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臨床推論 Case23

Clin Med(Lond). 2021 Jul;21(4):e420-e422.
PMID: 35192490

【症例】
56歳 男性

【既往】
うつ病、高血圧、脂質異常症

【経過】
⚫︎ 2週間前に転落し、背部痛が続くため受診された
⚫︎ 神経学的異常なし
⚫︎ 画像でTh7椎体圧迫骨折を認めた
⚫︎ CTでメタがないか調べたが認めず
⚫︎ ホルモン検査を施行したところ重度の精巣機能低下症を認めた

⚫︎ 骨密度も低下していた

⚫︎ 問診で数年前から性欲低下、勃起不全の訴えあり
⚫︎ 性活動にも影響し、鬱にも繋がっていた
⚫︎ 10年以上前に結婚していたが子供ができなかった
⚫︎ 活力がわかず、集中力がなく加齢の影響と考えていた
⚫︎ また学校の学習についていけず11歳でドロップアウトしている
⚫︎ 思春期の開始、変化を思いだせない
⚫︎ 精巣の外傷、放射線、ケモなどはない

⚫︎ 体格は宦官様体型(腕の長さが身長より5cm以上長い)
*宦官:宮廷や貴族に仕えた去勢された男子のこと

⚫︎ 中心性肥満と女性化乳房あり
⚫︎ 精巣は3mL以下と萎縮している
⚫︎ 髭、脇毛、陰毛なし

⚫︎ 末梢血リンパ球を用いた核型検査で47XXY/46XYがみられた

What’s your diagnosis?









【診断】
クラインフェルター症候群 KS

【経過】
⚫︎ この患者は一般的な47XXYではなくモザイク性KSと診断された
⚫︎ 不妊治療は希望されなかったがテストステロン筋注を希望され、3ヶ月間隔で注射した
⚫︎ 疲労感と性的な症状が著しく改善した
⚫︎ またうつ病も改善し抗うつ薬を中止することができた
⚫︎ またテストステロンとアレンドロン酸で劇的に改善した

【考察】
⚫︎ KSは原発性性線機能低下症、骨粗鬆症、精神疾患、認知障害、代謝異常、自己免疫疾患などを伴うと言われている
⚫︎ 日本人の1/500 約62000人とされている
⚫︎ 椎体骨折を合併した骨粗鬆症の半数以上は2次性が原因であり、20%以上は性腺機能低下症である

⚫︎ KS87例において5人に一人椎体骨折が認められた
  骨折リスクとして診断の遅れで、診断時の年齢が高いことが関連していた
  また骨折りスク評価ツールであるFRAXではスコアに差がなかった

⚫︎ 本例のようなモザイク型はKSの10%をしめ、軽症とされている
・テストステロン値が比較的高い
・精巣容積が大きい
・モザイク型は高齢になって診断されることが多い


⚫︎以下クラインフェルターのレビュー(Endoc Rev.2018 Aug 1;39(4):389-423.)
・症状

・平均診断年齢は27歳

・色々な合併症がおきてくる

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