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「女性保護法」の制定を求めるロビイング資料を公開します。


はじめに

2023年4月18日、片山さつき議員に対してロビイングを実施しました。このロビイングでは、特例法改正議論の中で、生物学的性別から性別の定義が離れていくことに関する懸念と、女性に限定した「女性保護法」の制定の必要性について詳細に説明しました。
以下に、その日のプレゼンテーション用スライドと付属資料を記載しています。これらの資料は、今後他の議員の方々にも同様の説明を行う際に使用する予定です。
資料については、その意図に対するご配慮を前提として必要に応じて自由にご使用いただけますが、ご使用に際し、内容の変更は固くお断りさせていただきます。当会で把握しない内容への改変について、当会では責任を負いません。ご不明点や追加の情報が必要な場合は、お気軽にお問い合わせください。

01 現在の懸念と生物学的女性の権利保護に関する提言現在の議論への懸念と必要と考える取組


02現在の懸念と提言の背景-1

特例法改正議論の中で、「女性の定義」が生物学的基準から揺らぐこととそれに伴う影響を懸念している。
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」法案はこれまでの女性保護領域を実質無効化し、全ての男性を女性として公認する入り口となる危険な法案だと考えている。
「全ての 女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」に「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」により提言された「女性スペースに関する法律案」 「女子スポーツに関する法律案」に対して強い危機感を持っている。
具体的には、仮にこの法律案が制定された場合、特例法が定めた妥当範囲及び効力は法令上の性別の取扱変更に限定しているが、この限定が無効化する。

また、特例法の要件は違憲であるとして緩和・撤廃されている流れがある中で、女性の定義及び女性専用施設利用権を「陰茎を残していない者」に限る要件も特例法要件と同様に違憲と判断される可能性が高く、陰茎を残す男性へすら妥当範囲を広げることが考えられる。

以上から、女性専用施設・区画およびスポーツにおいて女性の安全を脅かすだけでなく、生物学的女性そのものの権利や尊厳が損なわれる範囲が広がることを危惧している。

02現在の懸念と提言の背景-2

特例法と連絡会法案を比較した表である。
1.連絡会法案は、陰茎を残していない男性を女性と定義しますが、これは特例法の定義と矛盾している。
2.また、連絡会法案は、特例法によって女性と認定された人々についても、女性専用の風呂やトイレの使用を前提として進めているが、これは特例法の範囲を超えている。
このことを特例法の限定の無効化として表現した。

02現在の懸念と提言の背景-3


連絡会法案の内容について、特に次の3点が問題だと考えている。
1特例法より踏み込み、女性の定義に男性を組み込んでいること
特例法はあくまで戸籍上の性別を「変更みなし」するものであり、全ての場面での性別の取り扱いを定めるものではない。また、法律に別段の定めを設けることにより、性別の「変更みなし」を除外する場面を設けることができるにも関わらず、連絡会法案では、女性の定義に男性を組み込んでおり、法体系に深刻な影響を与えうる。
2 男女の区分を陰茎の有無としていること

女性専用施設における女性の定義を「戸籍変更した男性のうち陰茎を残していない者」と定めている。
陰茎がなくとも身体差において性加害は可能であり、また、男性が女性専用の脱衣や排泄の場にいること自体が女性への尊厳を毀損していると考える。
更に、現実に陰茎を残していないことを誰が確認するのかを含め実運用は困難である。
また、この要件そのものが違憲であると判断され、要件撤発につながり、結果として陰茎を残す男性にも利用の道を与えうる。

3 民間施設では管理者の判断で「全ての男性に女性スペース利用許可できる」と明示していること
連絡会法案については、
2項「特定人のトイレ利用につき、管理者が女性の意見を聴取すれば、掲示の上許可できる」
3項「公営以外の施設では管理者が掲示を行えば、2項の規定を排除(=全ての男性に利用許可) できる」とし、現在でも社会通念上懸念されている事案にお墨付きを与えることにつながる。

03必要と考える取組

性別の定義は、特例法や最高裁判決が存在していても、第一義的に生まれつきの、全身体・生物学的性別(SEX)ということに変わりはない。
このことから、以下の女性の安全と尊厳を保護するための取組が必要である。
1女性と男性の全身体的生物学的差異に基づく区別
2女性の身体の安全と尊厳の保護、性的侵犯及び性的身体的プライバシー侵害の予防
3生物学的性別によって生じる女性差別の解消

04 提言

当会は、生物学的女性の権利と尊厳を保護するために、女性保護法の制定が必要であると考えている。
特例法による性別取扱いの変更が限定的であることを踏まえ、女性保護法によって、性別の生物学的定義に基づく区分を明確にする必要がある。
特例法は、性別取扱いの変更が「民法その他の法令の適用について、他の性別に変わったものとみなす」と定めていますが、この変更はすべての場面で男性を女性として扱うことを予定したものではない。
加えて、特例法が「法律に別段の定めがある場合を除く」と条件を設けているため、特定の状況で生物学的性別に基づく区分が必要な場合には、生物学的女性の保護に限定した目的の法律を制定することが可能と考える。

生物学的性別に基づいた女性保護法の制定によって、生物学的女性の安全と尊厳が確実に保護されることとともに、社会全体の公平性が保たれることを提言する。

05まとめ

-1特例法改正議論への懸念
特例法改正の議論の際に、女性の定義が生物学的基準から逸脱することを懸念する。
-2連絡会法案への問題提起
特に連絡会が提案する法案は全ての男性に女性としての公認を与える潜在的な入り口となる。
-3 必要と考える取組
生物学的性別の基準に基づき、女性を守る取組が必要である。
-4 女性の安全と尊厳を守るための提言
当会は特例法を廃止するべきと主張する立場にあるが、特例法が存在する現状でも、別立てで女性の安全と尊厳を守る法案を制定することが可能である。

(参考資料)

付属資料1
『【解説】 性同一性障害者 性別取扱特例法』監修 参議院議員 南野知惠子日本加除出版(2004年)
性同一性障害者性別取扱特例法逐条解說 1法律制定の背景と理由
p81 (趣旨) 第一条この法律は、性同一性障害者に関する法令上の性別の取扱いの特例について定めるものとする。
1本条の趣旨
本法律が性同一性障害者に関する法令上の性別の取扱いの変更を認める特例について定めることを明らかにするものである。 なお、本法律が妥当する範囲及びその効力は、性別にかかわる法令を適使用する関係で、性同一性障害者の法令上の性別の取扱いを変更することにとどまるものであり、それ以外のところでのその性別の取扱いについてまで必ずしも定めるものではなく、ましてやその生物学的な性別まで変更するものではない。


付属資料2
平成十五年法律第百十一号
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律 
第四条 性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定の適用については、法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変わったものとみなす。
2 前項の規定は、法律に別段の定めがある場合を除き、性別の取扱いの変更の審判前に生じた身分関係及び権利義務に影響を及ぼすものではない。


付属資料3
当会【公衆浴場および商業施設の女性専用エリア利用に関するアンケート集計結果】
https://note.com/joteikai/n/n92ca79c6f6dd

スライドの画像ダウンロードは以下より:https://d.kuku.lu/ntaybmtbp


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