冬と春

このブログは「冬と春」の歌詞を含みます。
リリース前に詳細を知りたくない人は読まないことをおすすめします。







「私」が「あんなに」探していたガラスの靴を「あなた」が持っていたのに。
私にとってあなたは王子様で
あなたにとって私はシンデレラになれるのだと思っていたのに。
だけどあなたは面倒くさくなって
私が探してたそれはただの荷物になって。

「面倒くさくても
最後まで演じきってよ」

「面倒くさくても」がとても辛い。
面倒くさくても演じきるということは
ガラスの靴は履けても
あなたと一緒に歩いて行くことはきっとできない。
最後まで演じきってくれなかったことも許せないけど
嘘の「好き」が欲しかったわけじゃない。
ただガラスの靴が履きたかったわけじゃない。
あなたがガラスの靴を履かせてくれて
2人一緒に歩いて行けることを願っていたのに
歩いて行ける未来があるんだと信じてたのに
そんな自分の気持ちを押し殺してることがこの歌詞から伝わってくるからすごく辛い。

そして私が毎回涙腺決壊するのがCメロ。
「似合いもしないジャケット着て
酔うと口悪いよねあいつ」
これはおそらく主人公が
「あの子」に言っているセリフ。(私はそう解釈して聴いてます。) (※と、最初は思って聞いていましたが、あの子に直接ではなく知人と飲みに行った時の愚痴のようです…。)
本当は私がシンデレラで
あなたは王子様で。これは2人が主人公の物語だったはずで。
もちろん好きな人の悪口が言いたいわけじゃない。
このCメロの歌詞で
「私」と「あなた」が主人公だったはずのストーリーが
「あなた」と「あの子」が主役で
「私」が脇役になってしまうことがすごく辛い。
「いい子なのね」という一文がとても辛い。
「私」はもちろんそれを望んでいたわけじゃない。好きで脇役になんてなりたくなかったはず。
悪口じゃなくて、その先にある
「でも私そこも好きなんです」
って言いたかったのは私で。
誰よりも想っているのも私で。
カッコつけて着てる似合ってないジャケットも
私のために着てくれたなら世界一かっこいいのに。
酔って口が悪くなる姿も見せてくれてたのに。
「似合いもしないジャケット」は
本当は「あなた」と「あの子」がお似合いじゃないよねって言いたかったのを皮肉っている気もする。
でも、全部言えないから。
想いと言葉は山ほど溢れてくるのに
全部言えないから出てくる
「でもねあのね」の追い詰められてる感が切なすぎる。
どれだけあなたの悪口言ったって
どれだけあなたのことが好きだったのかを伝えたって
もう「私」は2人にとっては意地悪な脇役にしかなれないから。

私Cメロの歌詞は特に涙が止まらなくて、悔しくて悔しくて仕方ない。

「でも私そこも好きなんです」
一番想っているのに
一番言えないセリフを突きつけられるのが
つらくて悔しい。

そして、
「私じゃなくていいなら
私もあなたじゃなくていい
抱きしめて言うセリフじゃないね」

だ、抱きしめて言ってるの…?!
こんな辛いセリフ、言うだけでも辛いのに
抱きしめて言うなんて…

「あなた」が
「こんなつもりじゃなかったんだ、ごめんね」とか言って罪滅ぼしのつもりで抱きしめてきたんだろうか…
(罪作りすぎる)
それとも「私」が我慢しきれなくて
「どうして私じゃなかったの?」って
抱きしめてしまったんだろうか。
抱きしめられることを望んでいたはずなのに
その腕のなかで、世界一望んでいない言葉を放つなんて。

代わりに主人公をそっと抱きしめてあげたい。涙が止まらない…。

「枯れたはずの枝に積もった
雪咲いて見えたのは
あなたも同じだとばかり」

「冬と春」って言うくらいだから
冬の方が寒くて、春の方があたたかくて
春の方が明るい未来があるんだと思ってた。
私はあなたのよくない部分も
心の汚い部分だって全部好きだったのに
綺麗じゃない部分だって見つめて
それでも好きだったはずなのに
私たちの未来は綺麗な雪に隠されて
それを疑うことだけはできなかった。

「春がそっと雪を溶かして
今 見せてくれたのは
選ばれなかっただけの私

ひとり泣いているだけの
あなたがよかっただけの私」

そんな馬鹿みたいな終わりに
涙を流す価値は無いと泣くことを我慢して

本当に言いたかった気持ちを押し殺して
愛する人の悪口を言って

大好きだった人の腕の中で
世界一言いたくなかった言葉を放って

「ひとり泣いているだけの
あなたがよかっただけの私」

「私」が堪えていたものも
春がそっと溶かして
雪解け水みたいに涙が溢れて
一番想っていた気持ちも
一番最後に溢れ出て。

この最後の歌詞にも涙が止まらない。
あなたには人生の春が訪れたのに
私も一緒に迎えるはずだったのに。

冬よりも春の方が悲しい季節だなんて。

私だけじゃないとは思うんだけど
「あなた」にだんだん腹が立ってくる。
悔しくて悔しくて仕方ない。
自分が同じ経験をしたわけじゃないけど
とてつもなく悔しい。
他の曲でも悔しいと思う曲はあるけど
悲しいと悔しいが混ざり合って
なんだかんだ「悲しい」が大きくなってたりする。
でも今回は「悲しい」が「悔しい」で完全に飽和して、溶けきれなかった悔しいが重く色濃くのしかかってくる感じ。
曲に自分を重ねる、というより、曲の主人公が自分に憑依してくる感じ。
だから聴くたびに涙が止まらない。
でも、だからこそ、この曲が大好きで、
こんなに素晴らしい言葉を、翻訳したりせずに、直接味わうことができる日本人でよかったなぁとさえ思う。
(翻訳すると意味が若干変わったりするじゃない?)
依与吏さんが何を伝えたいのかを、より深く読み取ろうとすることができるから。

今後公開されるであろうMVを見たりすると、また新たな解釈が生まれるかもしれない。
だけど、初フル解禁されてから今まで、心の中では収まりきらない言葉が溢れかえったので残しておこうと思う。

きっとまた書きます。
この美しい歌詞に敵う言葉は持ち合わせてないけど
涙とか想いとか、溢れて止まらないので。

大好きな曲がまた増えました。
ライブで聴ける日がとても楽しみです。
どんな声で、どんな表情で歌うのか、演奏するのかとっても楽しみです。

そして、この曲の主人公の心の枝に
溶けてしまわない花がいつか咲くことを
祈らずにはいられません。

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