん!」
○○「ん、なんか騒がしいな…。」
教室がザワザワとし始めているのを感じた○○と咲月が教室の前方へ目線をやると、1人の女子生徒が教室の中に入ってきており、彼女がクラスメイトたちの注目を一身に浴びていた。
「おい、山下さんだ…!」
「あれが、クラスSの山下美月…!」
「すごぉい、本物…!」
美月「どうも〜♪」
そして山下と呼ばれたその女子生徒は、クラスメイト達に手を振りながら教室を横断し、○○と咲月の席の前で立ち止まった。
美月「冨里○○くん、だよね?」
○○「…どなた?」
咲月「ちょっ!○○くん知らないの!?」
○○「咲月は知ってるの?」
咲月「当然!この人は大魔導世界で数少ないクラスSの魔法使いにして、バイオレット魔法学園最強候補の1人、山下美月さんだよ!凄い人なんだよ!?」
○○「へぇ…。ごめん、普段から麻衣さん目の前にいるからその辺の感覚が…。」
咲月「あぁ〜、○○君はそうだったぁ…。魔法界のレジェンドみたいな人とずっと一緒にいるんだったぁ…。」
美月「えと…コホン、もう一回聞くけど、君が冨里○○くん?」
○○「あぁ…はい、そうですが…。」
美月「今話してたからあえて自己紹介はいらないかもしれないけど、一応。私は3年生の山下美月。よろしくね。」
○○「あ、冨里○○です、よろしくお願いします…。それで、その山下さんが私に何の御用でしょうか?」
美月「冨里くんさ…。」
美月「私と勝負してくれない?」
○○「…え?」
「星は微かに光り」
第2話 終
続く
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