まんがでわかる頭にきてもアホと戦うな！
田村耕太郎 (著), 松枝尚嗣 (イラスト), 秋内常良 (その他)

　あなたの夢を成し遂げるためには，ほんとうの意味でのコミュニケーションを築く必要があります。苦手や嫌いという感情とは切り離して，夢の達成のために他者とコミュニケーションする方法について，ストーリー仕立てでわかりやすく考える1冊です。

1　夢を実現するために一番大事なことに集中せよ

　あなたの夢を実現するために，ほんとうに大事なことに集中しましょう。それが本書で繰り返されるメッセージです。勧善懲悪はお話の世界の話で，この世界にはさまざまな理不尽がまかり通っています。その世界のなかで，自分の夢を実現するためには，苦手な人や嫌な人も味方につけるコミュニケーションが必要なのです。

2　漫画形式で読みやすい

　漫画化に伴って，ストーリー形式に変更されていますので，主人公とともに悩み，考えていくことができます。会社づとめをしていれば一度は出くわす「あるある」ネタをもとに話が進みますので，あっという間に読めると思います。

簡単なストーリー紹介
　入社4年目の仁野ひとみは，飲食業界の店舗経験を経て企画営業部で自分の夢である「お客さんが笑顔になる店舗」を目指しています。しかし，店舗経験のない上司たちの思いつきや嫉妬に悩まされ，いきつけの飲み屋でクダを巻くことが多くなりました。ある日，飲み屋でコンサルタントの梶と知り合い，嫌なヤツを嫌うのではなく，かれらを味方にして動かすことを諭されます。そんなとき，社長への新しい企画が持ち上がります。ひとみは，はりきるのですが……

3　戦わずに味方につけよ

　人間とは理屈ではなく感情で動く生き物です。また，社会においてすべてをひとりで行うことはできません。あなたの夢を実現するためには，あなたの周りの人を味方につけることが必要です。嫌なヤツをギャフンと言わせれば，たしかにスッキリします。お話ならそういったカタストロフィーを得て大団円になるでしょう。しかし，現実世界では，その人間関係はその後も続きます。ギャフンと言わせた相手は，あなたに悪意を持つかもしれません。あなたは一時的な爽快感と引き換えに，あなたが実現したかった夢を実現できなくなるかもしれないのです。

味方につけるために大事なこと
・非難しない
・認める
・相手の欲しがるものを与える

　もちろん，ぜったいに譲れない一線はあります。そして，いつでも衝突を避けてばかりでは，夢の実現には衝突する必要があるときにも避けてしまうかもしれません。本書では，若いうちには衝突による失敗も必要で，失敗から学ぶことが重要だとも述べられています。

4　読んでみて

　刺激的なタイトルとは異なり，コミュニケーション論としてとてもおもしろかったです。社会人あるあるネタをもとにして考えるコミュニケーション論は，とても参考になりました。ちょっとした空き時間に読破することができますし，主人公のひとみの夢の話を読むと，夢に向かって進む苦労の楽しさを再確認できると思います。

　もし本書で他者を自分の思うように動かすことに興味が出たら，以下の影響力の武器をオススメします。