日経平均株価急上昇に伴い、オプション価格に起こったこと(2023/05/29)

日経平均株価の上限が続いている。こんなに簡単に上がるものかと思ってしまうほどだ。しかし、逆にいえば、少しづつ少しづつ上昇して皆がなるほどと思うように自然に高値を更新していくなんていうことはないのかもしれない。

先回の記事で日経平均株価の急上昇に伴い起こっていることを書いた。その後さらに上昇が続くことでさらに何が起こっているのか、私の観察したオプション価格の様相について書いてみる。

一番は、ファープットの価格の下方硬直性だ。これは以前にも触れたことがあるが、今回明確に現象として現れた。24750円のプットの価格が高いということは先回の記事で書いた。それは先々週の週末。日経平均株価は30500~31000円だった。先週は、ほぼ日経平均株価がこのレンジで動いていた。日経平均株価がどう動こうとも、24750円のプット価格は7円~10円だ。火曜日水曜日は日経平均株価が下落し、ボラティリティが下落した。それで少し24750円のプット価格は下落した。超不思議なのは火曜日だっただろうか、夜間取引で日経平均先物が100円程度上昇していた。この程度のじわりの上昇だとボラティリティも下がるだろう。実際にプット価格はアットザマネーのプットから前日比で下げていた。ところが、25000円より下のプット価格が1円~2円上昇していた!意味が分からない。

そもそもいかに高いかということを比較で見てみたい。5月限オプションのファープットは22250円のプット売りを複数枚保有していた。これを最終的に処理するのにいくつか方法があるのだが、5月限オプションでは1円になったら1円で決済買いをすることにした。約定履歴を見ると22250円プットを1円で決済したのが4月28日だった。SQのほぼ2週間前。そのときの日経平均株価は28500円~29000円程度だった。SQ2週間前で、アットザマネーの4500円程度下のプット価格が1円だったのだ。しかも1円というのは1円の買いと2円の売りが対抗する形で数日間続くので、もっと前に実質1円だったと言ってもよい。しかし、6月限24750円のプット価格は先週末はSQ2週間前でアットザマネーの5000円以上下であるが先週末の価格は5円だ。ボラティリティは今日は21を超える場面もあったが先週末は18、19くらい。たとえ20を超えたとしてもこのファープットの価格の高騰は説明できないだろう。

実際に板を見てみると。買い手が膨らんで高騰しているのではなく、売り手が手を引っ込めて随分、買値と売値のスプレッドが開いている。これはあらゆる権利行使価格の板がそうであった。通常状態とは明らかに違っていて、もはや適正価格の発見機能が狂ってしまっているというような状態だ。

オプションは価格の並びに妙味があると書いたが、さらに言えばオプション市場は上から下までがひとつの価格のシステムを構築しており、ある権利行使価格の単体で考えることはできない。急激な日経平均株価の上昇でオプション市場全体が風邪をひいたように見える。これは、上昇局面なのでまだ大きなショックにはなっていない。(コールの売買をしている人は大変かもしれない。)これが日経平均株価の急落で起こるととんでもない悲劇になることが予想される。

今後の戦略はこれだけ楽々と数千円上昇したのだから、方向性が変わると簡単に数千円下落する場面もあると予想される。ファープットの価格が高いのは新規ポジションを作るのには都合が良い。証拠金が高いのが気になるが、気を付けて7月限のポジションを遠目に作ることにしよう。

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