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私の作品紹介5 監獄小説『余は如何にしてイスラム教徒となりし乎』(1987年の聖戦)

22歳の時、法政大学在学中に出した監獄小説である。カバーデザインをやってくれたのは、当時、武蔵野美術大学の学生だった池田伸哉である。

下の「1987年の聖戦」は、復刻のリクエストに応えて2014年に出した電子版。タイトルを変えた理由については「あとがき」にも書いたが、一言で言えば「時代にそぐわなくなった」からだ。


どうして監獄小説を書いたのか、どういう経緯で本になったのかは、30年以上も前のことなので、よく覚えてない。長く、ほっぱらかしにしていたくらいだから、あまりいいことはなかったのだろう。
が、2014年、電子版の校正をしたとき、この作品に対する見方が変わった。文章の瑞々しさ、表現の率直さに触れ、「これは22歳の人間にしか書けない」と思ったのだ。そのとき、「あー、書いておいてよかった」という思いが込み上げてきた。
大人にならないと書けないものもあるが、若い時にしか書けないものもあるのだ。22歳の「中川君」はそう思えるものを残してくれた。「おまえ、えらいなー。よくやった」と褒めてやりたい気分になった。
そんなわけで、若いライターさんには「若い時にしか書けないものってあるからね」と言うようにしている。

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