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おすすめの本~Common Diseases Up to date

今年度もラストスパートですね!私も3月で職場が変わるため、内科外来の大量の引き継ぎ業務に追われながらも、新天地の勤務にわくわくして参りました。

最近、初期研修を終えて来年度から内科専攻医になる先生方から、外来のお供になるおすすめ本を聞かれることが多いので、私のお供を1冊紹介させていただきます。

2022年4月に出版された” Common Diseases Up to date”です。

日常診療でよくみる57疾患を、実臨床に役立つ知識にフォーカスし、
1.    Overview:診療に役立つ疾患の要点を視覚的に解説
2.    Minimum requirement:最低限押さえたい診療のポイントを「箇条書き」で解説
3.    Up to date:診療のエビデンスなどを,処方例も盛り込み詳細に解説
の3段構成となっています。「診療は,学ぶほど面白くなる!楽しくなる!」をコンセプトとした、プライマリ・ケアの指南署書です。

私のおすすめポイントを3点紹介させていただきます。

①   “日本発”のcoommon diseaseの決定版

私は日々の臨床疑問の解決に、UpToDateやDynamedを頻用します。世界標準の医療が簡単に調べられるという点では、UpToDateやDynameは非常に重宝するのですが、時折不安になるのが、”UpToDateにはこう書いてあるけど、こういったプラクティスは実際には見たことない・・。果たして日本でも行われている一般的なプラクティスなのだろうか。”ということです。本書は、日本の医療を習熟し牽引されてる御高名な先生方が執筆されており、私は大舟に乗った気持ちで、本書の内容を日常診療で実践させていただいております。

②   より一歩踏み込んだ質の高いプライマリ・ケア診療を実践するために

本書は一般的なプライマリ・ケアのマニュアル本に留まらず、かゆいところに手が届く非常に奥が深い内容になっています。私たちは日常診療で、2回の診察で1つの疑問が生まれるとされていますが、実際は半分以上の疑問は解決されないと言われています(JAMA Intern Med. 2014;174:710-8.)。この本には至る所に、決してシマウマではないクリニカル・パールが散りばめられており、自分の未解決の臨床疑問が自然とどんどん解決されていくような感覚を覚えました。皆さん、乱目して一文一文を噛み締めましょう。

③   大事なのは内科だけでないプライマリ・ケア外来

診療所で外来診療をしていて、内科領域でない患者さんの悩みで一番多いと感じるのは、”夜間頻尿”です。一度泌尿器科に受診して評価してもらってください・・・。と言いたくなるのは山々ですが、泌尿器科に一度受診することも間々ならない患者さんは少なくないのではないでしょうか。本書は、前立腺肥大・過活動膀胱などの泌尿器領域や、脊柱管狭窄症・五十肩などの整形外科領域、更年期障害・耳鳴り・甲状腺結節などの、普段内科をメインにしているとついおざなりになりやすい領域に関しても、実践的で充実した内容が記述されており、非常に勉強になりました。

650ページのA3サイズの本で、まるでハリソンのように枕に使いたくなるサイズ感ですが、まさにプライマリ・ケア領域の外来診療において、バイブルといえる一冊だと思います。辞書のような使用に留まるのは勿体ないです。時間のある先生は是非通読してみてください。

文責:長谷部圭亮 (旭中央病院 内科)

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