自転車_59

自転車って良いねっ。地域を楽しむツール。

今日は自転車のツーリズムや、自転車による自然、地域との関わり方を書いていきます。文章は、自転車好きはもちろん、ロードバイク・クロスバイクに乗っている人、地域づくりや観光で自転車というツールを考えている人を意識しています。

サイクリング事業を始めたモニターとして参加して感じた記録です。モニターの主催は、そらうみサイクリングさんです。今季から、宮城県石巻市、女川町、牡鹿半島でのサイクリング事業を立ち上げようとしている団体です。メンバーは自転車店を経営されている方や、ツールド東北を立ち上げた素敵な方たちで構成されています。

これから、観光ツールとしての自転車と、モニターツアーの様子の二部構成で書いていきます。

観光ツールとしての自転車

この面白さは、以下の二つを強く感じました。
1.自転車は地形を感じる最上の乗り物
2.何を見せるか

1.自転車は地形を感じる最上の乗り物

ここでいう、自転車は、自分の力のみを使って漕ぐ自転車を指しています。つまり、電動自転車ではありません。クロスバイクやロードバイクなどのギアを変えていくことで走行出来る自転車です。

自動車はもちろん電動自転車は直接的に体力を使うことはありません。一方で、クロスバイクなどは、ダイナミックな地形の動きに合わせて、「頭で考えて」ギアを設定します。そして、ギアの設定は登り坂に入ったらギアを軽くしていくのではなく、足の回転数があまり落ちないように、目の前に見え始めた地形に合わせてギアを「早め」に連動させて、坂に入る準備を「頭で考えて」します。地形を感じることが強く出来る人は、簡単かもしれません。ただ、普段からそうしたことをあまり意識していない人は、地形を考えて、体験し、実感することにおいて、自転車は有効だと感じます。つまり、観光のツールとして自転車は、

ダイナミックな地形を持つ地域で、その地形から育まれた文化が豊かな場所であり、かつ、ある一定の広がりを繋げていくことで面白い体験が出来る場所には、かなりお勧めだと感じました。

もちろん、電動自転車はある一定の人でも負荷なく乗ることもできますが、体感の感度はクロスバイクなどに劣ると思います。また、広大な土地を風景を見る場合や、都市の移動を円滑に行うための自転車は、電動の方が優れていると感じます。その場所にあった自転車の種類も考えて見ると面白そうです。

2.自転車を通じて何を見せるか

その場所で「自転車に乗った」というのを楽しむことが出来る人は、マラソンイベントのようなレースに参加する方かもしれません。一方で、普通の観光客は「自転車に乗って、〇〇に行って、△△をした。その△△がさ〜」というのが、思い出になります。

つまり、自転車の先のコンテンツをつくることが大事だと感じます。そのため、自転車のツーリズムを考える場合は、二つの進め方があります。

a.自転車文化がない場所においては、地域を楽しむツールとして自転車「も」導入し、移動手段を強化する。
b.自転車文化がある場所においては、地域の楽しみ方を、強化する。

自分で書いていて、なんて当たり前なんだ、と思いつつ、続けて書いていきます。

自転車というツールは、今までは単純な「移動手段」の一つだったと思います。また、地域の楽しみ方そのものが模索されているなかで、自転車がその目的になっている場合もあります。

一方で、参加してきたモニターツアーでは、

自転車というツールを通して、
牡鹿半島の生業を、生み出す海と山の入り組んだ地形を体感しながら、
地形とともに暮らしてきた人の景色をゆっくり体感し、
その生業である「食」を楽しみ、
その文化を担う人との会話を通して、
地域の人の誇らしげな、「普通」の贅沢な景色を味わう
ことを模索しています。

自転車と観光ということを考えると、こうした、地域の特徴を惜しみなく体感することを通じたツーリズムがあると、私は素敵だなと思います。

観光は、観光「地」に「行く」ことよりも、地域の文化に「触れる」ことが、大切なのではないかなと感じます。そして、それは地域の人にとっても忘れ去られている場合は、それ自体が地域の文化を醸成するきっかけになるかもしれません。

