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扇を買うなら美しい男の娘から?!トーハクで女装っ子を探してきたよ!10月号

トーハク定期男の娘ウォッチ報告10月号です。

浮世絵コーナーは最近、女装少な目でしたが、今回の「描かれた扇」(9/27-10/23)は、特盛でした。

作者不詳です

一番良かったのが「舞妓図(伝右近源左衛門)」。初期の野郎歌舞伎の女方の右近源左衛門と伝わるけど確証は無いそうです。それくらい女と見分けがつきません。かわいい。


街の扇売りは売り子次第

扇がテーマだと、なぜ女装多めになるのか?
どうやら扇売りは、下の絵のように、美しい男の娘(若衆かな?)が街を練り歩いて売る販売スタイルだったみたいです。

めっちゃ細長い。どこに飾るためのもの?

北尾政演「扇地紙売」。北尾って誰?と思ったら山東京伝の絵描きとしての名前でした。マルチタレントだわな。

江戸で美女と言えば女装!


前回(男装の吉原遊廓の芸者)に続いて喜多川歌麿の「青楼仁和嘉女芸者之部」シリーズ。
働く美しい女性のグラビア集みたいな感じですが、上の絵の右下と下の絵の左下が扇売りでいずれも男の娘です。上の左下の三味線ひきも男の娘ですね。江戸の美少女に女装が占める割合高すぎでないですか?

歌舞伎の必須アイテム扇

扇で舞ったり差したりは歌舞伎の定番なので、女方と扇の浮世絵がたくさんありました。

伝説の女装アイドル岩井半四郎ちゃんが扇で舞う姿。


こちらは初代中村里好ちゃんが扇のデザインになりました!っていうファングッズ的なもの?里好って知らなかったけどきれいな娘だなぁ。
歌舞伎ものはほかにもたくさんありました。

四代目岩井半四郎の団扇太鼓持ち女


二代目山下金作の白拍子


初代中村富十郎 慶子(車争ひ)
団扇絵六歌仙

シチュエーションがいまいち理解できないのがこの勝川春章「扇持ち二本さし女」。

実際にいたら同心たちにタイーホされそう

首下女装ならぬ、首上女装?顔は花魁、首下は武士っていうフィクションなのでしょうか? 現実の江戸では刀差しての女装はダメっぽいよね。
【追記】後日行った展覧会「装いの力 異性装の日本史」(渋谷区立松濤美術館)で、江戸時代は社会的地位が高く、問題行動を起こさない女装は認められていた(男装は禁止)と近年の研究で明らかになったとの説明があった。つまり、これは実在した江戸女装ってことなのね!へぇ!
追記終わり

歌川豊国「永寿堂店先」

こっちは、リアルな感じ。たぶん女方の歌舞伎役者がちゃんとした店構えの扇屋さんで扇を買いに来たシーン。周りの女子たちがザワザワしてるので人気俳優なのでしょう。

下の方にいる犬がすごく可愛かった

キレキレの90歳の北斎

浮世絵コーナーの一枚だけ飾られるベストポジションは、ずっとなぜか懐月堂系が占めてましたが、今回は修復後初の披露とのことで、葛飾北斎の「扇面散図」でした。


真っ黒、真っ白、真っ赤の扇の凹凸を色の濃淡で描き分けてます。90歳のときの作品だとか、超人!

日中異性装対決?!

今回は浮世絵コーナーだけでなく、国宝級異性装が別の部屋にいました。中国・元の朝廷に男装して仕えた女性の絵です。

原本は、東山御物で国宝の伝銭選筆「宮女図」(元時代13世紀)で、こちらは左右反対になってますが明治6年の模写。「創立150年記念特集 東京国立博物館の模写・模造ー草創期の展示と研究ー」というコーナーにあります。浮世絵コーナーのすぐ隣の部屋ですよ。
また、浮世絵コーナーが展示替えになったら報告します。でも、その前に東博の国宝展には行きます。混んでるだろうなぁ。



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