ひまし油が胆石や腎臓結石を「分解」する証拠はありません。

Facebookの動画で主張されているように、ひまし油を「肝臓部分」に塗ると、胆石や腎臓結石を「分解」するのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。ひまし油を局所的に塗布することで胆石や腎臓結石を治療することが出来るという確固たる証拠は存在しません。ひまし油は「一般に市販の下剤として安全かつ効果的であると認められているものです」、とFDAはLead Storiesに回答しています。しかしながら、肝臓部分にひまし油を局所的に塗布することが、胆石や腎臓結石に対する承認された効果的な治療法であるという記述をLead Storiesでは見つけることが出来ませんでした。

この主張は、2016年2月27日にYouTubeで共有された約2時間の動画(アーカイブはこちら)に登場し、その中で、話者として登壇しているBarbara O'Neillというオーストラリアの物議を醸している自然療法家によるものであり、彼女は、「右の肋骨の下の肝臓部分に塗ると」、ひまし油は胆石や腎臓結石を「砕く」ことが出来ると述べています。ニュージーランドのRoyal Oak Seventh-day Adventist Church(⇦アクセス不可になっています)(アーカイブはこちら)がYouTubeに投稿した動画の1:02:33で、O'Neillは次のように語っています:

だから、胆石を砕くのに使えるの。例えば、右の肋骨の下の肝臓の部分に貼ったり、腎臓結石を砕くために背中に貼ったりするのよ。

27.02.2016 - Barbara O'neill - Natural remedies - YouTube

この動画(⇦利用出来なくなっています)は、「様々な健康状態におけるひまし油の効能」というキャプションと共に、7年後の2024年3月15日にFacebook上で公開及び共有されたものです(アーカイブはこちら)。#barbaraoneill #healthytips #LiverHealth #healthadvice #castrooilbenefits"

記事執筆時の投稿は以下の通りです:

(出典:2024/03/18 月曜日11:58:00 UTCに取得されたFacebookのスクリーンショット)

YouTubeに共有された同じ動画の中で、O'Neillはまた、ひまし油湿布が下痢や便秘を治療するために大腸を「癒す」と虚偽の説明をしていますが、この主張はLead Storiesが2023年4月に論破しています。

「一般的に、消費者はFDAの市販前承認を経ていない食品(またはその他の)製品で、病気やその他の健康状態を予防、治療、治癒するとして販売されているものには注意する必要があります」と、FDAはLead Stories(アーカイブ)に対し、2024年3月20日付で届いた電子メールで回答しています。「安全性と有効性が証明されていない製品は、消費者から金銭を詐取するだけでなく、深刻な状態になりうるのに、適切な診断や治療が遅れることにもなり兼ねません。また、人々を重大な傷害の危険にさらすことにもなり兼ねません」

但し、FDAは、ヒマシ油は「一般に市販の下剤製品として安全かつ効果的であると認められています」とは書いています。

Lead Storiesは、ヒマシ油が、摂取したり湿布として塗布した場合に、胆石や腎臓結石を治療、分解、除去できるという確たる証拠を見つけられませんでした。

ひまし油は、国立医学図書館(アーカイブはこちら)によりますと、世界の東部地域で一般的な植物であるトウゴマから得られる植物油です。ひまし油を局所的に塗布した場合の効能(アーカイブはこちら)については、逸話的な証拠(アーカイブはこちら)がありますが、そのような使用法は医学の専門家によって確認されていません。2005年にEvidence-Based Integrative Medicine誌(アーカイブはこちら)に掲載された研究論文によりますと、「ひまし油は皮膚から上手く吸収されない」か、或いは摂取したひまし油とは代謝が異なるということです。

ひまし油は、FDAによって「経口または直腸投与に適した形態の緩下剤製剤(一般に安全かつ有効であると認識されており、この[市販]モノグラフ(アーカイブはこちら)の各条件を満たしていれば、誤認表示とされることはありません)」と分類されており(アーカイブはこちら)、限られた期間、医師の判断で経口投与(アーカイブはこちら)されます。MeylerのSide Effects of Drugs(アーカイブはこちら)によりますと、ひまし油を不適切に使用した場合、胃腸炎や胃腸出血(アーカイブはこちら)といった重篤な症状を引き起こす可能性があります。[ひまし油は食品添加物としてもFDAに認可されています(アーカイブはこちら)。]

ひまし油を局所的に塗布すれば腎臓結石や胆石を「砕く」ことが出来るという主張は2016年にO'Neillによってなされ、彼女はその3年後にオーストラリアの保健当局から診療を禁止する処分を受けています。以前にLead Storiesが報じましたように、2019年、O'Neillはニューサウスウェールズ州医療苦情処理委員会(HCCC)の調査により、彼女の誤った情報の流布が無登録開業医の行動規範に違反していると結論づけられ、いかなる形態の医療行為も永久に禁止されることになりました。

2019年9月24日に発表されたニュースリリースの中で、HCCCはO'Neillが「エビデンスに基づくものでも、主流医学によって支持されたものでもない」「怪しげで危険な健康上の主張」を行なったと述べています。HCCCは更に、O'Neillは自身の職業訓練の範囲内に留まることを怠り、安全かつ倫理的に医療サービスを提供することを怠り、弱い立場の人々に症状に適した医療を求めることを思い留まらせ、誤解を与えたと付け加えています。最終的に、これらの結論により、O'Neillはニューサウスウェールズ州においていかなる立場でも医療行為を行なうことを永久に禁止されることになりました。

胆石は肝臓で生成される「消化液の固まった沈殿物」であるとメイヨークリニックは書いています(アーカイブはこちら)。それらは「砂粒のような小さなものからゴルフ ボールのような大きなものまで」サイズがあります。マウント サイナイは、熱を加えたひまし油パックが腫れを軽減するのに役立ちますが、O'Neill が示唆したように、胆石を「分割」することは出来ませんと注意喚起しています(アーカイブはこちら)。更に重要なことは、胆石の症状を経験した人は、しばしば胆嚢を摘出する手術が必要になることであります。

腎臓結石は、腎臓に出来るミネラルと塩分の硬い沈着物で、メイヨークリニックは、食事、体重過多、いくつかの病状によって引き起こされると記しています(アーカイブはこちら)。胆石とは異なり、腎臓結石は痛みを伴うものの、通常は通過可能なものです。

Lead Storiesが論破したその他のO'Neillの主張は、こちらからご覧頂けます。

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