COVID-19の死者数は「年間2万8000人」ではありません。--間違った数学の主張に根拠はありません。

【和訳】
老人ホームで亡くなった人や、4つ以上の合併症を抱えて亡くなった人を除くと、アメリカでは年間28,000人しかCOVID-19「で」亡くなっていないのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。CDCの国立保健統計センターによると、2022年1月22日に終わる週の時点で、パンデミックのその総数は861,792人でした。CDCは、COVIDによる死亡を、COVIDが直接の死因であったケースとしてカウントしています。

この主張は、2022年1月20日、Instagramのミームに登場しました。それは冒頭で以下のように述べています」

単純な計算だよ。これらの誇張された数字をもって、年間2万8000人の死を、私達が社会や人々の生活に何かしらの制約を持って事に臨むに値するのでしょうか?これは正気の沙汰じゃない...。#目覚めよ!#真実を暴け!#アジェンダを暴け

https://www.instagram.com/p/CY901xQuabw/?utm_source=ig_embed&ig_rid=de1e7a13-db60-4d11-9add-e6eb22b6317a

2022年1月25日、Instagramでは以下のような投稿がありました。:

(Source: Instagram screenshot taken on Tue Jan 25 16:11:02 2022 UTC)

筋の悪い計算

このミームで使用されている計算は、不正確です。記載されている880,976人のCOVID-19による死亡は、2022年1月25日時点では誇張されていますが、作業するには十分近い数字です。その半分の440,448人を即座に除外するのは、何の根拠もありません。COVID-19による死亡として記載されるには、ウイルスが直接の死因である必要があり、彼らはCOVID-19「で」死亡したのです。CDCの国立保健統計センター(NCHS)の広報担当者は、2022年1月25日付のリードストーリーズへの電子メールで、こう説明しました。:

死亡診断書にCOVID-19と共に併存疾患が報告されている場合、その併存疾患は通常、COVID-19との合併症、例えば急性呼吸不全、肺炎、あるいは重度のCOVIDの危険因子であることが知られている一般疾患、例えば糖尿病、COPD、高血圧のいずれかです。死亡診断書は、因果関係のある経路、即ち死亡に至る一連の出来事を引き出すように作成されています。そのため、一般的にはどの死亡診断書にも複数の病態が報告されるはずです。併存疾患の数は、COVID-19による死亡とカウントされるべきかどうかとは無関係です。死亡診断書のデータによると、COVID-19による死亡の91%において、COVID-19が根本原因あるいは主原因であり、即ち、死に至る一連の事象を引き起こしたことが示されています。9%のケースでは、COVID-19は死に寄与する要因であったが、出来事の連鎖には含まれませんでした。

https://leadstories.com/hoax-alert/2022/01/fact-check-covid-toll-is-not-just-28k-a-year-no-basis-for-bad-math-in-claim.html

COVID-19による死亡としてカウントされるには、医師または認定法医学病理医が、死の直接的な原因を特定し、その主な原因がCOVID-19であったかどうかを判断する必要があります。2020年8月31日のリードストーリーズの記事では、COVID-19「から」死亡した場合とCOVID-19「で」死亡した場合の違いについて解説しています。

「併存疾患」と「死因」は同じではない

「併存疾患」のデータは、パンデミックの初期から収集されています。これは科学的な用語で、患者の中に2つの慢性疾患や状態が同時に存在することを意味し、2つ以上の死因があるわけではありません。死亡診断書に署名する医療専門家は、直接の死因を決定しますが、多くの場合、患者が死亡時に患っていた他の疾患も記載します。それが併存疾患です。
フロリダ州第19地区検死官のPatricia A. Aronica博士は、「認定法医学病理医は死因を特定する訓練を受けているが、しばしば共存する要因や寄与する要因を指摘します。」と述べています。
ですから、交通事故で死亡した人がCOVID-19を持っていた場合、死亡診断書には事故による負傷が死因として正しく記載されるのです。逆に、COVID-19感染に対する体の反応である肺や臓器の障害で死亡した場合、その人がそれまで糖尿病や心臓病などの病気を持っていたとしても、死亡診断書はCOVID-19が死因であると正しく判断します。Aronica博士は併存疾患について、『彼らはそれが原因で死ぬのではなく、それに併存した疾患で死ぬのです』と言いました。
併存疾患はよくあることです。保健社会福祉省の分析によると、雇用者ベースの保険に加入しているアメリカ人のうち8200万人もの人が既往症を持っており、癌などの命に関わる病気から糖尿病、喘息、心臓病等の慢性疾患に至るまで様々である。また、高齢者でないアメリカ人の約5000万人から1億2900万人(全体の19%から50%)が何らかの既往症を持っているということです。

https://leadstories.com/hoax-alert/2022/01/fact-check-covid-toll-is-not-just-28k-a-year-no-basis-for-bad-math-in-claim.html

もっと筋の悪い計算

COVID-19による死亡者数を既に50%(440,448人)減らしてしまったので、このミームは残りのCOVID-19による死亡者数の更に50%(220,244人)を、老人ホームで発生したという理由で割り引いています。NCHSによれば、この数字は大幅に誇張されています。2022年1月19日までのデータでは、老人ホームでのCOVID-19関連の死亡は約127,00件報告されていました(表2参照)。本当の数字は、米国のCOVID-19関連死亡者全体の約15%です。

誤った帳簿記載

COVID-19の数字に対する最終的な否定として、このミームは合計から更に165,183人の死亡を削除しています。この数字は、4つ以上の合併症を持つウイルスによる死亡者の75%に相当するとしています。前述しましたように、CDCのCOVID-19の死亡者数は、ウイルスが直接の死因となったケースのみを含んでいます。寄与する因子がいくつあったかは関係ありません。

このような疑わしい削除を全て行った結果、カウントに値すると思われるCOVID死亡者数は55,061人となりました。パンデミックは約2年続いたので、この数字は半分になりました。:

27,530人:老人ホームに入居しておらず、併存疾患が4つ以下の人達のみのCOVID-19が直接の死因な推定年間死亡者数です。

https://leadstories.com/hoax-alert/2022/01/fact-check-covid-toll-is-not-just-28k-a-year-no-basis-for-bad-math-in-claim.html

この数字は、パンデミックの影響を軽視しており、高齢者やウイルスで死亡する可能性を高めるような健康状態にあった人々の死を最小限に留めています。このミームを投稿した人物は、このように語っています。:

単純な計算です。これらの誇張された数字でさえ、年間2万8千人の死は、我々が社会と人々の生活を犠牲にするに値するのだろうか?正気の沙汰とは思えない...。

https://leadstories.com/hoax-alert/2022/01/fact-check-covid-toll-is-not-just-28k-a-year-no-basis-for-bad-math-in-claim.html

COVID-19の死者数を過大評価しているとの指摘とは対照的に、CDCはその数字が過小評価されていると考えていますCOVID-19 死亡率概要によりますと、CDCは2022年1月8日までのウイルスによる過剰死亡を968,036人と推定しています。

「過剰死亡」とは、通常、特定の期間に観測された死亡数と、同じ期間に予想される死亡数との差と定義されます。

https://leadstories.com/hoax-alert/2022/01/fact-check-covid-toll-is-not-just-28k-a-year-no-basis-for-bad-math-in-claim.html

この超過死亡数が正しければ、公式集計よりも更に109,000人近くがCOVID-19によって命を落としている可能性があります。

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