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システム39と旅した10年 vol.9「業界から見たシステム39」

このnoteについて

このnoteは、ジョイゾーを代表する対面開発サービス「システム39」が2024年6月30日に10周年を迎えることを記念し、スタートした連載企画です。
システム39とジョイゾーが歩んできた10年を振り返りながら、これまでお世話になった皆様への感謝と、これからの10年に向けたヒントを探していきます。
前回のnoteはこちらです!


今回のテーマは「時代を先取りしたサービス システム39から見えてくる10年の変化」

今回はシステム39がリリースされ定着するまでの間に、書籍などに取り上げていただいたご縁から、お話をお聞きし、業界から見たシステム39の過去、現在、未来を考える企画です。

今回は、ネットコマース株式会社の斎藤昌義さんにお話をお聞きしました。2015年にシステム39とジョイゾーについて取り上げていただき、その後「システムインテグレーション再生の戦略 ~いまSIerは何を考え、どう行動すればいいのか?」においてもポストSIビジネスの事例の一つとしてご紹介いただきました。


斎藤昌義さん

ネットコマース株式会社 代表取締役
日本IBMで13年間にわたり営業を経験。電気、電子の大手製造業を担当。現在は独立し、ベンチャー企業や大手企業の新規事業の立ち上げ支援、SIer/ITベンダーの営業力強化支援、ソリューション営業力研修、営業コーチングなどのコンサルティングを手がける。

既存のSIビジネスへのアンチテーゼ-システム39のインパクト 

ジョイゾー:斎藤さん、今回はよろしくお願いします!斎藤さんはシステム39のリリース当初から見守っていただいたと思うのですが、そもそもジョイゾーとはどんなきっかけで出逢われたのでしょうか?
斎藤:実は最初はビジネスの場ではなくて、社長の四宮さんと飲みの場でお会いしたことがきっかけです。
そこで初めてジョイゾーについて知って、そのままのノリでブログで取り上げたところもあったと思います(笑)
ジョイゾー:ノリ、ですか?(笑)
斎藤:そういう勢いは大切です(笑) でも、決してノリだけで決めたわけではないですよ?
当時はkintoneがリリースされて少し経ち、業界でも存在感が出始めたタイミングでした。そのタイミングで、四宮社長とご縁があったことで、システム39を知って、そのビジネスモデルに魅了的なものを感じたからこそ、取り上げさせてもらったというのが正確ですね。

スタートは偶然の出会い

ジョイゾー:当時、どのようなところに魅力を感じられましたか?
斎藤:私が面白いと感じたのは3点ですね。

一つ目は「お客様を育てる」という点です。
ユーザー自身にスキルを身につけてもらい、ITの内製化を促す考え方ですね。ビジネス環境が変化し続ける中で、ユーザーが自分たちの業務に最も精通していることは疑いようがありません。
だからこそ、必要に応じて自ら修正や改善を加えることができるようになることが重要な要素でした。
でも一方でこの動きは人月を基本とする従来のSIのビジネスモデルとは真逆の動きで、煙たがられるところもあったのではないかと思います。だからこそ、その動きを後押しするようなシステム39のビジネスモデルは対照的なものだったと記憶しています。

二つ目は「価格設定」です。
システム39は製品の価格設定において、定額39万円という革新的なアプローチを採用していると感じていました。39万円という価格は、多くの企業において担当者の持つ決裁権の範囲で、購入決定を判断できる金額に設定されているのではないでしょうか。
内製化を進めると行っても、全てを自社内だけで賄えるわけではないので、依頼しやすい価格設定やわかりやすい料金体系はそれだけで有利に働きます。
一度サービスを利用すると依頼までのハードルが下がるため、それだけ企業の選択肢に残りやすくなります。

三つ目は「徹底した中小企業フォーカス」を行なった点です。
リリース初期から中小企業をターゲットとして特化したことで、従来のSIでは掘り起こせていなかった課題にミニマムに対応できるようになったのではないかと思います。
ただそれだけには留まらず、大企業と対峙できるポテンシャルを持っていたことも大きいですね。大企業は突き詰めれば中小企業的な会社機能が集まり、成り立っています。そういった性質があるので、中小企業の課題解決のプロフェッショナルになれば、自ずと大企業にもアプローチできるというわけです。これは明確な強みになったと考えています。

