スイッチ

 車を走らせていると、助手席に人が乗ってきた。原始人のような格好をしている野外公演中の俳優Xくんだった。
そのまま車を走らせる。

走っている最中、扉を開けて飛び出そうとする。けれど「あ、出れない」と呟くXくん。車の安全性が向上しているらしい。

車内で雑談。
私が何気に発したことばでXくんのスイッチが入ってしまい、話が止まらない。
区切りの良さそうなところで、何度かハザードランプを点けて車を停め、Xくんを降ろそうとするが彼は知らん顔。

 そのうち登り坂になり、階段のような道になる。
いつの間にか反対車線を走っていたらしく対面からバスが続けてやってくるが、うまく避けてくれるので、幸い事故にはならない。