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【歩き遍路】傾向と対策 [準備] 『四国遍路ひとり歩き同行二人』地図編

遍路地図

へんろみち保存協力会 『四国遍路ひとり歩き同行二人』 地図編

歩き遍路に欠かせないのがこの地図である。仏教遍路界の「バイブル」と言えるだろう。現在は12版が出ている。Amazonでは売っていない。

特徴
・札所を順打ち方向に、へんろ道すべてを網羅
・札所の本堂前を起点として100m単位の距離を表示
・札所間の距離、中間目標物との距離を詳しく表示
・宿泊施設 前後の札所からの距離を表示
・店舗、コンビニ、食堂、トイレを表示
・遍路道に沿った詳細な宿舎リスト

と、歩き遍路に欠かせない情報が全て詰まっている。へんろ道途中の食堂、コンビニ、トイレ情報は本当にありがたかった。

特に欠かせないのが巻末の宿泊施設リストだ。へんろ道に沿った宿の住所、電話番号が網羅されている。歩き遍路は宿を探してこのリストの上から下へ電話しまくることが必ず一度や二度はある。

さらに重要なのが前後札所からの距離。リストのA距離は手前の札所からの距離、B距離はつぎの札所までの距離を示している。宿から次の札所、次に泊まる宿までの距離を正確に知ることが出来る。これは歩き遍路の計画を立てる上で欠かせない情報だ。

宿泊リストにはもう一つの役目がある。それは毎晩遍路宿で行われる「勉強会」の記録だ。遍路宿では食事の後、初めての遍路と何回も回っている遍路が集まって親しく話をする。

その時出てくる「この宿はよかった」「この宿は遍路割りがある」「ここは食事がおいしかった」「弁当を作ってくれる」「最寄り地点まで車で送ってくれる」「ここは絶対泊まっちゃだめ」という情報を宿リストに書き込んでいくのだ。この情報は役に立った。何回も回っているベテランの情報だけに確度が高く情報鮮度も高い。

「勉強会」は宿だけではない。休憩所、トイレ、食堂がどこにあるか、また特に参考になるのが札所間の周り方だ。「このトンネルはあぶない」「ここはトンネルより峠道の方が気持ちがいい」「ここで荷物を預けて空身で打ち戻しをした方がいい」「このへんろ道は蛇が多い」などの話を聞いては地図に書き込んでいく。

その書き込み地図がまた次の新しい遍路へと語り継がれていく。そこが歩き遍路のおもしろいところだ。私もずいぶん沢山の人から多くの情報をもらった。その全てがこの地図帳に書き込まれている。

ただし、この地図には欠点も多い。
・地図の向きがバラバラ。各地図は北を向いてない
・地図の縮尺がまちまち。
・地図の並び方がぐちゃぐちゃ。

もう、バラバラ、まちまち、ぐちゃぐちゃと、何これ状態なのである。私は国土地理院の2万5千分で山を歩いてきたので、このバラまちぐちゃには参った。地図を読み慣れている人ほど気持ちが悪いだろう。この地図帳だけではへんろ道全体のルートを俯瞰することはむつかしい。実際、次の日の計画を立てるときにも使いにくかった。

ただ、これも慣れだ。こういうもんなんだと割り切ってしまえばいい。私はこの地図を「道しるべ」ではなく「情報ソース」として使ってきた。そう割り切ってしまえばこんなに価値がある地図はない。この地図は「情報集約ブック」と思えば良い。要は活用の仕方である。

解説編

へんろみち保存協力会『四国遍路ひとり歩き同行二人』解説編

地図の別冊が「解説編」である。これは実際に持って行く必要はないが、遍路に出る前には読んでおいた方がいい。お遍路についての総括的な知識を得ることが出来る。遍路の基礎知識、プランの立て方、予算、装備、靴の選び方、歩き方、礼拝の仕方など具体的に詳しく載っている。巡拝プランの立て方、装備品リストは役に立った。私はテーピングとマッサージの部分はコピーして持って行った。

ただし、巻末の札所、霊場の解説はネットでも詳しく読めるので持って行く必要はない。托鉢の部分も今は要らないだろう。

Shikoku Japan 88 Route Guide

Shikoku Japan 88 Route Guide

『四国遍路ひとり歩き同行二人』の英語版である。遍路途中で出会った外国人はほとんどこの書を持っていた。サイズがB6でハンディなのと、なによりも地図が同一縮尺で正しく北を向いている点で非常に使いやすい。この本の日本語版を出して欲しいぐらいだ(笑)。サブとして使っている日本人もいた。私も次回はこれを使いたい。


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