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 テレビ番組で、猿を怒らせるという企画があった。猿を怒らせるタレントは、ガッツ石松とジミー大西である。ガッツは、猿に対して、ばーか、ばーか、と言いながら頭の横で指をクルクル回したり、お尻ぺんぺん、と言いながら猿に尻を向けて手で尻を叩いたり、お前の母さん、デベソ、と言いながら自分のデベソを見せたりしていた。ガッツはこうした動作を三十分以上もまじめに繰り返した。猿は、怒るどころか、喜んでいるように見える。遊んでくれていると思っているようにも見えるし、馬鹿にしているようにも見える。ガッツは、やっと、猿に笑われていることに気付き、怒りをおぼえた。てめえ、俺を馬鹿にしてるな。ガッツは、猿に本気で怒っていた。まるで、猿人と原人の喧嘩である。怒りのガッツに、猿も戦闘モードに入る。ここで、ゴング。猿を怒らせたガッツの勝利である。続いて、ジミー大西。ジミーは、猿に、にらめっこを挑んだ。笑わせてどうする。怒らせるんだ。番組の趣旨がわかっていない。ジミーは、大まじめに、笑った顔や悲しい顔、怒った顔などの百面相を続けた。しかし、どの顔も中途半端である。相手の猿は、思春期を迎えたばかりの雌だった。ジミーの顔は、やさしい二枚目に見えたのかもしれない。猿は、怒るどころか、恋に落ちた。フォーリンラブである。ダーリンウォンチューである。真っ赤な顔は、さらに赤くなった。いきなり、猿は、ジミーに真っ赤な尻を向けて、挿入をうながしてきた。ジミーには状況を判断する能力はない。おう、客に尻を向けるとはなんじゃい、と弱気な本性が表れた空威張りをみせた。怒られた猿は、しおらしくなり、ジミーに向かって座った。雌猿は、さりげなく自分の性器を見せていた。さながら、その表情は、照れながらキスを待つ乙女であった。ここで、ゴング。ジミーの負けであった。やっちまえよ、ジミー。日本中から怒声がわき起こった。気の弱いジミーは、おずおずとパンツを脱いだ。(以下、略)

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