たろうさんの事を考えるのはつらい。

でもティンダーで"たろう"という名前の人を見かけると無意識で右スワイプする日が続いた。

私は何がしたいんだ…

自分でも謎だった。

新たに別の

"たろうさん"とマッチし、何気ない会話から仲良くなる。

たろうさんは同棲してた彼女と別れて実家に帰ってきたばかりだった。

寝てる時に、彼女に包丁をつきつけられたんですよ、
なんでかわからないんですけどね…

新たろうさんは穏やかにエピソードを語った。

やり取りを重ねるうちに

会ってみましょうか、となる。　

気乗りしなかったけど、この苦しみから脱せられるなら…とすがる気持ちで会う事に。

待ち合わせに来たたろうさんは、堺雅人みたいな穏やかな感じでニコニコとしていた。

アジアン料理の店でお昼を食べる。

私はたろうさんと食べる事に慣れて忘れていたけど、人とごはん食べるのが苦手なのだ。

緊張しながら食べたので、何を話したかよく覚えていない。ごはんが喉を通らない。残してしまう。

相手は旅行が好きな人だったので、旅行でどこに行ったか話した気がする。

少し歩きましょうか、と駒沢公園に向けて歩く事に。

この人は常に上を見てる人だった。

あ！鳥がたくさんいる。

あ！あの建物おもしろい、、

そんな具合に。

私は下ばっかり見てるから普段気づけない事ばかりだった。でも。

上ばっかり見てるのも疲れるもんだな…
そう思った。

私のティンダー歴を正直に話すと、
僕には信じられない世界だなぁ。あはは。

という感じで、
時々マッチした人とごはんは食べたりするけど
いきなりホテル行くなんて、僕にはない世界です。というリアクションだった。

考え方も感じ方も、何かが根本的に合わない。

良い人なんだけど…

2度目会う事はなかった。
でもその人とはインスタで繋がって、
投稿にメッセージをたまにくれたりと、
sns友達になった。

2020年