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THE BEATLES SONGSの邦訳タイトルを考察する⑦

「消えた恋」(What Goes On)

というわけで、前回書ききれなかった6thアルバム『ラバーソウル』のB面です。
といっても、現在のサブスク世代は言うに及ばず、CD世代だって「A面?B面?」と言われてもピンとこないでしょうから、とりあえず便宜上の区切りとして理解していただければと思います。
さて曲についてですが、この曲はリンゴがボーカルを取っており、それ自体は別に珍しくない(各アルバムに最低ほぼ1曲は入っている)のですが、この曲が珍しいのは作詞作曲のクレジットにリンゴが入っていることです。
リンゴの作った曲でビートルズ公式としてレコーディングされたのは213曲中たった2曲(「ドント・パス・ミー・バイ」と「オクトパス・ガーデン」)ですが、「レノン=マッカートニー=スターキー(リンゴの本名)」とクレジットされているこの曲を加えると3曲になります。
閑話休題。
タイトルを直訳すると「何が起きた?」。歌詞にはそのあとに「in your heart」や「in your mind」と続くので、「君の心(気持ち)に何が起きた?」となります。
彼女の心変わりを責める歌詞ではあるのですが、それで「消えた恋」とはあまりに早計だよなぁ……。

「君はいずこへ」(I'm Looking Through You)

「look through」を辞書で引くと、「~に目を通す」「~を通して見る」と書いてあることが多く、転じて「~を調べる」「~を見て見ぬふりをする」「~を探す」といった用法も出てきます。
ではこの場合どれを選ぶかなのですが、さすがに「僕は君に目を通している」ではアホすぎるし、「僕は君を調べている」だとなんかいやらしいです。
邦題の「君はいずこへ」はおそらく「僕は君を探している」から取ったんだと思いますが、他の邦訳では「見て見ぬふりをする」からさらに転じて「僕は君のことはお見通し」というのもありました。
ほとんどの歌詞を書いたポールの立場に立つと、交際中の彼女とギクシャクしている最中だったそうで、それなら素直に「すれ違っている彼女を探す」でいいんじゃないかなぁと思った次第。

「恋をするなら」(If I Needed Someone)

たまたまだけど、イントロが印象的な曲が続きます。
そしてこの曲の作者(およびボーカル)はジョージです。
タイトルはほぼ直訳。正確には「もし僕が誰かを必要だったなら」ですが、実際はラブソングなので「恋をするなら」で問題なしですね。
そしてこの曲はたぶん「政治的要素」はないと思われます……。

「浮気娘」(Run For Your Life)

非常にわかりやすいジョンの曲です。
そしてたまたまですが、今回紹介した4曲はそれぞれボーカルが違うわけです。
まぁ、「邦題」のみをテーマにしているので、誰が歌っているのかはどうでもいいのですが、なんか嬉しくなったので。
ちなみにこの曲は自称「ジョンがビートルズ時代で最も嫌いな曲」ですが、逆にジョージはお気に入りだったそうです。
さてタイトルですが、直訳すると「命がけで走れ」かな。高嶋氏、相変わらずかなり意訳してらっしゃいます。
ただ歌詞によると、確かに「浮気娘」も出てくるのですが、どちらかというとその主体のほうが問題で「浮気したら○すよ」と言っていて、むしろそっちのほうがやべぇ奴かと。というか、こういう歌詞を書いてしまうジョンがむしろやべぇ奴ということかと(汗)。
さて、前回の「嘘つき女」でちょっと言及しましたが、こちらは「娘」です。個人的には「揃えろや!」と思いますが……。

次回予告

というわけで、正真正銘次回で最終回です。
なんやかんやで三カ月かかってしまった。
なるべく早く更新します。
では次回。

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