以上のようなユニークなポイントは、同時にそれまでのSIビジネスの手法を否定しているところがあります。
人月など工数をビジネスの基本とする考え方から離れた考え方をしていて、当たり前なものを覆したからこそ面白く、業界としてもインパクトがありました。
インパクトがあるだけでなく、無料相談を行い営業活動とシステム開発を地続きにしたこと、継続的に利用されるような信頼感や愛着を生む仕組みがセットになっているからこそ、今まで続いているのだと思います。
ビジネスモデルの中にマーケティングと営業の仕組みが融合されたものであるため、実現したと言えるのではないでしょうか。

まだリリースされたばかりだったシステム39に注目していただいたブログ

kintoneを取り巻く変化 超高速開発とノーコード

ジョイゾー:システム39について分析していただいてありがとうございます!ここで当時の背景についてもう少しお伺いしたいのですが、システム39のようなアプローチは他の企業や領域では行われていなかったのでしょうか?
斎藤:そういう意味でいえば、ポストSIビジネスとしていくつかの企業を併せて紹介させてもらっています。「納品のない受託開発」で話題になったソニックガーデンさんなどですね。

もう少し大きく捉えて、背景を考えるのであれば、当時のノーコード/ローコードの予兆から考えるといいかもしれません。
ジョイゾー:ノーコードローコードの予兆、ですか。
斎藤:そうです。ノーコードやローコードを活用したシステム開発という潮流は当時から予兆があり、関心が高まっている時期だったことは間違い無いです。
しかし、ノーコードやローコードという言葉は当時まだ存在しておらず、「超高速開発ツール」という言葉が使われていたと思います。
超高速開発ツールは業務の手順や画面のレイアウトを入力すればプログラムやデータベースを自動で生成することができるツールの総称ですね。
ただ当時、kintoneは超高速開発ツールとしては認知されていなかったと思います。

ジョイゾー:少し意外です。内容を考えると近しいものなのかと思うのですが、なぜ同一視されていなかったんですか?
斎藤:私はターゲットが異なっていたためではないかと考えています。そもそもkintoneは中小企業などをターゲットとして、あまりITが得意でない人やITを本業としないユーザーが現場での改善で使うツールとしてデザインされていたと思います。一方で「GeneXus」など超高速開発ツール群はシステム開発する人のためのツールでした。そもそもの思想が違ったわけです。
ただそこから10年が経過して、現在はその境界が交わりつつあると考えています。
ユーザーにとって使いやすいツールと超高速開発という概念がノーコードやローコードという言葉に代表するような流れに統合されてきたことを考えると、システム39の取り組みは時代を先取っていたところがあるかもしれませんね。

システム39の10年とこれからのSI

ジョイゾー:10年経った今、システム開発を取り巻く変化について、斎藤さんのお考えをぜひ教えてください。
斎藤:私はビジネスは生き物だと考えています。絶えず変化するからこそ、そこに対応するシステムも、作ったものをそのまま永遠に使い続けることはできません。だからこそ、変化にいかに迅速に対応できるかがとても重要になってきます。
これまで、発生した課題に対して、ユーザーが情報システム部に相談し、そこからSIerにエスカレーションしていくため、それだけ対応が遅くなっていました。プロセスが積み重なるほど時間がかかることが頭では理解していても、ユーザー自身では作ることができないから依頼するしかありませんでした。
そんなユーザーが自分たちで作り上げたいという思いが湧き上がってくる中で、クラウドやノーコードツール、AIの台頭で技術的なハードルが下がり、現在の内製化のトレンドにつながってきたのだと思います。

10年経ったからこそ言えるのは、システム39はノーコードやローコードのプラットフォームの普及によって浸透した現在のトレンドを先取りしていたということですね。あくまで今思い返すとですが、この10年で時代が追いついてきた、と言えると思います。
その上で言えることは、お客様の納得と満足を大切にすること、そのためにユーザーと一緒になって開発を進めていこうという考え方自体がSIビジネスにとって、これからの10年でより重要になってくると思います。

ジョイゾー:斎藤さん、お話しいただき本当にありがとうございました。最後にシステム39に何かメッセージをお願いします。
斎藤:どうかこれからもお客様に「ありがとう」と言わせ続けるサービスを続けてください。

次の10年を歩むための道標

10年前にリリースされたシステム39は、当時の常識を超えているいわば「尖った」サービスでした。そんなシステム39がなぜインパクトを残し、ここまで継続することができたのか、そんな一端を斎藤さんのお話から感じることができました。

DXや内製化、AIなどユーザーにとっても大きく移り変わる環境の中で、私たちが何をすべきなのか、改めて模索していきます。

今後の「システム39と旅した10年」では更にシステム39と時間を共にしてきた皆さんからお話しをお聞きし、展開して参ります!


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