ミニオプション取引開始のオプション戦略への影響(2023/06/04記)

ミニオプション取引が新しくスタートした。すべての証券会社が取り扱ってはいないようだが、時間の問題で、そのうち多くの証券会社で取引できるようになるだろう。

これまでのオプション取引は倍率1000倍だった。これがミニオプション取引では100倍となり、証拠金、手数料は通常のオプション取引に対してミニオプション取引はすべて10分の1。証券会社によっては違っているかもしれないが、少なくとも自分のメインで取引している証券会社はそうだ。ミニオプション取引が始まるという話を聞いたのは数か月前。その時点では、それ程興味を持たなかった。初心者の頃であったら、大喜びしていただろう。しかし、今では、ある程度の戦略を確立しており、ミニオプション取引の必要性は感じなかった。「何を今更」「余計なものができて・・」みたいな思いもあった。

先週取引をしながら、ふと思いついたことがあった。それを説明するが、その前に従来の戦略を改めて説明したい。

現在の基本となるオプションの新規建てポジションはすでに紹介しているが、内側プット買い1枚、外側プット売り2枚、コストゼロだ。
例えば現在日経平均先物が31800円程度(いつのまに、こんなに上昇してしまった!)だが、7月限の29000円のプット買い1枚2800円のプット売り2枚が若干の受け取りが発生して新規ポジションを建てることができる。この組み合わせは、SQを迎えたときに、SQ値29000円~27000円で利益となり最大利益100万円。SQ値27000円以下では損失が発生してSQ値26000円でマイナス100万円、SQ値25000円でマイナス200万円とどんどん損失が膨らむ。このポジションの問題点としてひとつには29000円以下というのは現在の日経平均株価に対して随分下で、現実的にそこまで下落する可能性は小さいように思えること。もうひとつはSQ値27000以下では大きな損失となること。一見、真逆の問題である。しかし、日経平均株価が予想できないという前提に立てば、どうしても両面の悩みが生じてしまう。リーマンショックや大震災、コロナ暴落を考えれば、一旦下落に転じた株価はどこまで下落するかわからない、下方向の損失が大きいことを思えば利益ゾーンを上に持っていくことにはリスクを伴う。従って、保守的に見積もってどんなに下落してもここまでは下がらないだろうというところに利益ゾーンを作り、年に1、2回の大きな下落で3桁の利益を狙う。これが今までの戦略だった。

残存期間が少なくなっていけば日経平均株価が大きく下落していなければ利益ゾーンも上がっていく。そうやって新しい新規ポジションを建てながら、下の方で厚い利益ゾーンを置いておけば利益ゾーンが幅でも最大利益でも広がっていくが、本格的な日経平均株価下落に対してはネットでの売り枚数の増加でリスクは増大する。リスクとリターンのバランスが難しいのだ。

この問題をミニオプション取引が改善に大きく役立つことに気が付いた。前記の29000円プット買い1枚28000円プット売り2枚に対して31000円のミニオプション買い2枚29000円のプット売り8枚をコストゼロで建てる。そうすると利益ゾーンは31000円~27500円と随分幅が広がる。SQまでにインザマネーになる確率も大きくなる。リスクとリターンを均すことでどこに利益ゾーンを持っていくかをそんなに深刻に悩むことは必要なくなる。

従って、今後はミニオプション取引をどんどん活用していきたい。

ミニオプションの10枚が通常オプションの1枚と等価なので従来1枚か2枚かで選択しなければならない場面で1枚か1.1枚かという細かい選択もできるようになる。

ミニオプション取引開始は福音以外の何物でもない。



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