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インドネシア語 動詞をつくる接頭辞meN(2) 語幹の頭文字がN に同化して鼻音に変わる場合と、N が鼻音となって語幹がそのまま接続する場合、頭文字が表中にない基語の場合


動詞をつくる接頭辞meN のかたち

接頭辞meN の付けかた(語幹の頭文字がN に同化し、鼻音に変化する場合)

 前回に引き続き、接頭辞meN の付け方を説明したいと思います。
 まずは、表の赤い背景の行(「語幹の頭文字がN に同化し、鼻音に変化する」)です。
 頭文字がp 、t 、 s 、k の基語に接頭辞meN を付けるときは、基語の頭文字がm 、n 、ny 、ng の鼻音に置き換わります。
 さっそく例を見て行きましょう。

 pakai を基語として接頭辞meN を付けるとします。pakai の頭文字はp ですから、表中では赤い背景の「語幹の頭文字がN に同化し、鼻音に変化する」の行で、mem の列になりますから、基語の頭文字p が鼻音m に置き換わり(makai )そこに接頭辞のme が付きます。
 そうしてmemakai (使う)という動詞になります。

 tarik を基語として接頭辞meN を付けるとなると、tarik の頭文字はt なので、表中では赤い背景の「語幹の頭文字がN に同化し、鼻音に変化する」の行で、men の列になりますから、基語の頭文字t が鼻音n に変化して(narik )そこに接頭辞me が付くことになります。
 つまりmenarik (引く、引っ張る)になります。

 sapu を基語として接頭辞meN を付けるとなると、sapu の頭文字はs なので、表中では赤い背景の「語幹の頭文字がN に同化し、鼻音に変化する」の行で、meny の列になりますから、基語の頭文字s が鼻音ny に変化して(nyapu )そこに接頭辞me が付くことになります。
 そうしてmenyapu ((ほうきなどで)掃く)になります。

 kirim を基語として接頭辞meN を付けるとなると、kirim の頭文字はk なので、表中では赤い背景の「語幹の頭文字がN に同化し、鼻音に変化する」の行で、meng の列になりますから、基語の頭文字k が鼻音ng に変化して(ngirim )そこに接頭辞me が付くことになります。
 そうしてmengirim (送る)になります。

接頭辞meN の付けかた(N が鼻音に変化して、そのまま語幹につながる場合)

 青い背景の行(N が鼻音に変化して、そのまま語幹につながる)場合はどうでしょうか。

 baca を基語として接頭辞meN を付けるとなると、baca の頭文字はb なので、表中では青い背景の「N が鼻音に変化して、そのまま語幹につながる」の行で、mem の列になりますから、N は鼻音m になり接頭辞はmem となります。そこに基語baca がそのまま接続しますのでmembaca (読む)となります。

 cari を基語として接頭辞meN を付けますと、cari の頭文字はc なので、表中では青い背景の「N が鼻音に変化して、そのまま語幹につながる」の行で、men の列になります。そのため、N は鼻音n となり接頭辞はmen となります。そこに基語のcari をそのまま接続させてmencari (探す)となります。

 ajar を基語として接頭辞meN を付けますと、ajar の頭文字はa 、つまり母音なので、表中では青い背景の「N が鼻音に変化して、そのまま語幹につながる」の行で、meng の列になります。そのため、N は鼻音ng となり接頭辞はmeng となります。そこに基語のajar をそのまま接続させてmengajar (教える)となります。

接頭辞meN の付け方(頭文字が表中にない基語の場合)

 例えばlihat やfotokopi のように表中にない頭文字をもつ基語に接頭辞meN を付ける場合はどうなるかを説明します。

 1)基語の頭文字がr 、l 、w 、y の場合
 この場合は、接頭辞のN の部分がなくなり、結果的に接頭辞はme だけになります。また、基語はそのままの形で接続します。

 lihat を基語とすると、接頭辞はme だけになり、基語であるlihat がそのまま接続しますので、melihat (見る)となります。

 rasa を基語とすると、接頭辞はme だけになり、基語であるrasa がそのまま接続しますので、merasa (感じる)となります。

 2)基語の頭文字がf 、v 、z 、sy 、kh の場合
 これらの頭文字はインドネシア語にとって、外来語に由来する音です。このような基語に接頭辞meN を付けるときは、接頭辞のN の部分が頭文字に応じた鼻音に変化し、基語はそのままの形で接続します。

 頭文字がf かv の基語のときはN がm になり、接頭辞はmem となります。
 同様に、頭文字がz かsy の基語のときはN がn になり、接頭辞はmen となります。
 頭文字がkh の基語のときはN がng となり、接頭辞はmeng となります。

 たとえば、fotokopi を基語として、接頭辞meN を付けるときは、基語の頭文字がf なので、N の部分がm となり、接頭辞はmem になります。そこに基語をそのまま接続し、memfotokopi ((コピー機で)コピーする)となります。

 3)基語が1音節の場合
 この場合は、さらに2パターンに分かれ、
 ・それぞれの基語に応じてN が鼻音に変化し、そこに基語をそのまま接続するパターン

 ・接頭辞がmenge となり、そこに基語がそのまま接続するパターン
があります。

 bom を基語として、接頭辞meN を付けて動詞にするときは、N が鼻音m に変化して接頭辞がmem となり、そこに基語bom をそのまま接続してmembom (爆撃する)となります。

 pak を基語として、接頭辞meN を付けるときは、接頭辞がmenge となり、そこに基語pak をそのまま接続してmengepak (梱包する、荷造りする)となります。

補足

 今回、例にあげた基語とそれらに接頭辞meN をつけたものについては、会話では基語そのままで使われることが多いです。
 pakai はそのままで「使う」とか「(衣服や帽子、靴などを)身に付ける」という意味で使われます。
 他の基語も、tarik 「引っ張る」、sapu 「掃く」または名詞として「ほうき」、kirim 「送る」、baca 「読む」、cari 「探す」、ajar 「教える」、lihat 「見る」、bom 「爆撃する」「爆弾」、pak 「梱包する」「荷造りする」として基語のままで使われることが多い単語です。
 rasa は基語のままで「感じる」という意味でも使われますが、「味」「味わう」という味覚に関する単語として使われることが多いです。
 fotokopi は動詞というよりも「(コピー機で)コピー(されたもの)」という名詞で使われることが多いです。いわゆる偽物の意味でのコピー商品などにはpalsu という単語を使います。fotokopi は写真紙なども含んで紙を指すことが普通です。つまりコピー機でコピーされた紙や、プリンターで複数部印刷された紙のことです。
 しつこいようですが、会話(やチラシの文句など会話的な文章)ではです。

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