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浦賀という、作家について思うこと

浦賀和宏という作家。どんな感動を与えてくれのか?
まずこの2冊を読んだ。感想はこうだ。
(あたしは一般的にいう感想文が描かず、感情を書くのでご容赦を)

購入済みから、まずこの2冊を読み始めたのだが…

【地球平面委員会】
ストレートな言い方だが、駄作だと感じる。あたしだけの感覚だけどね。深くない設定のどうどうめぐりを延々と繰り返し、物語は進まない。変化がなく、同じ場所を巡っているイメージ。最後はあっけなく訪れるが、具体的な犯罪の内容はまったく見せない。推理小説、サスペンスは、犯罪の手法や手管もおもしろいのだが…やりましたとだけ説明される。紙面のほとんどは主人公と対する女性のやりとりで終わる。そこがおもしろいと言えるかどうかは人それぞれだろう。それにしても主人公に魅力がなさすぎだ。作家さんの主人公作りはどのような物なのか。聞いてみたい。

【彼女は存在しない】
出足だけ読み、どうにもおもしろくないのです。主人公らしい香奈子の出足がだらだら続いてテンポが悪いと思う。いつもながらあたしだけの、あくまであたしはですがね。あたしは最初のつかみがないとだめなタイプなようです。ついていけないと感じ断念。浦賀さんの本は内容が深くない気がする。こんなことも、あんなことも、あるのですが、それについても奥深さを感じないと思ってしまったのです。それにしても、この作品は読了者が多い印象ですね。みんな面白かったのかな?

●この作家さんは、
1998年に『記憶の果て』がデビュー作。第5回メフィスト賞を受賞。

この文庫の表紙は好みではない。
だから新書版を買った。

あたしはメフィスト賞作品を集めていた。そしてこの作家を知った。
評価が今一歩というものを除き、メフィスト賞は全て集めたと思う。
メフィスト賞はなんでもありのジャンルだ。
高田大介さんの「図書館の魔女」はあたしの5本の指に入るほど好きだ。
記憶の果てはミステリではなく、ヤングアダルト小説という人もいる。

2022年2月25日。この作家は死んでいる。享年41歳。まだ若い。

記憶の果ての解説では「青春小説、SF、ミステリの要素が混交された…」
とあるが、話のきれが悪く、延々とだらだらと何が言いたいのか、どのように進むのかわからない。読了の評でも、この一冊で終わらないとある。

この作品は俗に言う「安藤直樹」シリーズとなる。
1.『記憶の果て』 THE END OF MEMORY(1998年)
2.『時の鳥籠』 THE ENDLESS RETURNING(1998年)
3.『頭蓋骨の中の楽園』 LOCKED PARADISE(1999年)
4.『とらわれびと』 ASYLUM(1999年)
5.『記号を喰う魔女 』FOOD CHAIN(2000年)
6.『学園祭の悪魔』 ALL IS FULL OF MURDER(2002年)
7.『透明人間』 UBIQUITY(2003年)

読者、読了者の感想の記述でこんなのがあった。
   「年よりは一日でも早く死ね」とか
   「どこで誰がのたれ死のうと知らない」とか…
    これは主人公のキャラ設定であって
    まさか作者の考えそのままではないだろうが
    いやな気持ちにさせられることが多かった。
    この小説は作家自身の自分探しの小説か。

この作家さんを暗い天邪鬼と言った読者もいる。

作中の主人公、安藤のセリフにこんなのがある。
  「だから俺、推理小説って嫌いなんだよ……。
     どいつもこいつも冷静沈着で、犯人は誰が、
     密室のトリックはどうだ、アリバイはどうだ、動機はどうだとか…。
     なあ、さっきまで生きて動いていた人間が、
     今は死んで動かないんだぞ。そういう現実を前にして、
     よくそんなに冷静でいられるな。」

これは作家、浦賀自身の言葉だろう。あたしはそう思う。
作家は作品に自己投影をするという。まさしくそうだろう。

作家が19歳で書かれたこの小説は成人してない、大人になる前のいびつな
心模様なのかもしれない。この記憶の果ては
終着点がないまま続きそうなので処分した。お値段5円。

この記憶の果ての主人公は「安藤」と言う。
作家の分身か?だとしたら、自分がどこに向かているのか、
何を言いたいのか、といったことを後付けするタイプなのだろう。

YMO好き。その結果で電子音楽が好きなのか、電子音楽が先に好きなのかはわからない。著者近影の掲載はさせてもらえない、したがって無い。
     これが、浦賀という作家を表す唯一の記述。

では、この作家のポイントは何か。こんな紹介がある。
作品のテーマとしてタブーとされている物を扱う事が多く、近親相姦もだ。
ことにカニバリズムにはこだわりがある。
自身の作品をパロディ的にとらえた『浦賀和宏殺人事件』において、
「あいつの小説、なんかある度にすぐに人を殺して食うんだよ!」という
台詞がある。また、作中でオタク文化や読者など固定層への痛烈な罵倒等を行うこともあるらしい。

自身の本名に由来する、八木剛・八木剛士といった名前の人物が作品に登場するのも。ナルシストで自分が大好きだ。

浦賀という作家を「仮面をかぶったナルシスト」。と命名した。
あたしが勝手に名付けた。小説家はナルシストが多いと思う。
自己陶酔しないと書けないのはわかる気がする。
さんざん、思いのたけを書いたのに、もういないとは…
こんなブログを書くのも、もしかしたら、あたし自身が浦賀に似ているの
かもしれない。

あたしは、浦賀をもっと知りたくなっている自分に気付いた。

あたしは次作の「時の鳥籠(上下)」を購入済みだ。もちろん未読だ。
やはり、いつか、記憶の果てにチャレンジしてみるしかないと思う。

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