第2話 ○○の過去
○父:話すよ。○○が・・・二人を受け入れない理由を。
美月:うん。
○父:理由は僕の元妻、即ち、○○の実の母親にある。
美月:○○君の・・・
○父:彼女は、優しい人だった。○○が、小学校に入るまでは・・・
美月:え?
○父:○○の母親は専業主婦でね。家の事や○○の事は、彼女に任せっきりになっていたんだ。でも彼女は、それに文句は言わなかった。だから僕も、彼女に甘えてしまった。
美月:・・・
○父:○○は、いつもベッタリでね。○○が保育園に行くときも苦労したよ。離れようとしなくて、よく保育園で泣いていたらしい。
美月:大好きだったんだ。お母さんの事が。
○父:ああ。でも、家族が壊れるまでに、そう時間は掛からなかった。当時働いていた会社をリストラされたんだ。
美月:リストラ・・・
○父:それが原因で、僕達の間では喧嘩が増えていった。○○の前であろうとお構いなく。○○は怯えていたはずだ。普段、まったく怒らない母親が怒っていたんだからな。僕は新しい職場を探した。新しい職場を見つけられれば、喧嘩も無くなるはずと思って。でも、彼女との喧嘩が無くなることは無く、次第に僕達家族は壊れていった。妻は、大きく変わってしまった。僕の所為で。
美月:でも、お父さんは悪くないんじゃ?
○父:妻を変えたのは僕だ。
美月:リストラが原因だったんでしょ?だったら、どうすることも出来ないよ。
○父:違う。そうじゃないんだ。
美月:どういうこと?
○父:ここまでの話を聞いて、どう思った?
美月:え?
○父:○○が二人を受け入れない理由、分かったかい?
美月:そういえば、いまいちピンと来ないけど。
○父:妻は・・・○○に当たるようになった。怒りを、○○にぶつけたんだ。
美月:そ、それって・・・
○父:そう。虐待だよ。
美月:そんな・・・
○父:・・・僕は、気付いてやれなかったんだ。○○が虐待されている事に。そして、妻は○○に「あんたなんか、産まなきゃ良かった。」そう言った。
美母:・・・
美月:・・・
○父:そして、○○が小学二年生になった時、僕達は離婚。妻は、別の男と共に出て行った。それ以来○○は、大の女嫌いになってしまった。女は皆・・・自分を裏切る、そう思うようになっていったんだ。
美月:そんな事が・・・
○父:うん。年月が経つにつれて、女嫌いもマシになっている。そう思った。だから思い切って、再婚する事を決めたんだ。でも、全然そんな事は無かった。
美月:・・・
○父:すまない!僕の所為で、二人に迷惑を掛けてしまって。
美月:頭を上げてよ。お父さんは悪くない!
○父:・・・ありがとう。美月ちゃん。
美月:ううん。
夜
美月:はぁ~。ん?
?:・・・て・・・てよ・・・さん・・・めてよ・・・
美月:?○○君?
コンコン🚪ガチャ
私が寝ようと部屋に向かっていた時、○○君の部屋から魘されてるような声が聞こえてきた。申し訳ないと思いつつも、私はそっとドアを開けた。
美月:○○君?入るよ?
○○:・・・お母さん・・・やめてよ・・・お父さん・・・助けて・・・
美月:・・・
○○:ごめんなさい・・・ごめんなさい😢
美月:・・・ギュッ✋大丈夫だよ。ナデナデ👋
○○:😢・・・んっ。ん~~・・・お父、さん?
美月:・・・大丈夫?
○○:・・・!?な、なんで此処に!
美月:ごめんね。なんか、魘されてたから。気になっちゃって。
○○:・・・いけ・・・
美月:○○君?
○○:出ていけ!女のあんたが近付くな!俺に・・・俺に触るな!
美月:っ!
○○:早く!出ていけよ!
