ここはとある地方都市にある、小さな会員制スキー場『パウダースノー粉雪』。

「パウダースノーって粉雪の事だよね？」
「自分の持ちアパートに『アパートメントグリーンリバー』なんて付けるオーナーやぞ。今更やん」

ちなみにオーナーは緑川さんと言う。好々爺といった雰囲気のジェントルマン。
ネーミングセンスは安直でも堅実な資産家で、わざわざ会員制にしているのも税金対策の道楽経営だから、なんて噂まである。
実際は会員と言ってもほとんどが僕達のように従業員やその家族だし、地域の小学生が遠足で来る定番地だったりする。
福利厚生の一貫？　保養施設の類い？　古き良き時代の中小企業み？

「しかしまぁ、アレやなぁ」

喫茶グリーンリバーの看板娘レミちゃんは猫目を細めて苦笑した。面白がっているような、本気で鬱陶しいと思っているような、曖昧な笑顔。

「会員制で限られた、ほぼ利害関係にある宿泊客……人里離れた雪山……。うち、今絶対コ◯ン君には会いたくないわぁ」

こちら参加させて頂きました。

たぶんこの後“僕”とレミちゃんは、幼馴染みの女の子と一緒に迷い込んできた長髪で孫みのある少年と仲良くなる。