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超短編小説 ババ抜き

国際法は多数決で作るのがおかしいということで誰もがわかりやすいババ抜きで作ることになった。決勝で一番先に抜けた国が国際法を一つ決めていいこととなったのだ。最後にババを持った国は次の試合に出られない。

四つの国が一つのグループとなってリーグ戦をし上位二国が上のリーグ戦に上がる。16か国になるまでリーグ戦をし、そこから4グループに分かれ戦い一抜けした四か国が決勝に上がる。

グループ分け抽選会から始まり、各国の熾烈な駆け引き作戦は凄かった。今日は決勝だ。

どの国が一抜け出来るのか。決戦が始まった。A国は弱小国が債権放棄できる法律を作りたい。B国は侵略禁止の法律を作りたい。C国はどんな国でも自由に渡航できる法律を作りたい。D国は緑化を広げる法律を作りたい。どの国も真剣だ。

カードは配られ世界の国々は固唾をのんで見守った。

何回かカードがひかれた。ババはC国が持っている。一番最初に手持ちのカードがなくなり抜けたのはA国だった。弱小の国々から歓声が聞こえた。A国は手を挙げて応えた。C国のババをD国が抜いた。B国もカードがなくなり抜けた。

C国とD国どちらも負けられない。D国がババをカードのちょっと上に出して誘ってみた。C国は脇のカードを引きC国は抜けた。

D国はババを持ったまま床に這いつくばった。再来年まで試合に出られない。「緑化は無理か」泣きながらつぶやいた。

A国が優勝台に立ち弱小国が債権放棄できる国際法を作る宣言をしようとしたとき、弱小国を借金漬けにしたE国が叫んだ
「なにがババ抜きだ。こんなので決めるな。そもそも国際法なんて意味ねーよ!」
A国に殴りかかろうとしたが周りに止められ警備員に引きずられE国は追い出された。

弱小国が債権放棄できる国際法が成立した。

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