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折り畳めるポスター

 学会発表でつきもののポスター。カバンに入ると便利ですよね?
 不織布ポスターは折り畳めるためとても便利ですが,印刷にはやや苦労がありましたので,まとめておきます。

 不織布ポスターは,こんな風に折り畳んで持っていけます。

1 ポスターを持って移動するのは大変

 学会では定番のポスター発表。とくに中高生には馴染み深い発表スタイルですが,ポスターを運ぶのは意外に面倒です。普通はポスター用のに入れて運ぶのですが,長いため飛行機では機内持ち込みできませんし,電車でも混雑すると邪魔になります。もっと楽に運べると良いですよね。

2 折り畳める不織布ポスター

 不織布とは,繊維を絡み合わせて作った布です。三角コーナーに入れるゴミ袋にも使われています。愛媛県だと,学会は大抵遠方でかつ飛行機移動なので最近は不織布ポスターを使う機会が増えました。そこで,わかった良い点困った点をまとめておきます。使っているポスターは以下のものです。

3 不織布ポスターの良いところ

(1) ロール紙印刷できる大判プリンターで使える
(2) 折り畳んで運べる
(3) カッターで切ることができる
(4) 丈夫

 すでに大判プリンターがあるなら,紙を不織布に入れ替えてそのまま利用できるのは大きいです。また,一般的な布ポスターはカッターやハサミで裁断すると端がほつれてしまいますが,不織布ポスターはそういったことはありません。ただ,ハサミだとやや毛羽立ちが目立ちますのでカッターが適しています
 また,画鋲で刺したとき,紙のように穴から破けてしまうということもありません。そもそも丈夫ですから,強い力で引っ張らない限り破けることはないのは心強いです。そして,折り畳んで荷物を減らすことで忘れもの防止にもなります。以前に学生さんがポスター筒を忘れて学会に行ってしまったことがありました。飛行機の時間が迫るなか,もう一度印刷し直したのはかなり大変でしたよ。荷物を減らし,手荷物に詰めることができるのは大事ですね。

4 不織布ポスターのこれはちょっと……というところ

(1) プリンター内に不織布が貼り付いて紙送りエラーになる
(2) 印字が乾くのに時間がかかり,他の部位にインクがつきやすい
(3) プレミアムマット紙(エプソン)印刷なので印字コストが高いかも

 とくに湿度が高いとき,不織布はプリンター内でプラスチックに貼り付きやすくなります。私が使っているのはPX-H9000(エプソン)ですが,季節によっては不織布を手で引っ張らないと紙送りエラーになってしまいます。印刷中,不織布を引っ張り続ける必要があるのですが,力が弱ければ紙送りエラー,強ければ印字トビが起こりますし,まっすぐ下に引っ張らないと動いているヘッドにふれて色付きが起こります。かなりストレスフルな状態です。
 また,正確に時間を測定していませんが,印字が乾くのにかかる時間は紙に比べてかなり長いです。印刷後に折り畳んで運ぶと色移りしてしまうため,完全に乾くまでは紙よりも気を使います。印刷設定は不織布ポスター側で指定されていますので,該当するプリンターによって異なりますが,エプソンの場合プレミアムマット紙印刷になりますので印字コストは紙よりも高くなるようです。

5 しまっておけるのは便利

 不織布ポスターは,折り畳める点,大判プリンターがあれば追加投資なく利用できる点で,とても優れていると思います。製品紹介などで,同じポスターを使いまわしたいという使用用途にも適していると思います。とくにポスターは発表後にしまっておくスペースに困りますが,かといって簡単に捨てるのも……という場合に畳んで仕舞えるのは非常に優れた点です。ただ,雨が降っていたりして湿度が高かったり,印字が乾きにくい状況だと,印刷に手こずるという不便さはあります。印刷の綺麗さに拘る向きは注意が必要です。
 ちなみに不織布ポスターは使い回しが簡単なので同じポスターで何度も発表できてしまいますが,二重発表,とくに重複した受賞は研究倫理違反に問われますので,注意してください。

 研究倫理については書籍にまとめていますので,詳しくはこちらをご覧ください。


いつもより,少しだけ科学について考えて『白衣=科学』のステレオタイプを変えましょう。科学はあなたの身近にありますよ。 本サイトは,愛媛大学教育学部理科教育専攻の大橋淳史が運営者として,科学教育などについての話題を提供します。博士(理学)/准教授/科学教育