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『坊っちゃん』聖地巡礼

夏目漱石の『坊ちゃん』は私の愛読書である。
舞台となった松山、道後温泉にいつか行ってみたいと思っていた。
2月の某日、実現したので思い出が薄れる前に記録しておきたいと思う。

まず松山城へ行った。
ロープウェイかリフトで城山を登る。
城の敷地は広く、天守閣に登ることもできる。高台にあるから天守閣に登らずとも街を一望できる。梅の木がたくさん植えてあるので、咲いたらさぞ綺麗だろうと思う(もしかしたら桜かもしれない。いずれにせよ、春先に花の咲く木だと思う。)

城を見てから松山の街中を歩いた。城下町の風情がしっかり残っている。みかん色の路面電車が走っていた。路面電車のある街はなんとなく好きだ。都会だが、路面電車が走るのを許されるくらいののどかさは残っている。そういう雰囲気が好きなのだと思う。
名古屋の路面電車は渋滞の原因になるとして、昭和49年に全廃されたらしい。

松山界隈は文学の街として、俳句ポストがたくさんある。観光スポットにさりげなく俳句を展示してある。文学好きにはたまらない雰囲気だ。

坂の上の雲ミュージアムも行った。坂の上の雲はちゃんと読んだことはない。坂の上の雲ファンでなくても、明治の歴史、松山の明治期の偉人、文人の展示は面白かった。じっくり見入ってしまった。

そして、このミュージアムの裏手には、漱石が松山で下宿した場所がある。
その場所は「愛松亭」というカフェになっている。カフェには100年の「漱石全集」が置いてあった。そしてその本棚の上にはネコちゃんが丸まっていた(本物のネコちゃん)。店内は小ぢんまりしている。幸い座ってしばらくゆっくり過ごせた。食器も可愛い花柄だった。本を片手にずっと座っていたくなる所だった。

マドンナコーヒー
本棚
ネコちゃん

そして、道後温泉へ。
改修中だったが、温泉に入ることはできた。漱石も入ったであろう本館と、新しく作られた別館とがある。ここまできたら本館に入りたい。空いてそうな昼に行った。時間ごとに人数制限があると言われたが、3時間後の枠に入ることができた。
温泉はアルカリ性、少し熱いかなと思ったが入っているとすぐに慣れた。いつまでも入っていられそうだった。湯船は深さがあり、思わず泳ぎたくなった。坊ちゃんが泳ぐのも無理はないと思った。
無味無臭だが、ちゃんと温泉だった。それは、外に出てからも一向に湯冷めしないことからも明らかだった。

本当は「漱石の間」など見学したかったが、今回は諸事情により諦めた。改装中でもあったし、いつか再訪したい。今度は暖かい時期に来よう。そういえば『坊ちゃん』は春から夏が舞台だったような。

いつまでも眺めていられる。意匠を凝らした建物

道後温泉の駅前には「マッチ箱のような汽車」もあり、坊ちゃんの登場人物が出てくるカラクリ時計もある。コンパクトに見どころがまとまっていて、観光しやすい街だった。

そして何より、漱石が滞在した土地に来て、思いを馳せることができた。ここに住んでいて、ここから空を見上げたのかなあとか、同じ温泉に入って幸せだなあとか、そんなことが嬉しかった。

食べ物は、坊ちゃん団子やら「タルト」、鯛めし、じゃこ天、蛇口から出るみかんジュースを堪能した。

旅行観光は体力がものを言う。実は今回、自分も家族も体調万全とはいえず、諦めた場所がある。だからまた愛媛を訪問したいと思う。

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