【Luc Montagnier博士が言ったことにしやがって許さんぞ】

まず最初に謝らなければいけません。Luc Montagnierは9年ぐらい前から時々おかしなことを言うようになったので、『またかよ』と反応してしまったのですけど、今回は『一言も言っていないことを反ワクチンの馬鹿が言ったことにしやがった』というのが真相みたいです。Lucおじいちゃんごめんなさいm(_ _)m。

上記Reuterのファクトチェックの和訳をします。

ファクトチェックする主張の内容と真偽判定結果を先に書いておきますと、

<主張の内容> Luc Montagnier博士により、COVID-19ワクチンが抗体依存の強化を引き起こすことで人々を殺すことを示唆する証拠が出された。

<真偽判定>デマです。現在までに集まった証拠ではむしろその反対の傾向を示しています(ここには書いてありませんが、そもそもLuc Montagnier博士は一言も言っていない)。

ノーベル賞受賞者が、COVID-19の投与を受けた後に抗体依存性亢進症で死亡するという根拠のない発言をしていることが広く拡散されているようですが、この主張を裏付ける証拠はなく、ロイターはノーベル賞受賞者がこのコメントをした例を見つけることは出来ませんでした。

スクリーンショットされ、ソーシャルメディアで共有されている投稿によると、フランスのウイルス学者Luc Montagnier氏が、「いかなる形のワクチンを受けた人にも生存の可能性がないことを確認した」と言ったと主張しています。(こちらこちらこちら

*前2つの投稿はfacebookに削除されたのかと思いますが、ログイン画面が出ます。

そして、Lucの言葉を引用しているとして「ワクチンを接種した人たちには希望もなく、治療の可能性もありません。死体を焼却する準備をしなければならない」と主張し、更に、以下のように追加して呟いています。
「この天才科学者は、ワクチンの成分を詳細に検討した後、他の高名なウイルス学者の主張を支持しました。皆、抗体依存の強化によって死ぬと思います。それ以上は何も言えません。」

モンタニエは、HIVウイルスを特定した功績により、同じく科学者のフランソワーズ・バール=シヌッシとともに2008年にノーベル医学賞を受賞しました(こちら)。最近では、HIVと免疫系に関する発言や、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2が実験室から流出したという主張などで批判を受けていますbit.ly/3bUQZnT)。これらのコメントは本チェックの対象外です。

*またおかしなことを言っているのかと僕が先入観を持ったのはこういう理由です。

ロイターは、モンタニエ氏がソーシャルメディアの投稿に引用されているコメントを行ったという証拠を見つけることが出来ませんでした。モンタニエ氏のウィキペディアのページや、モンタニエ氏がバリアントやワクチンについて語ったビデオインタビュー(こちら)など、投稿に含まれるリンクにも証拠となるものはありませんでした。

2分間のインタビュー映像で、モンタニエ氏はCOVID-19ワクチンは抗体依存性増強(ADE)を引き起こす、つまり以前よりも病気が悪化すると主張しています。モンタニエ氏は、「ワクチン接種の曲線の後に死亡の曲線が続く」ことを観察すれば、これは明らかだと言っています。

しかし、これは正確ではありません。COVID-19ワクチンを開発した科学者たちが当初考えていた懸念はADEでしたが(こちら)、臨床試験や展開中に症例が発生した形跡はありませんでした(こちらこちらこちら)。

更に、COVID-19ワクチンは何千人もの命を救うことがわかっています。イギリスだけでも、このワクチンによって2021年3月末までに1万人以上の死亡が回避されたと推定されています(こちら)。また、世界で最も早いワクチン接種キャンペーンを展開しているイスラエルでも、同様の結果が出ています(こちら)。

Meedan Health Deskの医療専門家は、Montagnier氏の主張を受けて、「ワクチンを接種した人々は、重篤なCOVID-19の症例や入院から圧倒的に保護されている」と述べました。「もしADEが発生していたならば、急性で非常に深刻な状態であり、医療上の重大な警告を引き起こしますから、このようなことは起こらないでしょう。」

【判定】
デマです。ロイターは、Montagnierの説を引用したと主張している例を見つけることが出来ませんでした。ADEに関する彼の実際のコメントは不正確で、実際の証拠を反映していません。

この記事はロイターのファクトチェックチームが作成しました。ファクトチェックの詳細についてはこちらをご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?