戦争

平和の担い手へ―どう伝える 戦争の歴史―〈4・終〉「インパール作戦」と平和資料館

 1944(昭和19)年、ビルマ(現ミャンマー)からインド北東部にかけて繰り広げられた「インパール作戦」。インド北東部、マニプール州インパールのレッドヒルに6月、日本財団(東京都)が支援して平和資料館が完成した。

◇戦争の記憶と向き合う

 妙高市出身で同財団の和田真さん(39)は、プロジェクトのメンバーの一人。「現地の団体に資金提供し、完成を待つはずだった。しかし、先方の構想は現地で掘り当てた遺品や砲弾を置くだけの軍事史料展示室。これは違う、と。戦争の記憶だけでなく現地の文化や風習、戦後の発展も併せて紹介したいと奔走した」と振り返る。

 展示する遺品や資料は全国から提供を受け展示中のものを含め421点が集まった。集まったのは鉄かぶとや軍刀、双眼鏡、手紙や写真、回顧録など。牧区の金井正仁さん(69)は、インパール作戦を戦った父親が持っていた写真や回顧録などを寄付した。「自分の死後もきちんと管理してもらえるだろう」と思ったのが端緒だった。

 和田さんは特に印象に残っているものとして、戦死した息子の最期を知るために、父親が同僚に寄せた手紙を挙げる。「家族の死を悲しむ家族が何十万、何百万人といた証拠で、言葉にならない」と振り返る。

◇能動的関わりを 日本財団・和田さん

 和田さんは次世代に平和の尊さを伝えるために「能動的に関わることが必要」と指摘する。「自分の手で、思いや当時の背景を知ること。体験が積み重ならないと、わが事として受け入れられないのでは」と話す。

 同財団は資料の提供を呼び掛けている。受け付けは来年2月29日まで。「個人の心境と移動などの時系列が分かるものがありがたい」(同財団)。問い合わせは同財団コールセンター(電03・6229・5111)へ。

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