また、

自転車が好きな人、サイクルツーリズムが好きな人と、地域文化をよく知っている人は、決して一緒ではない可能性があります。また、サイクリストが、誘導先のコンテンツを生み出し、持続しながら継続をすることも、難しいと思います。
一方で、地域で素敵なコンテンツを持っている人やそれをよく把握している人は、サイクルツーリズムという存在を知らずに、日々過ごしている可能性もあるかもしれません。
地域の点としてのコンテンツを、結んで「線」にし、それを「面」に変えるのは大変だと思います。観光地では点の紹介や、お勧めルートの紹介などもしていますが、それはあくまでも事実の列記にしかなっていない場合が殆どだと思います。

そうした意味で、自転車ツーリズムは、自転車は「点」と「点」をつなぐ「線」や「面」を描ける素敵なツールであり、ガイドがつくことによって、「点と線に感情が伴う」ツーリズムになる、と感じています。つまり、そこでの暮らしを育む人の文化に「触れる」ことが出来るようになるのではないかなと感じます。

ただ単純に感じたことなので、どこかで実証できた際には、また投稿してみたいと思います。また、どこかで一緒にやりましょう!もお待ちしています。笑

また、ここまで書いてパートナーに見せたところ、そういうところあるよ、って妻に諭されました。飛騨里山サイクリング。悔しいので、文章はこのまま残しておきます。笑。今度誰か一緒にいきましょう!

さて、ここからは、このことを考えるきっかけをくれたツアーの様子を紹介します。

ツアー概要日時:5/2(木) ,曇天, 「浜めぐりライトコース 16km」
10:00- 女川駅
11:00- 牡鹿半島荻浜 はまさいさいへワープー自転車に乗る
12:00- 小渕浜の牧場の絶景をあじわう
13:00- 小渕浜で地元の人と魚介を味わう
13:30- 十八成浜で神社をあじわう
14:00- 大原浜いぶきで海鮮を味わうー自転車を降りる
15:00-女川駅へワープ解散

モニターツアーの様子

ここからは、写真を多用しながら、紹介していきます。女川駅からワープという奇跡を起こし、石巻市牡鹿半島荻浜に到着しました。まだ、他の参加者と仲良くなっていませんので、参加者の写真ではなく、記念すべき1枚目は荻浜の神社です。荻浜は牡鹿半島のちょうど西側の中心あたりに存在しています。

この地域、今は漁村として主に牡蠣漁が盛んに行われています。また、歴史的には非常に重要な港だった場所です。

荻浜港は、古くからの漁村であったが、明治維新後の海運業の発達に伴い明治14年汽船の定期航路が開設され、鉄道がなかった当時の東北地方において船舶が輻輳し、県内最大の港として賑わいをみせた。(宮城県HP)

出発地点のはまさいさいには、このような感じで、自転車くんたちが待ち受けていました。ロードバイク、クロスバイクに乗る人も初めてだったので、簡単な講習を受け、「右折します」、「穴あります」などのハンドサインを教わります。自転車、ヘルメットなどはそらうみサイクリングさんで準備してくれています。参加者の持ち物は、体と動きやすい服、飲み物くらいです。ハンドサイン、覚えられないよ、と思っていましたが、だいたいはガイドさんが、声とともに呼びかけてくれているので、うろ覚えで大丈夫でした。

さて、出発です。先導ガイドは〈カズさん〉。「じょうぼんず」という自転車チームに所属しています。隊列の後ろには、〈クマさん〉(写真奥の自転車服の方)もいます。

こんな感じで、みんな隊列を組んで、ゆっくりペースを調整していきながら、乗っていきます。写真を見ると道路の真ん中に怪しい人がいますが、記録用に写真を取っている〈スナガ〉さん。

