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アジア太平洋人材マネジメント連盟 (APFHRM) の役員会(in シンガポール)に参加して感じた「日本の人事の特殊さ」

一カ国に1組織だけが認められる世界HRネットワークの参加条件は「非営利組織」だということをご存知でしたか?
各国を代表する人事の非営利組織が所属しているのが世界人事協会連盟 (WFPMA) であり、その数は90カ国、660,000名にも及ぶHRプロフェッショナル・ネットワークです。
WFPMAは世界を5地域に分けており、日本人材マネジメント協会 (JSHRM)アジア太平洋人材マネジメント連盟 (APFHRM) に所属しています。日本でもご存知の方が多いSHRM (Society for Human Resource Management) は北アメリカHRM連盟 (NAHRMA) に所属するUSA代表組織ですので、JSHRMとSHRMは世界ネットワークでは横並びの関係になります。

WFPMAの加盟団体がある国(世界地図に着色されています)
https://wfpma.org/our-members/

APFHRMには現在17カ国が加盟しています(2024年5月13日現在)。

Australia・Bangladesh・Fiji・Hong Kong・India・Japan・Malaysia・Maldives・New Zeeland・Pakistan・Papua New Guinea・Philippines・Sri Lanka・Singapore・Thailand・Taiwan・Vietnam
 

https://www.apfhrm.com/index.php

APFHRMでは年2回程度の役員会を実施しており、もちろんJSHRMもこの会議にコミットしています。今回はコロナ渦以降久しぶりにオフラインの会議がシンガポールで行われ、日本を含む11カ国の代表が集いました。

APFHRM会議最後の集合写真 白熱した議論もHRMへの信念あってこそ

さて前置きが長くなりましたが、今回の議題のうち最も白熱したのが「APFHRMのメンバーシップ改訂」に関わることでした。これまでAPFHRMでは、正式メンバーには「一カ国に1組織のみ、非営利団体でHR全般に関わる社会貢献活動に関与していること」などの条件を設けていましたが、近年では「コーチングや研修会社」といったHRの一部のみを担っていたり、「営利企業が非営利のように見せかけて」入会しようとする可能性を鑑みて、メンバーシップのカテゴリーを見直す議論に最も時間をかけたのです。
今回は新しく3組織が新メンバーとして名乗りを挙げたことから、彼らへの質問は「CEOは民主的に決めているのか」「非営利であるという証明はあるのか」「会費の徴収とサービスの提供はどのように行うのか」など、営業目的でなく、かつ持続可能なオペレーションが可能かどうか、といった質問が矢継ぎ早に飛び交いました。
こうしたAPFHRMの加盟国のひとたちの「我々は社会貢献活動をしているという誇り」を間近に見ることができて、JSHRMもAPFHRMの日本代表加盟国として胸を張っていいのだと思いました。

左がAPFHRM前会長のDhammika Fernando氏 右が現会長のLOW Peck Kem氏
この二人のリーダーシップがAPFHRMの文化を作っていると言っても過言ではありません

その一方で、常に他国に尋ねられるのは「なぜ日本のような経済大国にもかかわらずJSHRMの会員数は少ないのか?」であり、「日本の特殊な雇用システムでは、定期的人事異動によってHRプロフェッショナルが育たない土壌がある」という説明にも無理があるような気がしています。
日本におけるHRプロフェッショナリズムの確立のために「非営利組織」だからこそできることは何か、それを追求していく必要があります。
世界ネットワークと繋がりたい方は、ぜひJSHRMにご一報ください。

番外編:日本から持参した役員メンバーへのお土産

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