「友達が泊まりに来るからアナタも食事だけで良いなら来れば?わら」と言われたので合流した結果①

真夏の週半ばのど平日。
僕はこのところ仕事に身が入らず、定時でクライアント某商社の本社ビルを足早に抜け出し、最寄りのコンビニでお酒を買っては早い時間から飲み始めるという日々に終始していて、自宅に辿り着く頃には酩酊状態に仕上がっていることも少なくない。

多少遠回りで時間が掛かったり都営料金は割高だったりもするのだが、最寄りの駅から都営三田線に乗り込めば横浜市の自宅までのアクセスは悪くない。途中で同じホームの向かい側から東横線へ乗り換えられる駅がいくつもあるからと、このルートをセレクトしていた。

そうは言っても早い時間に最寄りの駅に着いたからといって、帰宅したところ改めて飲むだけだ。
この日は夏真っ只中にしては湿度が低く夜風が心地良かった。そのため真っ直ぐ帰宅するわけでも無く駅前の公園のベンチに腰を掛けて飲んでいるとLINEのメッセージを受信していることに気付いた。
たまに連絡を取り合うチアキからだ。
「今職場?武蔵小杉まで来れない?友達が泊まりに来るんだけど食事外ですることになってて、近いし一緒に食事どうかな?と思って。わら」

「『わら』じゃねーよ」と思いながらも「既に帰宅しようと最寄駅なので調度いいかも!」と返している自分が情けない。
間髪入れずに着信が入る。
「どんな感じー?」
相変わらず軽い。
「小杉なら行こうと思えば行けるよ」
「どっちでも良いけど来る?」
「どっちが良いの?行かない方が良いなら行かない」
「いや2人で食べても良いんだけど、このところタイミング合わなかったからどうかと思って」
「タイミング合うから行こうか?(笑) ってか友達はそれでも良いの?」
「じゃー来れるなら来なよ。ってか友達が男性目線で誰かに悩み聞いて欲しいんだって。来れる?」
「それなら『じゃー』じゃねぇだろう。高飛車か」と思いながらも、続く文句にテンションが上がる。
「多分さ、城西くん友達の事気に入るよ。ギャル系好きだったよね?友達超ギャル」
チアキ自体もパッと見も喋り方もギャル風なのではあるが、その彼女が言うのであれば間違いないだろう。
「行くって言ってるじゃないか」と言わんばかりにラリーを続ける自分が情けない。
「ってか友達今日泊まるの?終電逃したらオレも泊まれる?朝まで語り明かそうか!」そう返す前には既に最寄り駅の改札を抜けていた。

チアキとは出会ってから4年という月日が過ぎようとしてしている。
終電後の大通りを足早に歩くチアキに声を掛け何とか意気投合した僕らはそのままショッピングモールの立体駐車場で野外プレイで盛り上がり、中出しでフィニッシュを決めてしまった僕は10歳近く歳の離れたチアキに思い切りアタマを叩かれ、軽い脳震盪を引き起こした位にはインパクトの大きなファーストコンタクトだった。

それからもコンスタントに連絡を取りながら、チアキが近くに寄った時には「絶対何もしないと約束するなら」と僕の部屋へ訪れては、何もしないワケもなく中出しする僕を「どう責任取るつもりなんだ」とドヤしてきた。

今日の「終電逃したらオレも泊めてくれ」の打診に対しては「3人も寝るスペースねーし絶対泊めねーから(笑)」と言っていたが、彼女のこの建て前からの物言い程当てにならないコトを僕はそれなりに知っているつもりだ。

特急の東横線に乗れたので武蔵小杉までは15分も掛からない。
改札を出て指定された場所へ行き着くと、派手なオンナ2人がこちらに気付いて手を振っていることに気付く。
若いギャル系女子2人とこれから食事をしようとしているしがないサラリーマンの僕は周囲の目にどの様に映るのだろうかと恐る恐る2人へ近付いた。

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