見出し画像

道の駅と言う勿れ

昨今、道の駅という存在が注目をされている。
人によっては、運転中の休憩施設。一般道のSA、PA的な立ち位置。そんな考えの人もいるだろう。

トイレ休憩ができて、お土産が買えて、お食事ができる。
場所によっては少し遊ぶスペースがあって、そこで子供たちが遊んでいる。
気に留めなきゃなんてことない、あとで思い返してもそんなところ行ったなぁ。くらいだが、間違いなく我々の運転を支えている施設。

そんな施設が今静かなブームとなっているのは何故なのか?
注目されるにはワケがある。
注目されないのにもワケがあるのと同じように。

画像2

↑最近リニューアルをして注目をされている道の駅くがみ


まず、皆様は何をもって道の駅と呼ばれるか?を
知っているだろうか?


基礎中の基礎だが、意外と道の駅に携わっている人でもわからないものなのである。

以下の3つの機能が道の駅には必要。

「休憩機能(24時間利用できる駐車場やトイレ)」

「情報提供機能(道路情報、観光情報など)」

「地域連携機能(観光レクレーション施設など)」

それに加えて、市町村長から国土交通省道路局に申請し登録されて初めて「道の駅」と名乗ることができる。

いわば公的なドライブの休憩スポットという考えで良いだろう。

そんな休憩スポットが近年注目をされているのだ。

何も知らない人からすれば、野菜が売っていて、食事ができてトイレ休憩ができるような場所。

そこまでのものだと思う。

記憶に残るかといえばこんな場所あるなぁ程度の場所。

そんなイメージは捨ててほしい。

ここからがタイトルで言った通り

「道の駅と言う勿れ」がここからはじまるのだ。


昨今では、道の駅の数がどんどん増えている。

この記事を書いている現在で1200近い道の駅が存在しており、現在でも建設予定の場所もあり、将来的には1500近くの道の駅が誕生するのではないかと言われている。

ではなぜこんなにも道の駅が発展して増えているのかを関東の道の駅制覇している私が考えてみた。

それは、道の駅には可能性がたくさんあるからである。

画像12

↑道の駅なら歴史芸術文化村

これだけ聞いたらなんのことか全く理解できないと思う。

しかし、道の駅には歴史がある。

一番最初に道の駅として登録されたのが1993年と約30年の年月が経とうとしている。

画像1

↑道の駅発祥の地とされる豊栄


最初は、一般道の休憩スポット程度のものに段々と需要が高まり、

その土地の名産が味わえる。つまり、この地に来なければ分からないものがそこにはあるのだ。

そんな人間の心理が揺れ動くものが全国各地にどんどんできている。

そうなってくると道の駅を管理している市町村もせっかくならと力を入れだしていく。

画像14

↑道の駅なんぶ。山梨県ではマグロの消費量が全国2位なのでこのような贅沢マグロ丼が出される。

ここの名産を使った料理を食事処で出してみよう。そして話題になっていく。

たまにはユニークに全ふりした商品があってもいいだろう。

画像13

↑道の駅潮見坂のしらすソフト


道の駅には遊びが許されている。

皆ドライブや休憩で心が穏やかになっているのだから。

そうするともっと道の駅にできることはないかと考え出してくる。

行政が道の駅に求める「子育て」や「防災」もその一つだろう。

道の駅には頼もしさもあるのだ。

そして、その道の駅ごとにできることを各地で考える。

画像3

電車があったり(道の駅したら)

画像4

温泉があったり(道の駅きつれがわ)

画像5

ユニークな公園があったり(道の駅なみえ)

画像6

よくわからないものがあったり(道の駅どなり)

画像7

ちょっぴりホラーだったり(道の駅かかしのさと)


なんでもありなのだ。

また、元々あった施設が道の駅になるケースも珍しくない。

画像8

↑燕三条地場産センターは元々1986年に設立して2015年に道の駅として登録された。

なぜなら、道の駅になるだけで専門誌や観光雑誌が取り上げてくれる一面もある。道の駅という名刺が知名度を上げるためにも一役を買っているのだ。

そうすると、他の関係者が他の道の駅の情報を仕入れやすくなる。

切磋琢磨を各県や地域の道の駅でされており、道の駅の活性化が始まるのだ。もちろんそんな気がないにしても、道の駅の懐の広さが人々の心と魂を動かしているのだ。

段々と道の駅が注目されているものになり、気づけば、オシャレであったり、不思議であったり、面白いところであったりと色んなタイプの道の駅が全国各地にできている状態なのだ。

そうなってくると自治体も放っておかない。

自分の市町村を盛り上げる注目があり、挑戦的に何でもできる場所として最適な道の駅。

観光地や観光行事のPRもしっかりとでき、人の触れ合いもしっかりとでき、様々な情報交換の場としても使える。

道の駅という存在はどんどん放っておけない存在になってきている。

新規の道の駅は今ある道の駅に追いつけ追い越せとある程度の形となっている「道の駅」というものを模範的に作っていく。

画像11

↑富山県の道の駅KOKOくろべ

例えば、清潔感があって、奥行きがあって、地元で有名なお店を出店して、防災、子育てをしっかりとテーマにして、遊べるスペースと開放感。

道の駅を巡らない地元の人からしたら、きっと嬉しいことであろう。地元の新鮮な野菜が安価で手に入り、美味しいレストランと子どもたちの遊び場として連れていけるスポットが増える安心感。

ただ、何百と道の駅を見てきた自分から言いたいのは、そうあってはいけない。

語弊があるといけないので、付け加えると、マニュアル化してはいけない。

ただ、このいつしか形式化されてしまった道の駅をポンポンと増やすのはもったいない気がするのだ。

道の駅とは一つ一つ個性が違う。

直売所しかなく、八百屋のような道の駅があってもいいのだ。

画像9

画像10

↑新潟県の道の駅越後川口とゆのたに

なんなら直売所がなくたっていい。

道の駅とは美術なのだ。

そこに確かなコンセプトやあり方や佇まいがあればそれが不思議なことに認知され、次の道の駅はどんなところなのだろうと期待を膨らませてくれる。

そうそれはまるで美術館のような気持ちなのだ。

だからこそ、道の駅の関係者には道の駅を好きになって欲しい。

様々な道の駅関係者ともお話をさせていただいたが、好きな人、励んでいる人、そうでない人。

この温度差はどうしても感じてしまう。

色んな人が道の駅という一つの施設に絡んでいる。

その温度を全員が同じにすると言うのはいささか難しいところがあるのは難しいことだ。

だからこそこの道の駅の面白さや楽しさや可能性の広さをたくさんの人に知ってほしい。

道の駅は人の心も体も動かす魅力ある施設なのだ。

だからこそ「道の駅と言う勿れ」なのだ。



画像15

↑まるでコンビニのような道の駅越後市振


マニアは道の駅を求めて今日もひた走る。

オープン、リニューアルと日々全国どこかしらの道の駅が姿を変えているのだ。終わりのないドライブがドライブの休憩のために構えている道の駅が僕らの足を停めるのを止めない。

この記事を最後まで読んだあなたもそこのない沼にハマってしまったかもしれませんね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?