美月:・・・ごめんね。おやすみなさい。
○○:ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。ゴクッ
🚪ガチャ
美月:・・・さっきのあの寝言、虐待されてた時の・・・辛いよね。大好きだった人に裏切られるの。私には分かんないな。はぁ~。
○○side
○○:・・・また、見ちまったな。あの時の夢。・・・ギリリリ✊・・・あの女の手、暖かかったな。・・・あの二人は、アイツとは違うのか・・・いいや。ああいう奴が一番危ないんだ。どうせ裏切る。女なんてそんなもんだ。騙されるもんか。俺は決めたんだ。女なんて信じない。全員、滅べば良い。
翌日・美月side
美月:おはよう。
○父と美母:おはよう。
美月:・・・○○君は?
○父:・・・学校を休むそうだ。
美月:そっか・・・
○父:どうしたんだ?
美月:昨日聞いちゃったんです。○○君が魘されてるの。
二人:・・・
美月:多分、虐待されてた時の夢だと思う。
○父:そっか。それで、どうしたんだ?
美月:とりあえず、手を握って頭を撫でたら、落ち着きました。
○父:ありがとね、美月ちゃん。
美月:ううん。
○○side
○○:・・・スッ
🚪ガチャ
美月:あ、○○君・・・
○○:・・・🚶
美月:・・・学校、休むんじゃなかったの?
○○:アンタには関係ない。
美月:ごめん。
○父:○○。学校休むんなら家に居ろ。
○○:うっせぇな。なんで?
○父:おかしいだろ。高校生が真っ昼間にそこら辺を歩いていたら。
○○:黙れ!俺が何をしようが、俺の勝手だろ!いちいち指図するな!
○父:おい○○!
🚪ガチャ バタンッ
○○:・・・クソがっ!
?:○○?
○○:?啓太か。
啓太:お前、なんで私服?
○○:・・・学校休む。
啓太:何かあったのか?
○○:・・・久しぶりに、見たんだ。あの時の夢。
啓太:・・・そうか。
○○:じゃあ。
啓太:○○。
○○:何?
啓太:夕方、カラオケ行こうぜ。
○○:・・・分かった。
啓太:いつもの所で待ってるぜ。
○○:ああ。
夕方
啓太:○○!
○○:ああ。
啓太:パーッと行こうぜ!
○○:居酒屋みたいなノリだな。
啓太:イヒヒ😁行くぞ!
俺達は歌いまくった。三時間みっちり。
啓太:うへぇー。喉ガラガラだ。
○○:ははっ。歌いまくったもんな。
啓太:帰るか。あれなら、泊まってくか?
○○:良いのか?
啓太:まあ、一人暮らしだしな。
○○:じゃあ、泊まる。
啓太:決まり!家には連絡しとけよ。
○○:誰がするかよ・・・
啓太:しとけ。良いな?
○○:・・・📱ピッ
Prrrrrrr
美母(電):はい。山下です。
○○:・・・
美母(電):?もしもし?
○○:・・・
美母(電):○○君?
○○:今日泊まる。友達の家に・・・じゃ。
美母(電):あ、待って。その友達の親御さんに変わって?
○○:親は居ない。一人暮らし。
美母(電):そう。じゃあ、そのお友達に・・・
📱ピッ
○○:・・・
啓太:・・・はぁ~。貸せ。
○○:あ、おい!返せよ!
啓太:ちゃんと言わないと駄目だろ?📱ピッ
📱Prrrrrrr
○○:ちっ。
美母(電):もしもし。
啓太:あ、始めまして。○○のお母さんですか?
美母(電):そうですけど。
啓太:俺、○○の幼馴染みの啓太って言います。今日、○○は俺の家に泊まるので。
美母(電):そうなんだ。えっと・・・息子を宜しくお願いします。
啓太:はい。お任せください。
📱ピッ
啓太:ほい。
○○:ちっ。勝手なことすんなよ。
啓太:良い人っぽかったけど。
○○:そういう奴が一番危ないんだよ。
啓太:考えすぎだと思うけどな。
○○:俺は決めたんだ。女なんて信じない。
啓太:・・・
山下宅
○父:泊まる?
美母:ええ。啓太君の家に泊まるって。
○父:まったく。他人に迷惑を掛けるなんて。まあでも、啓太君なら安心だな。
美月:・・・(心:○○君・・・)
To be continued……
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