mRNA COVID-19ワクチンは、ワクチン接種を中止しなければならないほど危険なものではありません。

mRNA COVID-19ワクチンは、COVID-19のグローバルな政策が見直される間、ワクチン接種を停止するに値する重大な健康リスクを被接種者にもたらすのでしょうか?一般公開される前に、ワクチンに対して十分なテストが行なわれなかったのでしょうか?いいえ、そのいずれも真実ではありません:mRNA COVIDワクチンが一般人にとって安全でないという証拠はありません。ある疫学教授は、2022年10月5日の電子メールでLead Storiesに、「何百万人もの命を救ってきたCOVID-19ワクチン投与を一時停止するのに十分な科学的データは存在していません」と述べています。

この主張は、2022年9月26日、英国の心臓専門医で公衆衛生活動家のAseem Malhotra博士によるツイート(アーカイブはこちら)に登場しました。このツイートは、「本物のエビデンスに基づく医療でCOVID-19 mRNAワクチンの誤報のパンデミックを食い止める-その1」「本物のエビデンスに基づく医療でCOVID-19 mRNAワクチンの誤報のパンデミックを食い止める-その2」と題されたMalhotra氏の最近の論文にリンクされています。冒頭は以下の通り:

私はこの論文に9ヶ月を費やしましたが、厳密で長い査読プロセスを経て、今日ようやく出版されました。この論文は、私のこれまでのキャリアの中で最も重要なものであり、地球上の全ての人類に影響を与えるものです。

https://twitter.com/DrAseemMalhotra/status/1574257292006014976 

このファクトチェックの執筆時点での上記ツイート以下の通り:

(出典:2022/10/05 水曜日 17:31:09 UTCに取得されたTwitterのスクリーンショット)

博士の論文

Malhotraのツイートは、同氏が2022年9月末にオープンアクセス誌《Journal of Insulin Resistance》に発表した2本のCOVID論文にリンクしています。 このジャーナルは「無料のオープンアクセス」と銘打っていますが、出版費用は「ページフィーとも呼ばれるArticle Processing Charges(APC)を、掲載された各論文に対して著者、機関、資金提供者に請求する」ことで相殺される「有料出版」と呼ばれるものです。これらは、著者が権威あるジャーナルで紹介されているように見せかける「有償出版」方式と呼ばれることもあります。

田舎で会社を興して成功すると、『自伝を自費出版しませんか?』の営業がかかってくることがありますけど、分かり易く言えばアレの論文版です。

2022年10月5日、Lead Storiesへの電子メールで、UTHealth Houston School of Public Healthの疫学准教授であるCatherine Troisi氏は、当初からMalhotra氏の論文に問題があったと述べています:

COVID-19ワクチンについて発表する場所としては適切ではなく、インパクトファクターが0のJournal of Insulin Resistanceに掲載されています。これは信頼出来る雑誌ではありません。

https://leadstories.com/hoax-alert/2022/10/fact-check-covid-mrna-vaccines-did-go-through-proper-testing-pose-no-great-risk-of-adverse-events-vaccinations-should-not-be-paused.html 

ハーバード大学生命倫理センター所長のRobert D. Truog博士は、2022年10月5日、Lead Storiesに送った別の電子メールで、同様の懸念を伝えています。彼は次のように書いています:

引用された論文はJournal of Insulin Resistanceに掲載されたものです。その見出しには、『インスリン抵抗性の障害の進歩を網羅する臨床志向の雑誌』とあります。Malhotraの論文は、インスリン抵抗性とは全く関係がありません。 各論文の中で、彼はインスリン抵抗性についての言及を一行だけ、捨て台詞のように書いています:

論文1:『我々、冠動脈疾患はインスリン抵抗性によって悪化する慢性炎症性疾患であるという事実を強調する』
論文2:『この論文は、慢性疾患を減らすために代謝の健康に取り組むことの重要性と、インスリン抵抗性がCOVID-19による予後不良の主要な危険因子でもあることを明らかにしている』

・これらは、論文全体でなされたインスリン抵抗性についての唯一の言及です。
・これらは、この雑誌での出版を正当化しようとする不条理な作為的な捨て台詞です。

https://leadstories.com/hoax-alert/2022/10/fact-check-covid-mrna-vaccines-did-go-through-proper-testing-pose-no-great-risk-of-adverse-events-vaccinations-should-not-be-paused.html 

