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A330neoとA350の違いとは? 2つの中型機をエアバスが製造する意外な理由。

エアバスは、A330neoとA350という2つの中型機を製造していますが、なぜこのような戦略をとっているのでしょうか?この記事では、B797やB787などの競合機種との関係を踏まえて、エアバスの中型機の特徴とメリットについて解説します。

まず、A330neoとA350の違いについて簡単に説明しましょう。A330neoは、A330の改良型で、より燃費効率の高いエンジンや新しい翼端装置(ウィングレット)を採用しています。A350は、カーボンファイバーを多用した新型機で、A330neoよりもさらに燃費効率が高く、長距離路線に適しています。両機種ともに、座席数は250~300席程度で、中型機の範疇に入る,ワイドボディ(胴体が広い)の双発機で、乗客数や航続距離によって複数のバリエーションがあります。

フルカーボンとなったA350は高価で,機体デザインはA330の使いまわしである,A330neoの方が安いとは言われています。

例えば、A330-800neoは、乗客数約250人で航続距離約13,000kmという性能を持ちます。これは、東京からロンドンまで直行できる程度です。このような路線では、小さくても十分な座席数と高い燃費効率が求められます。一方、A350-1000は、乗客数約370人で航続距離約16,000kmという性能を持ちます。これは、東京からニューヨークまで直行できる程度です。

では、なぜエアバスは2種類の中型機を製造しているのでしょうか?その理由は、市場のニーズに応えるためです。中型機の市場は、大きく分けて2つのセグメントに分かれています。一つは、中距離路線を運航する航空会社が求める、低コストで高頻度の運航が可能な機種です。もう一つは、長距離路線を運航する航空会社が求める、高効率で快適な旅客サービスが提供できる機種です。

エアバスは、これら2つのセグメントに対して、それぞれA330neoとA350を提案しています。A330neoは、中距離路線に最適化された機種で、低コストで高頻度の運航が可能です。A350は、長距離路線に最適化された機種で、高効率で快適な旅客サービスが提供できます。両機種ともに、共通のコックピットや部品を持っており、メンテナンスや乗務員の訓練などの運用コストも低く抑えられます。

エアバスのこの戦略は、ボーイングとの競争においても有利です。ボーイングは、現在B787という中型機を製造していますが、これはA350と直接競合する機種です。B787もカーボンファイバーを多用した新型機で、高効率で快適な旅客サービスが提供できます。しかし、B787はA350よりも小型であり、座席数は200~250席程度です。そのため、B787は長距離路線ではA350よりも収益性が低くなります。

また、ボーイングはB797という新しい中型機を開発する計画もありますが、これはA330neoと直接競合する機種です。B797は、中距離路線に最適化されたB737MAXとB787の間を埋める,真のB767の後継機としてA320-XLRへの対抗やB757の後継需要をターゲットにローンチされました。(実質計画撤回)

ボーイングさんの会社体質が原因となり,事故が起こりまくったB737MAXの注文は少しずつ回復しているとはいえ,中型機市場には実はボーイングがB797発表まで,無視してきた需要が実はあったのです。(詳しくは,akamomoさんの上の動画をご覧ください)

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