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「結縄」という小説と 種苗法改正 とに思う 日本農業の危機



この記事を目にして
ケンリュウの「結縄」という短編小説を思い出しました。

「結縄」という短編は

彼の
紙の動物園
という短編集に収録されていたのです。


ケン・リュウは、アメリカ合衆国の小説家、翻訳家である。SF作品を得意とし、数々の賞を受賞している。中国系アメリカ人。 ウィキペディア
出生地: 中華人民共和国 蘭州市
生年月日: 1976年 (年齢 47歳)
受賞歴: ヒューゴー賞 短編小説部門World Fantasy Award—Short Fictionネビュラ賞 短編小説部門

アジアの天空近い山に住むナン族の下に
ト・ムというアメリカ人が 商人に連れられてやって来るところから話は始まります。

村中の 植物、動物を
作物、昆虫、薬草を、次々にカメラに納め、愛想よくいろいろなことを質問し、メモを取っていきます。
縄を結んで知恵を伝承し続けていたナン族

縄の結びが知恵の宝庫です。

干魃のせいで収穫が減少していた米に変えて
新しい種籾を提供することを条件に

その結縄の内容を教えて欲しいと
ト・ムは 結縄を読みとけるソエ=ボを
アメリカに招き 縄に記された情報を
コンピューターに移していきます。

ト・ムの提供した種籾はよく実り
村の人々も飢えを凌げて喜びました

が 翌年 また ト・ムがやって来ます。

新しい種籾を売るために。

ソエ=ボは収穫したものの一部から
種籾を採取しているのでその必要はないと
断るのですが、ト・ムは言います

その種は発芽しない。
毎年 我々から種籾を
買ってもらわねばならないと。

誰かが
新しい遺伝子を、作り
その遺伝子が発明者によって所有されており、もしほかの人々がその種を育てたければ、発明者に代金を支払わねばならない。

発明者の許可なく、その遺伝子の入った種を育てようとしたら、発明者から盗んだことになると。

ソエ=ボは
「では 縄の知識を、あなた方は盗んだのでないか」

問うのですが、
ト・ムは
「あなたから 学んだことは 古い
保護されていない
著作権、あるいは特許権に
守られていない」

と笑うのでした。

そして、ト・ムは新たな知恵を求めてブータンに向かうというところ 話は終わっています。

2011年に発表された作品のようですが
今の日本が置かれている社会と同じものを
感じました。



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