Troisi氏はMalhotraが提示したデータに欠点があることを発見しました。彼女は以下のように述べました:

彼が提示する情報の多くは、生態学的な誤謬(=集団の集計データに基づいて個人を推論する際に生じる推論の誤り)であり、統計的に有意でないか、対照群を持っていません。また、彼は、抄録の中で、非高齢者集団のデータについて述べていますが、抄録の寄稿欄で認めているように、他のリスクグループも存在するのです。我々がワクチンを接種する理由の一つは、個人のリスク軽減だけでなく、よりリスクの高い人々を守るためのコミュニティのリスク軽減です。彼はこれについては議論していません。

https://leadstories.com/hoax-alert/2022/10/fact-check-covid-mrna-vaccines-did-go-through-proper-testing-pose-no-great-risk-of-adverse-events-vaccinations-should-not-be-paused.html 

Malhotra氏は論文の中で、COVIDワクチンのテストは不十分であり、もっと多くのことが分かるようになるまで、世界的なワクチン接種プログラムを停止すべきだと主張しています。Troisi氏は、メールで、その方法を支持するものは何もないと述べています:

・全否定します。何百万人もの命を救ってきたCOVIDワクチンの投与を一時停止するには、十分な科学的データがないのです。
・著者は、SARS-CoV-2[コロナウイルス]による全世界での数百万人の死について論じておりません。

https://leadstories.com/hoax-alert/2022/10/fact-check-covid-mrna-vaccines-did-go-through-proper-testing-pose-no-great-risk-of-adverse-events-vaccinations-should-not-be-paused.html 

CDC

Lead Storiesは、CDCに、Malhotraの論文に対する回答を求めました。2022年10月5日の電子メールで、Scott Pauley報道官は、「CDCは、CDCの専門家が執筆していない、機関外で行われた研究/調査結果についてはコメントしません」と述べました。Pauley氏は、CDCがCOVID-19ワクチンの安全性を優先し、報告されたワクチンの健康問題を「非常に深刻に」受け止めていることを強調しました。彼は、CDCのワクチン安全性監視システムのリンクを提示しました。

VAERSデータ

米国では、VAERSがワクチンによる健康被害に関するデータを提供しています。これは、CDCとFDAによって、粗い早期警告システムとして共同管理されており、特定の結果を定量化するためのデータベースではありません。

インターネットにアクセス出来る人なら誰でも、VAERSの報告リストに報告を追加することが出来ます。このリストは、ワクチン接種後に人々が経験するあらゆる健康上の出来事について、検証されていないメモを集計しているだけですので、それへの一般アクセスリンクは、VAERS資料に基づく不当な結論に対して明示的に警告を発しています。

このリストが示すのは時系列的な相関関係であり、立証がより困難な因果関係ではないため、リストそのものを主張の立証や定量化に用いることは出来ません。

リスク vs. ベネフィット

CDCは長い間、「COVID-19ワクチン接種のベネフィット(利益)は、既知及び潜在的なリスクを上回ります」と述べてきました。論文の中でMalhotraは、特に低リスクのグループに対してmRNAのCOVID-19ワクチンを接種することが倫理的に正しいかどうかを問うています。Troisi氏は何の問題もないと考えているようです:

私は生命倫理学者でありませんが、殆どの場合、重大な有害事象なしに命を救うことが示されているワクチンを接種することが、私には非倫理的であるとは思えません。

https://leadstories.com/hoax-alert/2022/10/fact-check-covid-mrna-vaccines-did-go-through-proper-testing-pose-no-great-risk-of-adverse-events-vaccinations-should-not-be-paused.html 

生物倫理学者であるTruog氏は、Malhotraの論文は専門家として不適格であると述べています:

各論文は、著者の偏見を反映した個人的な物語に過ぎません。

残念ながら、これは評判の良い医学出版物を装って誤った情報が流布される典型的な例です。

https://leadstories.com/hoax-alert/2022/10/fact-check-covid-mrna-vaccines-did-go-through-proper-testing-pose-no-great-risk-of-adverse-events-vaccinations-should-not-be-paused.html 

COVIDワクチンに関する他のLead Storiesのファクトチェックは、こちらでご覧頂けます。

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