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魔導人形は深き者どもの夢を見るか①

敷石の中を魚が泳いでいく。
骨張った不味そうな魚が一匹、不思議な軌道を描いている。
鱗に反射する光は左右にチラチラと輝きながら半円を描いたかと思うと、急に旋回して引き返す。
なんどか繰り返した後に、そいつはじゅぽんと音をたてて潜っていく。
石に完全に同化してしまうと、それはもう完全に敷石以外のなにものでもない。
真っ昼間から、目を開けて夢をみていたのかと物思いにふけり、しばらくその場に立ち尽くす。
「何をぼけっと突っ立っているのだ」
「今、敷石の中に一匹の魚が潜っていくのが見えた」
「魚?」
「いや、そんな気がしただけだ」
「ふーん、どんな魚?」
「痩せ細った、あまり美味しくなさそうな魚だ」
「シーラカンスみたいな?」
「そんなに大きな魚じゃない」
そう言うと、目の前の敷石が急に波打って液化していき、先程の魚より3倍くらい大きな錦鯉ほどの魚が跳び跳ねる。
「な、なんだありゃあ」
「そうそう、これの小さいやつだった」
鯉ならば、まだ鱗や皮下に身が詰まっていそうなものだったが、この魚の周りの皮は骨にびっちりと張り付いており、見るものを不安な気持ちにさせるくらいに貧相な見た目をしている。
重力のまま地面に叩きつけられるかと思われたが、またもや石の中に深く沈んでいくのだった。








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