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『読むアートはいかがですか?』2

みなさま、金曜の秋の夜、いかがお過ごしですか?過ごしやすく物思いにふけるにはもってこいのこの季節。

さて、この夜は"アルベルト・ジャコメッティ"のお話を。この彫像、みなさまご覧になったことございますか?

折れそうなほどに細く長い足を、力強くそのその躯体と共に前に進めようとしているこの彫像。とても印象的ですよね。ちょん、と押したらきっと、台座ごと倒れてしまうでしょう。一見、そんな儚さも感じつつ、愛おしさも私は同時に受け取ります。

そう、美しさの概念は時代や国によってまったく異なります。果たしてこの彼の作品『歩く男』ではどの視点で美しいでしょうか?また、美しさとは別の概念を皆さん感じ取れるでしょうか?

ジャコメッティはどんどん、どんどん、要らないものを削った結果、細く長い彫刻になり、最後に破壊してしまう事もあったそう。主にこの彫像のイメージは女性(彼の妹さん?)らしいのですが、細く長く、なんとも頼りなさげではあるものの、しっかりとしている”芯の強さ”を感じます。”芯”に似たような言葉で”軸”があります。同じなようで少し異なるニュアンスかもしれません。彼の作品で言うと”芯”なのだろうなと思います。私はそこにこそ、美しさを感じます。人の強さも。

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私が過去見に行ったジャコメッティ回顧展では作品の撮影が数か所許可されていました。こちらは「歩く男」。

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ジャコメッティの作品の変化が見て取れた回顧展。私は実はジャコメッティをそれまで見たことがなかったのですが、なんでだっけ。。。いつの間にか足を運んでいたのです。不思議。そしてその理由も忘れてしまいました。

しかし、彼の作品は私の脳裏に焼き付き、人の本質は年齢を経るごとに余分なものが削られ、洗練されていく。それは魂のようなものだと。

ジャコメッティの肖像は彼の故郷スイス紙幣にも使用されています。

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アーティストが紙幣になる。まさに紙幣がアートであり、その国が何を大切にしているかがわかる、そんな気がしました。この紙幣、私もほしい。アーティストが敬われる国は、創造性に尊敬の念を抱く国民性がある。創造性がある国とはつまり、新しいものを作り、それを尊重し合うことができる文化があるかどうか、ということ。足を引っ張り合う文化では、イノベーションは起こらないのです。そもそも、その引っ張り合う文化の根底は、つまりオレンジ組織。年功序列なんですよね。日本は悲しいかな、そんな組織がまだまだたくさんあります。

私が思うには、アーティストはその創造物を通してさまざまなものの見方、価値観を世の中に提言する、それによって、一人一人の視野は広がっていくんだと思います。そこには目に触れる、手に取る行為が必要。そのソリューションが必要。場が必要。

私はその場をつくりたい。

そしてこれから、日本が変われば良い。2020の後、きっと日本は一度落ち込む。しかし、きっとまたその0ベースから始まる世界があると思います。やりたいことをして、良いね!と言われる仕事をして、縛られずアートのように自由に。

アートと対峙していると、先人のその想い、未来への希望はたまた絶望、そんなものも感じます。

生きたいように、自由に生きろ。アートは、そう教えてくれると思うのです。だから私はもっと、アートと触れてその楽しみを発信していきます。

みなさま、今週もお疲れ様でした。



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