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6か月前の自分の疑問に答えてみるーインパクト投資の世界に飛び込む

6か月の振り返りnoteを書いていて、マニアックすぎるかもしれないと少し反省。相変わらずカジュアルなトーンで恐縮ながら、この世界に飛び込む前疑問に思っていたことを箇条書きで回答してみる。

(本当はそれぞれのトピックで記事を書きたいくらいだけど手が回らなかった。100%の成果物で数か月かかるよりは30%でとりあえず公開。書き直したいけど多分余裕がない。匿名アカウントでないことを後悔。。)


◆インパクト投資って儲かるの?はyes
リターンが出る案件にしか資金を出さない。当たり前だけど飛び込む前は疑問だった。

インパクト投資のリターンは誰が受け取っているの?
通常の投資と同じイメージで、基本は投資したお金の出し手。
お金の動きをおさらいすると、資金の出し手であるLP(年金や保険の運用会社、金融機関、財団、富裕層個人など)がファンドマネジメント会社(弊社)にお金を預けて、ファンドマネジメント会社が社会的企業に投資している。
基本的には、ファンドマネジメント会社が社会的企業から受け取る金利や投資リターンは、一部はファンドマネジメント会社のコストを賄い(賃金、オフィス代など)、一部は資金の出し手であるLPにリターンとして渡される。
基本的にはと書いたのは、英国には様々な背景から既に多額の資金を持っているファンドマネジメント会社(株主不在のチャリティーなどが多い)が複数あり、その場合はリターンは前述の会社コストを賄ったあと、未来の投資資金の元本となってリサイクルされる。

◆インパクト投資?ソーシャルファイナンス?何が違うの?
言葉の問題でやっていることはとても近いことが多い。ソーシャルファイナンス=気候変動系はメインフォーカスではないことを示していることが多い。あまり言葉尻に惑わされず、各ファンドの性格を知っていくことが大切。

◆どんな投資先が多いの?
英国Big Society capitalのによると、ソーシャルハウジング(日本でいう公営住宅。不動産価格上昇で家を借りられない人が多発する英国の深刻な問題)トータルの社会的投資の半分くらいを占めている。
同社のenterprise dataによると、続いて、就労支援系が多い。
これは肌感覚的にもあっている。困難な背景を抱える人たちに職業トレーニングをして採用したり、採用斡旋をするのは、社会課題解決のための活動において比較的わかりやすい収入源を確保できるので、社会的企業の数も多いし投融資を受けやすい。


◆インパクト投資ってVCみたいな感じ?
それも含むけど違う。社会的なインパクトと金銭的リターンの両方を求めたrepayableな資金提供であれば、エクイティ投資もデッドファイナンス(ローン、融資)もインパクト投資。

◆なんで社会的なインパクトも金銭的なリターンも求めるいいとこ取りみたいなのが成立するの?

いいとこ取り(三方よし)な案件に限定して投資しているイメージ。

そして融資は、(普通の銀行からは担保なしで借りられないような小体だけど頑張っている社会的企業が借り手になることが多く)いわゆる普通の銀行よりも利率が高め
調達コストが高いのと取っているリスクが大きいから。

◆インパクトの評価ってどうやってるの?
国際的な基準や英国内でメジャーになりつつある基準を参考にしながら、自社のインパクトチームが独自にインパクト評価マトリックスを設定している。
何人の人生をどのくらい変える事業か、数字を入れながらスコアリングしたり、社会課題の根深さとか、ネガティブインパクトについても項目があったり。
新しい投資先が入るたびに結構議論しながらインパクト評価について擦り合わせしていく。
スコアリングは可視化の一つとして重要だけれど、実際社会的企業と言っても多種多様なので、一概に横比較できるわけではなく、ストーリーテリング/narrativeも重要。

◆インパクト投資って最近はブラックロック等超老舗ファンドマネジャーも入ってきているけどどんな感じ?
直前の振り返りエントリでも言及してしまったが、インパクト投資の世界には、Market Rate金銭的リターンの目線をいわゆる普通の投資と同じに見ている人たち(Blackrock含む)と、インパクト重視でBelow Market Rateの投資をする人たちがいる。
前者は同じ投資なら社会にいい会社に投資しようよ(金銭的リターンは同じレベルだしみんなやろうよ)、という感じで、後者は社会課題解決の方向をがっつり向きながら会社として成り立っていくための金銭的リターンは確保していくようなチャリティーマインドの人たちが多いイメージ。

私は後者のBelow Market rate側にいたので、ブラックロックが入ってきてもこなくても無風な別世界。強いて言うなら長期的に注目度が上がって有り難いが、競合となる日は来ないと思う。

◆誰が投資しているの?
Below Market rateな弊社には、英国のインパクト投資業界のホールセーラーと呼ばれるBig Society Capitalや、フィランソロピー系の財団、企業の財団などが投資しています。イメージはチャリティーっぽい色があるお金。
周りを見てもだいたい同じイメージ。
Market Rateなファンドマネジャーには年金基金や保険会社や個人含め、多種多様な投資家がいる模様。

◆どんな人が働いているの?
金融バックグラウンドが多いけれど、コンサル出身や自分で社会的企業を始めた人、アクセラレータープログラム運営者など。金融出身じゃなくても働きながら覚えれば財務分析はできる。
私の勤務先は英国のPwCやアクセンチュア出身の人が複数いた。

◆なんで社会的企業はインパクト投資家から資金を受けたがるの?普通の投資家や金融機関ではなく。
1.エクイティ投資では特に、会社の株主は経営陣とビジョンを共有できることが大事。「ほかのVCからも出資したいと言われているけど、ソーシャルな側面は儲からなかったら消していく必要もあるねと匂わされている。インパクト投資家であるあなたたちに出資してもらって伴走してもらいたい」と言われたりした。
2.融資については、普通の金融機関から借りるようなピカピカの決算書ではないが社会的に価値が大きいことをしている会社が、Below Market Rateのインパクト投資家から融資を受けているケースが英国では多い。
3.伴走支援が魅力的だから (例えば弊社はインパクト評価専門のチームが社内にいる為、投資先企業が利用者データを集めるときにアドバイスをしたりする。普通の金融機関にはできないサービス。)


取敢えずこの辺りで。ラフな疑問でもTwitterやコメントで送って頂けると書き足せて喜びます!


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