走り始めて数分後、サドルの高さ調整や、フロントライト、テールライトなどの確認をします。さて、地形の変動に合わせて、ギアを調整する練習をしながら進んでいきます。

横を見るとこんな感じです。あいにくの曇天でしたが、半島らしい、入り組んだ地形とそこでの生業としての漁業の様子が伺えます。伝わるでしょう。この素敵な景色。

自転車は歩く速度よりも早く、自動車よりも遅い。ゆっくり自然を体感しながら、進めます。さて、目的地の一つ、小渕浜の民宿旅館めぐろさんに到着しました。待っていたのは、、、

素敵な若旦那のめぐろさん。はもちろん、朝採れたてのシャコ、と地域特産のホヤ!!さぁ、これを食べます!と言いたいところですが、みんなの健脚具合が発揮されて時間も余っていたので、少し足を伸ばして、牧ノ崎の牧場跡地へ向かいました。

私は自転車で、他の参加者の方は道もあまりよくないので、ワープで向かいます。お気づきだと思いますが、ワープとは自動車です。

途中の道はこんな感じです。たまたま、日差しが差し込んで新緑の緑が綺麗に迎えてくれています。ほとんど車も来ないので、ゆっくり登っていきます。小鳥のさえずり、葉擦、姿を表さない葉をガサガサさせる小動物か・鳥さんの音が聞こえてきます。なんとも言えない気持ちよさです。

着いた先は、そうみなさん一度目にしたこのある、ない?!嘘ですよ。アイキャッチ画像で使用した、岬の上とも言える、牧ノ野崎に到着しました。元々は北里大学が農業研修所として使っていたようですが、近年は昨年まで宮城県農業公社が短角牛などの牛を飼っていた施設で、今は放置されています。どうにかしてほしいのは、おいておいて、景色を楽しみながらひと段落。

岬までの道にはイケ好かないガードレールがありますが、先ほどシャコを見せてくれた目黒さんのいる小積浜が見えます。

ビューっと降りて、おやつを食べにいきます!

最上のシャコ。こんな美味しいものは食べたことがない。

一夜干しした空飛ぶイワシ。まずいわけがない。本当に美味しかった。

こんな感じで、海を見ながら、海の産物を頂きました。ここではシャコをとってきてくれためぐろの旦那さんも交えてお話中。60歳から始めた漁で、4回くらい海に落ちたことがある、と楽しそうにいろんなお話をしてくれています。さて、みんなの食欲も良いペースで少し時間が余ったので、昼食会場の前に少し先の十八成浜へ。

十八成浜は「キュッキュッ(9+9)」と鳴る、鳴り砂の浜が存在しました。ですが、先の地震災の盤沈下の影響で、現在では干潮時にのみ少し見える程度になっています。だんだん地盤も戻ってきているという話もあり、もう一度砂浜が現れるのが楽しみです。そんな砂浜と対峙するようにあるのが、白山神社です。ちょうど、御神輿が、ご開帳中でした。白山神社の神輿は、担いで海に入水していく文化もあり、地域の大切な神社です。さて、昼食会場、大原浜のいぶきへ向かいます。

GWに入っていることもあったのか、復興事業に従事するトラックも少なめで、割と安心して進んでいくことが出来ました。まだまだ、変化していく復興の最中です。

到着!

お庭も綺麗で、今も二期工事で倉庫を改修中です。実はいぶきさん、ツアー当日は休日でしたが、ツアーに合わせて開けて待っていてくれました。これも地元だからこそ組めるツアーかもしれません。美味しかった〜。

今回は、ダイエットだ!と裏ミッションを掲げ、妻とともに参加しましたが、自転車で地域の美味しいグルメを味わうツアーだったため、裏ミッションは失敗に終わりました。が、本来のそらまちさんの主旨であろう、素敵な牡鹿半島の風景を楽しみました。モニターツアーは後2回ほど予定されているようなので、ご興味ある方は是非、参加してみて下さい。
https://www.soraumicycling.com/
夏以降は、当たり前ですが、地域を楽しむコンテンツの一つとなって、有料ツアーに変わりますので、そちらも楽しんで頂けると嬉しいです。

CREDIT
写真:Teppei Kobayashi
文章:Teppei Kobayashi


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