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肉離れの予防と対策をスポーツ栄養学の視点で考えてみる

<著者>安藤大貴(あんどうひろき) 1989年9月5日生まれ
至学館大学健康科学研究所特別研究員。至学館大学大学院健康科学研究科修士課程を修了後、スポーツ栄養学を専門とした管理栄養士として活動。プロバスケットボールリーグB.LEAGUE・大阪エヴェッサ(17-18SEASON)。競技力向上を目的とした競技者向けのスポーツ栄養サポート、スポーツキッズ向けのスポーツ食育活動、また競技者の競技力向上に関するスポーツ栄養学研究にも従事。食を通じたアスリートの身体づくりやコンディショニング、ケガ予防の指導が専門。

昨シーズン、J2からの昇格初年度で、ルヴァン杯と天皇杯の2冠を達成したセレッソ大阪。

その立役者の一人が昨季セビージャからセレッソ大阪復帰を果たした清武弘嗣選手。

その経験とリーダーシップをもってチームの精神的な柱としての役割を十分に全うしてくれたのではないかと思います。

そんな清武選手に残念なお知らせが。。。

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昨シーズンにおいてもケガを繰り返してしまいコンスタントに出場機会は得られませんでしたが、今シーズンも開幕前から負傷離脱となってしまいました。

ここ数年の清武選手のケガをまとめると以下の通り。

・右内転筋損傷(2016年7月)
・右ハムストリング違和感(2017年2月)
・左大腿四頭筋損傷(2017年4月)
・左ハムストリング筋損傷(2017年6月)
・右腓腹筋筋損傷(2018年2月)

こうしてみると、下肢の上腿も下腿も、右腿も左腿も、前面も裏面も肉離れを繰り返してしまっていることが分かります。

■なぜ清武選手は肉離れを繰り返してしまうのか:肉離れの起こりやすい状態を「ストッキング」に例えて考えてみる

こうも下肢全体に肉離れが生じているということから考えると、おそらく筋肉自体の質が悪いのでしょう。すなわち、筋繊維を包んでいる筋膜の弾性が低下して、もろくちぎれやすい状態になってしまっているのではないかと考えられます。

筋膜とは筋繊維を包んでいる膜のこと。筋繊維と筋膜は、「ストッキングに覆われた足」をイメージしてみてください。すなわち、足が1本の筋繊維、ストッキングがその1本の筋繊維を包んでいる筋膜のイメージです。

新しい買ったばかりのストッキングは、伸び縮みの弾性に富み、また繊維自体も強いので破れにくいですよね。

一方、使い古したストッキングは繊維がやせ細ってヨレヨレ、どことなく生地も薄っぺらい感じになり、引っ張れば新しいストッキングと比べて破れやすくなっていますよね。

すなわち、肉離れが生じやすい状態というのはまさに筋膜が「使い古したストッキング」のように繊維がやせ細ってヨレヨレになった状態になっているということです。

このような筋肉の質が低下している状態のところに急な筋肉の収縮が起こるわけですから、簡単に筋膜や筋繊維が損傷・断裂してしまうのです

■肉離れの再発を防ぐ!キヨさんに届け、肉離れの予防対策:栄養士の視点で考えてみる。

再発を防ぐということは、「使い古したストッキング」を「新品のストッキング」に買い替えるということ。すなわち、筋膜を構成する結合組織の構造を強化するということです。

では、どのように筋膜を構成する結合組織の構造を強化することができるのでしょうか。

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